世界200以上の国と地域で事業展開するローランドDG、CADDi導入で日本とタイの二拠点間の「情報の壁」を突破し、グローバル展開の基盤構築を実現

〜 日本で年間数千万円のコストを削減し、タイでもデータ活用によるコストリダクションを推進開始 〜

キャディ株式会社

製造業のデジタル変革に挑むキャディ株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役:加藤 勇志郎、以下キャディ)は、各国の連結子会社を中心に世界200以上の国と地域に製品やサービスを提供するローランド ディー.ジー.株式会社(本社:静岡県浜松市、代表取締役 社長執行役員 CEO 田部 耕平、以下ローランド ディー.ジー.)とRoland Digital Group (Thailand) Ltd.(所在地:Ampur Muang, Samutsakhon)における、製造業AIデータプラットフォームCADDiの活用事例を公開します。

課題と導入背景

デジタル印刷ソリューションの世界的リーダーであるローランド ディー.ジー.は1981年の創業以来、「デジタル技術の活用で、より豊かな社会を実現する」をミッションとし、コンピューターの進化とさまざまな産業のデジタル化を背景にコンピュータ周辺機器事業の分野で成長を遂げています。

近年、海外メーカーの台頭による市場競争の激化に伴い、同社が製造する大判プリンターや歯科用切削工作機において、新製品リリースが収益向上の鍵となるなか、開発サイクルは従来の「2年以上」から「1年」へと実質的に半減するという課題に直面していました。

日本拠点は、この経営課題に対応するため、スケジュールを重視した高額な日本の特急試作メーカーとタイの量産メーカーへの「二重発注」を行っており、年間数千万円のコストが発生していました。

リードタイムは守られるものの、高額なコスト発生という次なる経営課題を解決するためにコスト削減の分析を進め、根本原因は「出戻りの多さ」にあることが浮き彫りになりました。また、日本とタイの二拠点間における現場情報(不適合、製造難易度)が届かず図面の出戻りが多発していることがわかりました。

日本拠点は、こうしたリードタイム削減とコストダウンという二つの経営課題を解決する手段として、製造業AIデータプラットフォームCADDiの導入を決定。日本での導入が成功し、サブスクリプションの更新を迎えるタイミングで、推進者の菅野氏のタイへの赴任が決まり、日本とタイにおける双方の課題を解決すべくタイ拠点への導入の検討が始まりました。

タイ拠点では、上記の「二重発注」の片側を受けていたことに加え、タイ固有の課題もありました。個人に依存したファイル管理の限界や、拠点間の「情報の壁」により、現場の生きた情報が日本の設計者に届かないまま新しい図面が作成され、現場の手戻りが頻繁に発生。そして、情報連携が完全に「人頼り」で、人材流動性が高いタイでは現地スタッフが離職すると貴重なノウハウがゼロになるという属人化の課題を抱えていました。

導入効果

日本拠点はCADDiの導入により、「二重発注」による高額な特急試作費用を大幅に削減できる見込みが立ち、年間数千万円規模のコスト削減を実現。また、出図の差し戻しが45%削減されたほか、サプライヤーからの指摘も減少し、新製品立ち上げのリードタイムが1ヶ月短縮されました。そして、CADDiの導入はサプライヤーとの関係性の向上にも大きく貢献しました。過去の品質情報やサプライヤーからの提案がCADDi上に「知見」として蓄積され、図面と紐づくことで、図面自体の信頼性が向上。その結果、従来3回実施していた試作プロセスを2回に削減するという、経営的にも極めて大きな成果が創出されました。

タイ拠点では、「二重発注」の片側を受けていたこと以外に、属人的なフォルダによるデータ保管という課題もあったため、CADDiを活用して情報連携の課題を解決し、暗黙知をデータ資産として形式知化。これによりベテランでも把握が困難だった類似部品を発見することが可能になり、現地メンバーが自らデータを活用できる基盤が構築されました。

その結果、わずか数ヶ月で58部品、年間目標500万タイバーツの倍以上ものコストを削減できる見通しが立ったことで、年間目標を大幅に上回る本質的なコストダウン提案の多数創出に繋がりました。タイでも、サプライヤーの知見に頼りきりになるのではなく、自社のデータ資産を活用し、メンバー発信でコストダウン活動の本質的な提案が実現。日本での導入時と同様、この「大幅なコストリダクションが可能」という具体的な成果予測が元となり、タイ拠点でも正式導入が決定いたしました。

担当者のコメント

Roland Digital Group (Thailand) Ltd.

Procurement Unit Executive General Manager 菅野 悟志 氏

◾️調達における主導権の戦略的移行

本来、全体最適を追求するならば、サプライヤーに最も近い現場、すなわちタイ側が調達の主導権を握るべきです。なぜなら、タイのサプライチェーンに関する最も鮮度が高く詳細な情報は、現地であるタイ側が持っているからです。調達業務が日本主導でなくても十分に回せる体制が整えば、日本側はより付加価値の高い新たな戦略的業務にリソースを集中できるようになります。

これは、単に業務を『タイにアウトソース』することとは、その意図が根本的に異なります。私たちが目指すのは、タイ側の持つ現地の情報力と専門性を最大限に活かし、サプライヤーの選定から交渉までを段階的にタイ側に移管することです。

現地に主導権を委譲することで、タイ側は現地の情報を基に最適なサプライヤー選定や意思決定をスピーディに行えるようになり、結果として組織全体の調達効率と競争力が向上します。今後は、調達の権限と責任を段階的にタイへ移行し、現地最適化から全体最適へとつながる戦略的な役割分担を構築していきます。

◾️自立した拠点モデルとグローバル展開

「マザー工場」という概念が示す日系企業と海外拠点との関係性は、情報の共有やノウハウの蓄積方法によって、その形を変えていくことができます。いつまでも日本のやり方を教え続ける『親子』のような関係である必要はありません。

ノウハウや情報の蓄積、そしてその共有方法を戦略的に設計すれば、現地拠点は自立し、急速に成長します。タイ拠点が自律的に業務を回せるようになれば、日本側はより高度な戦略的課題に集中することが可能になります。

私たちはタイでの取り組みを、現地最適化に留めず、グローバル展開を加速させるための成功パターンと位置づけています。例えば、弊社はインドにも拠点を持ち、将来的には他地域への進出も視野に入れています。その時、「タイで確立した調達ノウハウは、インドでもすぐに展開できる」状態になっていれば、このデータ活用の取り組みは、地域や製品を問わず効果を発揮する本質的な価値になります。

この「現地での自立と、ノウハウの横展開」という考え方は、グローバルに展開する製造業全体に共通する、新たな成長戦略の鍵だと確信しています。

今後の展望

ローランド ディー.ジー.の挑戦は、データという共通資産を核とし、単なる拠点間の情報連携に留まらない、グローバル製造業のあるべき姿を指し示しています。日本とタイ、そして将来的なインドなど他地域への展開においても、「パッケージ化されてすぐ使える資産」となった暗黙知の活用は、同社のグローバル・ビジョンを実現するための鍵となるでしょう。

■ 製造業AIデータプラットフォームCADDi(キャディ)について( https://caddi.com/ )

製造業のエンジニアリングチェーン・サプライチェーン上のデータを解析・関連付け、インサイトを抽出することで、生産活動と意思決定を高度化するプロダクトです。祖業である部品調達事業での経験とAIを用いたテクノロジーの力を活用し、点在する経験とデータを資産に変え、競争力を高めます。

キャディ株式会社

キャディ株式会社

キャディ株式会社は、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、点在するデータ・経験を資産化し、新たな価値を創出する「製造業AIデータプラットフォームCADDi」を開発・提供するスタートアップ企業です。アプリケーションである「製造業データ活用クラウドCADDi Drawer」「製造業AI見積クラウド CADDi Quote」をはじめ、今後もプラットフォーム上に様々なアプリケーションを提供予定です。日本をはじめアメリカ、ベトナム、タイを含む4カ国で事業を展開し、製造業のグローバルな変革を実現していきます。累計エクイティ資金調達額は257.3億円。

<会社概要>

本社所在地:東京都台東区浅草橋4-2-2 D’sVARIE浅草橋ビル(総合受付6階)

代 表 者:代表取締役 加藤勇志郎

設   立:2017年11月9日

資 本 金:257.3億円(資本準備金含む)

事業 内容:製造業AIデータプラットフォーム CADDiの開発運営

U R L :https://caddi.com/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


関連リンク
https://caddi.com/
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

キャディ株式会社

80フォロワー

RSS
URL
https://caddi.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都台東区浅草橋4-2-2 D'sVARIE浅草橋ビル(総合受付6階)
電話番号
03-6843-3802
代表者名
加藤 勇志郎
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2017年11月