才能あるデザイナーやアーティストの発掘・支援・コラボレーションを目指したデザインとアートのコンペティション「TOKYO MIDTOWN AWARD 2021」結果発表
受賞作品展示 : 10月14日(木)~11月7日(日)
この度、計1,366点の応募作品の中からグランプリなど全16点の受賞・入選作品を決定いたしました。全16作品は、10月14日(木)から11月7日(日)まで、東京ミッドタウンのプラザB1にて展示いたします。
テーマ:THE NEXT WELLBEING
グランプリ(賞金100万円)
《窓時計》
onegi/太田文也、根岸桃子
アートコンペ グランプリ
テーマ : 応募者が自由に設定
グランプリ(賞金100万円)
《なまず公園》
丹羽優太+下寺孝典
- TOKYO MIDTOWN AWARD 2021 デザインコンペ受賞作品一覧
作品名:《窓時計》
受賞者:onegi/太田文也、根岸桃子
<作品コンセプト>
室内で過ごすことの多い、現代人と太陽の関係をリデザイン。時計を窓に飾ることで、外を見る行為を日常化。自律神経を整えると言われる、太陽の光を心とからだに。そんな小さな豊さが、わたしたちを少しだけ健康にしてくれる。
■優秀賞(4点) ※審議の結果、3点のところ、4点になりました。
作品名:《smokeho》(スモウコウ)
受賞者:稲垣竜也
<作品コンセプト>
温かい料理の湯気が食欲をそそり、冬の吐息や、夏の朝靄が季節の訪れを予感させる。線香の一筋がフワフワ、クネクネと伸び上がる。煙はどこか心地よいものに付き纏っているようです。揺蕩煙を捕まえて眺めてみる。唯それだけで、どこか遠くの場所や時間、複数の形の中にトリップできそうな気がしてきます。これは孤独を愛でる道具です。「満たされた状態」はそんな些細な状況から、ゆっくりと浸透していくものだと思うのです。
作品名:《草むらになるゴミ袋》
受賞者:タタラゼミエムニ/工藤外四、長谷川皓士、金璽民
<作品コンセプト>
収集場所に積まれた際に草むらに見えるゴミ袋です。
豊かさや人間らしさを追求する事は、同時に、ゴミや資源、自然環境問題の発生を伴います。それらの問題を意識した上で幸福を追求することをTHE NEXT WELLBEING と捉え、ゴミと私たちの生活の関係を考えなおすきっかけとなるプロダクトを制作しました。
作品名:《ゴミからできたゴミ箱》
受賞者:有留颯紀、小笠原勇人
<作品コンセプト>
ゴミ箱は廃棄物と生活空間の狭間となる特異なプロダクトですが、どれほど薄汚れてもそれ自体をゴミにすることはなかなかできず、それが空間の淀みに繋がります。そこで再生紙のパルプモールドでできたゴミ箱を作りました。汚れ具合に応じて、これ自体も簡単にゴミとして破棄できます。素材に再生紙を用いることで環境に負荷をかけず、生活の「負」を溜め込む容器そのものの代謝も良くする、そんな次の生活スタイルの提案です。
作品名:《視点を変える定規》
受賞者:福島拓真、関口遼、柳澤星良
<作品コンセプト>
メモリと数字が一つに合わさった定規です。本来、メモリの上に数字が印字されていますが、数字を縦にして並べることで視点を変える事で正面からみた時メモリになる定規です。使う時だけでなく、使っていない時もインテリアとして機能します。パーソナルな生活リズムが主流になった今、身近な道具の美しさが幸せにつながるのではないでしょうか。
■ファイナリスト(5点) ※審議の結果、6点のところ、5点になりました。
【写真上段左】
作品名:《flower dancer》
入選者:時岡翔太郎
【写真上段中央】
作品名:《花火線香》
入選者:波多野現
【写真上段右】
作品名:《ふくふく金魚鉢》
入選者:ソーユンピン
【写真下段左】
作品名:《富士山お香》
入選者:井下恭介
【写真下段右】
作品名:《THE GATHERING CHAIRS》
入選者:平岡美由紀
- TOKYO MIDTOWN AWARD 2021デザインコンペ審査員総評
総括
「THE NEXT WELLBEING」をテーマに作品を募集。パンデミックにより起こった社会の変化を、コンペを通して感じる印象的な年となりました。「THE NEXT WELLBEING」は直訳すると、“次なる幸せ”。応募総数1,122通りの幸せのデザインに対する多様なアプローチが寄せられ、パーソナルなものからパブリックなもの、オーソドックスなものから新たな視点での提案まで、実に幅広いことが印象的でした。また一貫して“優しさ”を感じるものが多かったのも時勢を反映しており、大きな変化の中、嘆くことなく次の時代の価値観をつくろうとしているクリエイターとしての姿勢に、感銘を受けました。また、審査の過程において、力を備えた若手つくり手の存在を再確認することができ、未来への希望も感じています。本来、優秀賞は3点のところ、審査過程で議論をつくしたものの「僅差で優劣をつけられない」という審査員のコメントを受け、優秀賞を4点といたしました。
石上純也(建築家)
1次審査の段階から、自分の中にすっと入ってくる作品が多かった。2次審査に進んだ作品の模型を見たとき、良い作品が仕上がってきたと実感できた。今の社会状況もあるが、個人的には「デザインには優しさが必要」と思っている。今回選出した10作品には、どの作品にも優しさが含まれていて、その価値観を共有することができた。
伊藤直樹(クリエイティブディレクター/アーティスト/起業家)
自分が審査員として関わらせてもらって以来、一番粒ぞろいの作品がそろった年だと感じる。正直、1次審査では今年は作品のクオリティが心配だと感じたが、2次審査までの各作品の成長がすごかった。理由としては、「ステイホーム」で、考え、手を動かし、じっくり検証し、物ごとを観察する時間ができたからではないかと思う。「ステイホーム」はデザインする人間にとっては、逆にチャンスであると、改めて痛感した。
えぐちりか(アーティスト/アートディレクター)
「すでにある幸せに、視点を変えると気が付ける」「身近なものに幸せがある」ということを感じさせてくれる作品がすごく多かった。1次審査では全体のクオリティを心配したものの、2次審査では模型やプレゼンの完成度が非常に高かった。今まで審査をしてきた中で一番、商品化できそうな作品が多かった。どれも甲乙がつけがたく審査が難しかった。それくらい今までで一番よい作品が多かったと感じた。
川村元気(映画プロデューサー/小説家)
「家にいる時間をどのように過ごすか」に思いを巡らせた年だと改めて感じた。
より心地良く生きること、家の中から世界を少しでもより良くしていこう、という提案が多く見られた。
1次から2次審査にかけて飛躍的によくなった作品が多かったので、審査をしていてとても楽しかった。自分が携わった審査の中でも、今回が一番、ヒット商品が生まれるのではと感じた。
中村勇吾(インターフェースデザイナー)
今年のテーマ「THE NEXT WELLBEING」は主催者がコロナ後の社会を念頭において提案されたものであったと感じる。
ステイホームが長びく環境下で、これまではあまり意識することがなかった「生活に身近なもの」や「身の回りのもの」に関する作品を選んでいる自分がいて、環境の変化により選ぶ作品が大きく変化したことに自分でも驚きを感じた。「選ぶことを通して自分の感受性の変化」に気づく、そういう印象的な年だった。今回選出された作品は、1次審査のシートから2次審査でのフィニッシュのクオリティが大きく上回り、とても感動的だった。
- TOKYO MIDTOWN AWARD 2021アートコンペ受賞作品一覧
■グランプリ(1点)
作品名:《なまず公園》
受賞者:丹羽優太+下寺孝典
<作品コンセプト>
鯰が地震を起こすという江戸時代に生まれた伝承をもとに、鯰型遊具、自転車紙芝居、絵画など使ったインスタレーション作品。まるで公園のように、道行く人びとが遊具に乗り、紙芝居を見にくることにより、自然と巷が生まれる。過去と現代をつなぎ合わせ、人々のつながりも再認識させる。
■準グランプリ(1点、本年度は該当なし)
■優秀賞(5点) ※審議の結果、これからの成長を期待し、優秀賞の中から審査員特別賞を1点選出しました。
作品名:《私がかきました。》 審査員特別賞
受賞者:坂本史織
<作品コンセプト>
私はホームセンター店員です。
あるとき、ペンキをご注文のお客様が「東京ミッドタウンしってるだろ?あれの地下は、ぜ〜んぶ俺が塗ったんだ。」とおっしゃいました。ハッとしました。私が毎日商品のホコリを払うように、どんな場所も無数のだれかの手によってできていると、やっと気がついたのです。私が働くホームセンターの商品を、私がひたすらかきました。身のまわりを支える、気づきうるすべてのことへ思いをはせながら。
作品名:《borderless》(ボーダーレス)
受賞者:草地里帆
<作品コンセプト>
私たち人間は、ほかの生き物の歴史を改変してまで生きていることに普段は目を向けない。本作品に使われている絹糸の原料である繭を作るカイコガは5,000年以上前から人々の暮らしに関わり続けたと共に、多くの品種改良が行われてきた。その際に行われる遺伝子操作は本来の遺伝子の歴史においてのバグであると考えた。また、緯糸の再帰性反射糸は注意喚起の意味を持つ。作品を通して自然と人との関係について再考してほしい。
作品名:《The Vision of Nowhere》(ザ ビジョン オブ ノーウェア)
受賞者:蔡云逸
<作品コンセプト>
洞窟のような六本木の通路に私が夢で見たものことを壁に描く。
断片的な夢日記の中のストーリーを一つの大きな物語に繋げる。
眠っている裸の人間、彷徨う動物たち…都市に実在しない風景をこの壁画に現れるのを祈る。
5,000年前のbushmanは幸運と未来を予言するためにロックアートを作っていた。
六本木の地下通路に現れたこの壁画を見ることによって、
自分なりの予言や意味を想像させる時空を今の鑑賞者に与えたい。
作品名:《Blue mob》(ブルーモブ)
受賞者:柴田まお
<作品コンセプト>
Covid-19のパンデミックによって、 この一年足らずで我々の取り巻く環境やコミュニケーションの在り方はめまぐるしく変化した。通信インフラがフル活用され、自己表現や発表の在り方も大きな転換期に立たされている。私はそんな環境の変化に違和感を感じながらも、受け入れ直視していくような作品を作る。多くの人が行きかうこの東京ミッドタウンの中でまた新たなコミュニケーションをカタチにし、表現したい。
作品名:《ニュー洛中洛外図》(ニューラクチュウラクガイズ)
受賞者:都築崇広
<作品コンセプト>
洛中洛外=都市と郊外、です。現代の都市風景を合板の木目にのせることで洛中洛外図をアップデートします。
膨張と増殖を繰り返す現代都市、その複製を担っているものの1つに工業的に大量生産される合板があると考えました。合板の木目には工業製品ならではの木目が現れます。もやもやとしてリピート感のあるその木目をホームセンターで見ていたら、たなびく金雲が見えてきました。そんな合板から現代版洛中洛外図を考えます。
- TOKYO MIDTOWN AWARD 2021アートコンペ審査員総評
総括
アートコンペでは、テーマは「応募者が自由に設定」とし、総計244点の応募がありました。
立体、絵画作品の応募数が最も多く、その次にインスタレーションと続く形となりました。今年度は20代前半から半ばの若い年代からの応募が多かった点が特徴的でした。人との接触が制限される状況が常態化しつつある中、現在の状況や自分の内面にある問題意識と向き合う作品が多くみられましたが、次の時代の価値観の萌芽を予感させる作品や作家に注目が集まり、コロナ禍を乗り越えた先にある未来を予感させるような作品が最終的に上位に残りました。
審議およびこれまでの受賞作品の仕上がりと照らし合わせた結果、今回は予定していた準グランプリ1点の選出には至りませんでしたが、今後の期待を込めて、審査員特別賞を2018年以来顕彰する運びとなりました。
大巻伸嗣(アーティスト)
昨年度はコロナの影響により、皆が内に籠もらなくてはならない状況になったが、それに抵抗していこうという作品が多く見られた。今年は状況を受け入れ、そこから見えた世界についてや、近い将来のあり方を見据えた作品が出てきたことは大変興味深かった。東京ミッドタウンの場所性、空間を考え、いままでの固定概念を超えた展開を考えられるような作品が、もっと出てきて欲しいと思う。空間として規制されることもあるが、小さくまとまってしまうことがとても残念である。それぞれの作家が、もっている可能性を存分に発揮した作品を期待したい。
金島隆弘(ACKプログラムディレクター/京都芸術大学客員教授)
コロナ禍の真っ只中、東京オリンピックを跨いで開催された今回。新しい審査員を迎え、若いアーティストからの提案もエネルギーに満ち溢れ、審査する側にいながらも、あらゆる皆さん、そしてアートに自分が支えられているという実感の持てるコンペとなりました。これからどのような未来が待ち受けてるかは未知数ですが、アートにはその先を照らし、次の社会を指し示してくれる、そんな可能性があります。このコンペが継続され、東京ミッドタウンの道標のような存在になっていくことを切に願います。
クワクボリョウタ
(アーティスト/情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] 教授/多摩美術大学情報デザイン学科非常勤講師)
このアワードもコロナ禍に見舞われて2年目を迎えます。制限の多い生活が長引くにつれて一時的だと思っていた変化も気づかないままに不可逆なものとしてわが身に浸透していく危惧を感じます。私たちが作品を作るというのはそうした流れに対して自覚的であるために優れた営みなのではないでしょうか。応募作品を見て、各々が自分が自分であることを確認するようなプロセスを重ねているように思いました。全体として少し内向きな傾向があるように感じましたが、積極的に解釈すれば、それは故あってのことです。
永山祐子(建築家)
初めての参加でしたが、2次審査、最終審査に至るまで通して感じた作家を育てる賞の姿勢に感銘を受けました。2次審査では審査員からもっとこのようにしたらいいというようなアドバイスもでき、最終発表を見るとそれぞれの作家が中間審査を経て考えた末にさらにブラッシュアップを遂げているように感じました。コロナ禍の大変な時代にそれぞれの精一杯をぶつけて出来上がった作品を目の前にでき、最終審査は私自身もたくさんのパワーと気づきをもらうことができました。作家の皆さんは審査課程の成長を見ても、これからさらにそれぞれが更なる成長を遂げていくことと思います。
林 寿美(インディペンデント・キュレーター/成安造形大学客員教授)
ようやく最終審査を終え、この賞がきわめて公平性に富んだものであると感じました。アーティストが自分のアイデアをプレゼンし、それに対して審査員がコメントしたり助言したりする時間が充分にあり、審査会では審査員同士が忖度ぬきに積極的に意見を交わす場が設けられています。賞は単に作品の優劣をつけるためのものではなく、アーティストの活動を社会に提示し、活かしていくためのひとつのチャンスです。作品を発表した6組の皆さんには、ぜひそのチャンスを次につないでいただきたいと願っています。
- 展示情報
【TOKYO MIDTOWN AWARD 2021 EXHIBITION】
期間:2021年10月14日(木)~11月7日(日)
受賞・入選した全16作品(デザインコンペのファイナリストを含む)を東京ミッドタウンのプラザB1にて展示します。
【東京ミッドタウン・オーディエンス賞】
期間中、来場者の一般人気投票をオンラインで実施し、「東京ミッドタウン・オーディエンス賞」を決定します。結果は11月下旬にTOKYO MIDTOWN AWARD オフィシャルサイトにて発表します。
- トロフィー
TOKYO MIDTOWN AWARDでは、各年度ごとにオリジナルのトロフィーを制作しています。
2021年度のトロフィーはますます活躍の場をひろげている、2008年「TOKYO MIDTOWN AWARD」のデザインコンペ受賞者、鈴木啓太氏(PRODUCT DESIGN CENTER)がデザイン、制作した作品です。
【コメント】
それぞれ異なる形を持つ10の石が重なりあい、1つの形を紡ぐ今回のデザイン。「マイルストーン(節目や道しるべの意味)」をテーマに、受賞者の方々へ2つのメッセージを贈ります。まず1つめは、この受賞がゴールではなく、輝かしい新たな始まりだということ。そして2つめは、受賞を通して得た人との縁が、未来を支える力になるということ。受賞者の方々のさらなるご活躍を願う気持ちを込めて、デザインしました。
概要の詳細は公式サイトをご参照ください
TOKYO MIDTOWN AWARD公式サイト www.tokyo-midtown.com/jp/award/
※デザインコンペ、アートコンペの各受賞作品画像は、以下のURLよりダウンロードいただけます。
www.tokyo-midtown.com/press/index_press.html
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三井不動産グループのSDGsへの貢献について
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、つまりESG経営を推進しております。当社グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。
※なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における1つの目標に貢献しています。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
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