「大丸有SDGs ACT5」の社会的インパクト評価を推進
参加者の行動変容促進を通じ、一定の経済効果を生むポテンシャルがあることを推計
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)と三菱地所株式会社(執行役社長:中島篤、以下 三菱地所)は、「大丸有SDGs ACT5実行委員会(※1 以下 ACT5実行委員会)」が大丸有SDGs ACT5(以下 ACT5)としてSDGs達成に向けて推進する、さまざまなアクションの効果を可視化する手法の構築とその効果算出に取り組んでいます。本日、その取り組み成果を公開しました。
1. 背景
持続可能な社会の実現には、個人や企業などそれぞれの立場で社会課題解決を意識して行動することが重要です。このため、ACT5実行委員会は2020年度以降、就業者約35万人、約5,000事業所が集う大手町・丸の内・有楽町エリア(大丸有エリア)を起点に、SDGs達成に向けたまちぐるみでの活動を推進しています。
近年、企業のCSR活動や社会貢献プロジェクトが社会に与える影響を可視化し、測定・管理するインパクト評価の重要性が高まっていますが、インパクト評価における経済効果推計や貨幣価値換算ではいまだ世界標準となる手法はありません。こうした社会的背景も踏まえ、5年目の節目を迎えたACT5について、ACT5実行委員会の委員長企業である三菱地所がMRIに委託し、社会的意義を可視化するインパクト評価手法の構築と効果算出に取り組みました。
なお、MRIは、2021年度から2023年度にかけて、ACT5をフィールドとして、地域課題解決型デジタル地域通貨サービス「Region Ring®」のポイント機能等を活用したSDGsアクション促進事業を実施し、行動変容等の効果を確認してきた経緯があります。
2. インパクト評価の概要・成果
(1)取り組みの概要
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「丸の内ポイントアプリ」(※2)2024年度ACT5キャンペーンにエントリーした方(約11,000人)を対象に、Webアンケート調査を実施。ACT5のアクションへの参加状況や日常生活でのSDGsに関する意識・行動、大丸有エリアへの愛着度などを調査し、約4,300件の有効回答を獲得
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2024年度ACT5アクションのうち、下田MIRAIカレッジプロジェクト(※3)(ACT3)・E&J(※4)(ACT4)の2つのアクションを対象に、具体的なインパクト評価手法を構築
(2)主な成果
上記取り組みを通じ、以下の知見・示唆が得られました。
① 日常生活でのSDGsに対する意識・行動変容
ACT5キャンペーンにエントリーして実行委員会が発信するSDGs関連情報に触れたり、ACT5の個別アクションに参加したりという体験を通じ、日常生活でのSDGsに対する意識・行動変容が生じていることが示唆されました。
② 大丸有エリアへの愛着度向上
ACT5への参加を通じて大丸有エリアへの愛着や勤続意識が向上し、関係人口の増加に貢献することが示唆されました。
③ ACT5の高い社会的インパクト
今回の検討において、ACT5のインパクトは以下3つの効果を包含する広義のものであると定義しました。
・ 参加効果 : ACT5の個別アクション参加による直接的な意識・行動変容
・ 情報発信効果 : ACT5の情報に触れることによる間接的な意識・行動変容
・ 取り込み効果 : SDGs意識の高い層のACT5への取り込み

この前提のもと、ACT5と密接に関連する指標(フードロスによる経済損失額、世帯あたりCO2排出量、一人あたり国民医療費、ボランティア貢献額)を設定し、Webアンケート結果から一定の仮定を置いた上で、ACT5のポテンシャル推計ロジックを構築・試算しました。
その結果、SDGs高意欲層のACT5への取り込み・情報接触による効果(取り込み効果・情報発信効果)、ACT5個別アクションによる効果(参加効果)はいずれも一定の効果(貨幣価値換算を行った指標についてはいずれも年間効果額を約900万円~約7,000万円と推計)があるという結果が得られました。

④ 個別アクションのインパクト評価手法構築
下田MIRAIカレッジプロジェクト・E&Jについて、おのおのが着目する社会課題の関係性を可視化する「社会課題マップ」、アクションが目指す社会課題解決・インパクト創出のストーリーを表現する「ロジックモデル」を作成し、今後継続的に取得すべきKPIについて取りまとめることで、インパクト評価手法を構築しました。
3. 今後の予定
ACT5の効果を可視化することで、その社会的意義を効果的に訴求できるようになると考えられます。MRIと三菱地所、ACT5実行委員会は、今後のACT5の活動拡大、およびACT5が目指す長期的に実現可能なSDGsモデル都市の構築に向けて、今後も継続的にインパクト評価に取り組みます。
三菱地所は、今後も企業や就業者・来街者など多様なステークホルダーとともに、持続可能なまちづくりを目指します。また、MRIは企業・団体の社会貢献活動促進、産学官連携によるエコシステム形成、イノベーション推進等における、非財務価値も含めた可視化の重要性を踏まえ、インパクト評価に継続して取り組みます。
※1 大丸有SDGs ACT5実行委員会
大丸有エリアに拠点を置く企業が集まり、SDGsの目標期限である2030年の10年前にあたる2020年5月に発足。大丸有エリアを軸に、企業が主体となって取り組むことで、企業間連携によるSDGs活動の相乗効果を検証し、長期的に実現可能なSDGs モデル都市の構築を目指す「大丸有SDGs ACT5」を推進する組織。「サステナブルフード」「環境」「ひとと社会のWELL」「ダイバーシティ&インクルージョン」「コミュニケーション」の5つのACT(テーマ)を設定し、各アクションの実践、効果の検証、社会課題の構造的な問題を明らかにすることをミッションとする。
「大丸有 SDGs ACT5」は2024年度から「丸の内ポイントアプリ」と連携しており、ACT5イベントへの参加など、SDGsアクションを起こすことで、丸の内ポイントを貯めることができる。

・大丸有 SDGs ACT5 公式サイト:https://act-5.jp
・ポイント(ACT5 キャンペーン)について:https://act-5.jp/points/
・2024年度大丸有 SDGs ACT5アクションレポート(2025年3月12日公開):https://act-5.jp/wp-content/uploads/2025/03/ACT5-report2024.pdf
【実行委員会構成企業・団体】
三菱地所株式会社(委員長)、農林中央金庫(副委員長)、株式会社日本経済新聞社(副委員長)、株式会社日経BP、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、大丸有エリアマネジメント協会、大丸有環境共生型まちづくり推進協会、丸の内熱供給株式会社、株式会社東京国際フォーラム
※2 丸の内ポイントアプリ
大丸有エリアの600店舗でのお買い物でポイントが貯まり、支払い時に貯まったポイントを利用できるアプリ。丸の内ポイントアプリ内でACT5キャンペーンにエントリーした上で、マイボトルやエコバック、マイ箸の持参、古くなった衣類の回収協力や、大丸有SDGs ACT5が実施する様々なSDGs関連イベントへ参加することにより、ポイントやクーポンの獲得が可能。登録者数約30万人(2025年1月時点)が利用する丸の内ポイントアプリを活用することでさらに個人の行動変容を促し、エリア内の随所でSDGsアクションを起こすきっかけが生まれ、次のSDGsアクションにつながっていく好循環の構築を目指す。
※3 下田MIRAIカレッジプロジェクト
ACT3(ひとと社会のWELL)のアクションとして、下田が抱える社会課題を探査し、都市ワーカーの関わり方の可能性を模索するプロジェクト。第2回となる2024年度は、ワークショップや視察会を経て、参加した高校生が地域の発展、課題解決に向けたアイデアや、取り組み方策等を検討。高校生起点の地域発展と課題解決策の社会実装に向けた取り組みが展開しつつある。

※4 E&J
ACT4(ダイバーシティ&インクルージョン)のアクションとして、「これからは誰もがEnjoy&Join(E&J)でD&Iを推進する」という思いを込め、企業担当者向けのセミナー・交流会「E&Jラボ」や、誰もが楽しみながら参加できる啓発イベント「E&Jフェス」等を開催している。
・2024年9月26日リリース:「未来のアタリマエ~ダイバーシティで次にいこう。@丸の内「E&Jフェス」開催 2024年10月11日(金)・12日(土)

関連資料
大丸有SDGs ACT5 インパクト評価手法の構築および試算
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本件に関するお問い合わせ先
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【内容に関するお問い合わせ】
株式会社三菱総合研究所 政策イノベーションセンター 加納、宮川
メール:mec_impact@ml.mri.co.jp
【大丸有SDGs ACT5に関するお問い合わせ】
大丸有SDGs ACT5 実行委員会事務局(info@act-5.jp)
TEL:03-3280-5780(平日のみ 10時~17時)
【報道機関からのお問い合わせ】
株式会社三菱総合研究所 グループ広報部
メール:media@mri.co.jp
三菱地所株式会社 広報部
TEL:03-3287-5200
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