Green Carbon株式会社は、ベトナム国家農業大学およびベトナム農業遺伝学研究所と連携し、カーボンファーミング導入によるカーボンクレジット創出の共同実証を開始
カバークロップとして大豆を活用し土壌へ炭素を貯留、持続可能な農業の推進を目指す
ネイチャーベースのカーボンクレジット創出・販売事業を展開するGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon(グリーンカーボン))は、Center for Organic Agriculture Promotion and StudiesとCenter for Experiment and Vocational Training (ベトナム国家農業大学)(以下:VNUA)、およびベトナム農業遺伝学研究所(以下:AGI)と連携し、カバークロップとして大豆を活用した土壌炭素貯留農法(カーボンファーミング※1)導入によるカーボンクレジット創出の共同実証(以下:本プロジェクト)を開始したことをお知らせします。
本プロジェクトは、国際的なカーボンクレジット基準であるVerra※2の方法論「VM0042」に基づき、農業土壌への炭素貯留と持続可能な農業の推進を目指すもので、2025年5月よりナムディン省の実験圃場にて実証を開始しています。

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◆本プロジェクト締結の背景
Green Carbonは、東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んでおり、森林保全、水田、マングローブ植林、牛のゲップ削減、バイオ炭プロジェクトなど幅広い分野でのプロジェクトを展開しています。各地域の自然資源の特性に適したカーボンクレジット創出プロジェクトの開発を行うとともに、衛星データを活用した適地選定とモニタリングにより、効率的かつ透明性の高いプロジェクト運営を実現しています。特にベトナムにおいては、AWD※3を用いた水田のメタンガス削減プロジェクトを主力事業として推進しており、2024年8月にはベトナム支社を設立し、現在同国の22省とのMOUを締結し、プロジェクト開発を進めています。
また、東南アジア地域における持続可能な農業の推進及び農業由来のカーボンクレジット創出に向けて、東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)傘下の東南アジア地域農学高等教育研究センター(SEARCA)とMOUを締結しています。自然由来のカーボンクレジットのプロジェクト開発における協力を推進していくと共に、土壌炭素貯留を促進するカーボンファーミングにも注力しています。
上記実績を踏まえ、ベトナムでの農業分野における温室効果ガス排出量の削減と、土壌の健全性の向上を目的に、Green Carbon Japan Vietnam Co., Ltd.(以下:ベトナム子会社)、VNUAおよびAGIとMOUを締結し、本プロジェクトを開始する運びとなりました。本プロジェクトでは、窒素を固定する能力を持つ大豆をカバークロップとして活用することで、土壌の炭素貯留能力を高め、地力や土壌構造を改善し、化学肥料の使用量削減に貢献します。これにより、Verra基準に準拠した、拡張性のあるカーボンクレジット創出の基盤構築を目指してまいります。
◆本プロジェクト概要と活用する技術
MOUに基づき、各組織は以下の役割を担い、緊密に連携してプロジェクトを推進します。

AGI (ベトナム農業遺伝学研究所) |
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研究所が保有するコレクションおよび他の供給源から大豆の種子品種を供給・評価し、VerraのVM0042方法論の下でカバークロップとして使用するのに最も適した品種を特定します。 |

VNUA (ベトナム国家農業大学) |
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現地の試験、土壌サンプリング、および農家との連携を主導します。また、農家がモデルを再現し拡大できるよう、技術的なコンサルティングと研修を提供します。 |

ベトナム子会社 (Green Carbon Japan Vietnam Co., Ltd.) |
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プロジェクトの運営とコンプライアンス(法令遵守)を監督します。また、ベトナムの多様な生態地域に適応する新しい大豆品種や、その他の被覆作物の研究開発を推進しており、プロジェクトに参加する地域コミュニティのスキル向上と意識向上を目的とした研修も提供します。 |

Green Carbon(本社) |
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カーボンクレジット創出のための技術指導と妥当性確認・検証(バリデーション)の支援を提供します。 |
本プロジェクトは、以下の2つのステップで構成されます。
〇ステップ1(2025年5月〜9月)
ナムディン省の実験圃場にて小規模な実証試験を行い、ベースラインデータの収集とカバークロップ(被覆作物)の有効性を評価します。
〇ステップ2(2025年10月〜2026年1月)
ステップ1の結果を基に、選定された現地の農業地域でパイロット導入を実施します。
<活用する技術・方法論について>
本プロジェクトでは、世界的に認知された炭素会計の枠組みであるVerraの方法論「VM0042:改良された農地管理」が用いられます。休閑期(作物を栽培しない期間)にカバークロップとして大豆を導入することで土壌を豊かにし、土壌侵食を防ぎ、長期的な炭素の貯留を可能にします。
クレジット創出・認証プロセスにおいては科学的根拠に基づいた厳格なデータ収集が不可欠です。今回、プロジェクト前後での土壌サンプリングと分析、植物バイオマスの評価、温室効果ガス排出量のモニタリング、持続可能な農法に関する農家へのトレーニングなどを実施し、その結果をカーボンクレジットの妥当性検証(Validation)のための報告書としてまとめる予定です。

◆今後の展望と将来的な目標
ステップ1の試験成功後、ステップ2ではナムディン省の実験圃場から、選定された現地の農業地域へとプロジェクトを拡大する計画です。将来的には、具体的な拡大規模や面積は検討中ですが、今回の実証で得られる知見を活かし、例えばベトナム国内でAWDを既に導入している、あるいは導入に関心を持つ水田地帯へもこのカーボンファーミングの取り組みを広げていきたいと考えています。
本プロジェクトを通じて、この農法が環境に優しく、かつ農家の収益にも繋がる持続可能な農業モデルとしてベトナムで広く認知され、認証されたカーボンクレジットを安定的に創出する仕組みを確立することを目指します。
※1:カーボンファーミング
農地土壌への炭素貯留を促進する農業手法の総称。化学肥料の削減と有機物投入の増加、間作・輪作の導入、不耕起・最小耕起農法の実践などを通じて、大気中の二酸化炭素を土壌に固定します。これにより温室効果ガスの削減と同時に、土壌の肥沃度向上、水分保持能力の改善、生物多様性の増加など、農業生産性と環境の持続可能性を高める多面的効果が期待されます。
※2:Verra
2005年に国際排出量取引協会(The International Emissions Trading Association; IETA)、持続可能な開発のための世界経済人会議(The World Business Council for Sustainable Development; WBCSD)、 気候グループ(The Climate Group)の3団体によって創設されました。現在はVerraという民間の団体が管理しています。VCSとは、世界で最も広く使用されている、企業、団体、個人の行う温室効果ガス削減のプロジェクトから発行されるクレジットの認証基準のことを指します。温室効果ガスの排出削減または吸収量をクレジットとして扱うことが可能であり、近年注目を浴びています。クレジットとは、温室効果ガスの削減量が信用できるものであることを認証し、一般的な商品のように売買できる形にしたものです。
※3:間断灌漑(Alternate Wetting and Drying;AWD)
間断灌漑(AWD)は水田の水位を目安に、数日おきに入水と自然乾燥を繰り返すという手法になります。湛水状態で増殖するメタン生成バクテリアの活動を制限することで、米の生産を維持しながらメタン排出を効果的に削減することができます。またAWDの場合、連続的な入水に比べ、水使用量を削減することができ、水資源の保全にも寄与します。さらには、ミミズの活動を促進し、作物への害虫や病気の被害を軽減し、倒伏耐性を高め、米の収量と品質の両方を向上させる効果が確認されています。
◆Green Carbon 株式会社
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :東京都千代田区麹町2-3-2 半蔵門PREX North 9F
設立 :2019年12月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業及びESGコンサルティング事業
URL : https://green-carbon.co.jp/
◆GREEN CARBON JAPAN VIETNAM COMPANY LIMITED
略称 :GREEN CARBON JAPAN VIETNAM CO,. LTD
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :10th Floor, The Nexus Building, 34-3B Ton Duc Thang, Ben Nghe Ward, District 1, Ho Chi Minh City, Vietnam
設立 :2024年8月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業、農業関連事
◆Green Carbon事業紹介
Green Carbonは、「生命の力で、地球を救う」をビジョンとして掲げ、国内外において自然由来のカーボンクレジット創出・登録・販売までを一気通貫してサポートする事業を展開しており、その他にも、農業関連事業、研究開発事業、ESGコンサルティング事業なども展開しております。
事業展開領域は日本、東南アジアを中心にオーストラリア、南米まで拡大しており、自然由来のカーボンクレジット(水田、バイオ炭、森林保全、カーボンファーミング、マングローブ植林、牛のゲップなど)を創出しています。国内の水田においては、2023年度日本初・最大級(約6,220t)で水田のJ-クレジットの認証を取得しており、2024年度は約40,000ha(約80,000t)に拡大しました。また、クレジット登録・申請・販売までをワンプラットフォームで完結するサービス「Agreen(アグリーン)」を提供しており、クレジットの申請登録時にかかる手続きや書類作成などを簡略化し、クレジット創出者の工数を削減しています。
◆Green Carbon株式会社SNSはこちら
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