スパイダープラス、働き方改革関連法適用後の建設業界定点調査結果を発表
働きやすさが向上する一方で、毎月45時間以上の残業をしている従事者もおり、対策の余地が残る結果に。他業種からの転職者や女性の働きやすさにも注目。

建設DXサービス「SPIDERPLUS」を提供するスパイダープラス株式会社(以下「当社」)は、2024年の4月に、建設業従事者を対象にしたアンケート調査を実施いたしました。
2024年4月および10月にも同じテーマで調査を行い、3回の調査結果を通じて2024年4月から働き方改革関連法が適用された後に建設業従事者たちが働くことに対して抱いている課題意識や残業時間の実情、転職者や女性の働きやすさのポイントについても分析しました。
今回の調査結果では、働き方改革関連法が大きな外的要因となり、デジタルツールの導入や職場環境の整備に一定の進展が伺えることや、建設業従事者たちが感じる「働きやすさ」には向上が見られました。
一方で、2024年に毎月45時間以上残業をした従事者がまだ存在することから、残業時間対策にまだ取り組み余地があること、時間管理の次の課題意識の芽生えが見られることなどもレポート本文で取り上げています。
調査概要
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実施時期:2024年4月、10月、2025年4月
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対象業種:建築、土木、設備、設計の建設業従事者
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対象地域:日本全国
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対象年代:20-60代
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対象人数:2,500名
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調査方法:インターネット調査
調査ダイジェスト
「現在仕事をしていて働きやすい」と感じる従事者は引き続き増加

以下は働きやすさを感じる環境的要因について、当てはまるものを3つまで選択してもらったところ、「デジタルツールの導入」は2024年10月度から2025年4月度の半年間で3.5pt減少しており、変わりに「トイレや休憩室が男女で分かれている」ことが継続して増加傾向を見せています。
3回の調査で最多の選択肢は「事務所が綺麗に保たれている」であり、2024年10月度から2025年4月度で0.8pt減少したものの、2024年4月度から2024年10月度の半年間では5.7pt、同年4月度からの1年間でも4.9pt増加しています。
このことから、従事者が働きやすさを感じやすい組織では、デジタルツール導入がある程度進み、「処遇の改善」へ関心が移っているのではないかと推測されます。
他業種からの転職者を惹きつけるのは「待遇の良さ」、「やりがい」は転職後の満足にも影響大
厚生労働省が10月29日に公表した2024年9月分の一般職業紹介状況によると、建設業(採掘含む)の有効求人倍率は5.20倍と、全業種の平均1.24倍に比べると5倍近くの就業機会を抱えています。こうしたことを背景に、建設業では転職者が増加傾向にあります。
他業種から転職してきた回答者を対象に、建設業に転職した理由を尋ねたところ、3度の調査で最多を占めているのは「良い待遇」であり、2024年4月度から2025年4月度の1年では5.3ptも伸びています。
このほか「手に職をつけたかったから」も3度の調査では継続して増加を見せています。
他業種から転職してきた回答者のうち、「転職してくるにあたっての理由」を達成できていると感じている回答者はそうではない回答者を大きく上回っており、その割合も増加傾向にあります。

2024年に毎月45時間以上残業した従事者は3割ほど、毎月45時間を超えている従事者も
2024年4月からは建設業に働き方改革関連法が適用され、「残業時間が45時間を超えた月はなかった」と選択した回答者は7割近くを占めています。

一方で、31.4%の回答者が「2024年1年間で月間残業時間が45時間を超えた月があった」と選択しており、そのうち、16.7%の回答者が「毎月45時間以上の残業をした」と選択していることから、残業時間対策はまだ取り組み余地が大きいことがわかりました。

女性従事者の働きやすさの鍵は「柔軟な制度」と「環境整備」
2025年4月度の調査では、調査対象2,500名中33.3%、514名が女性です。
普段仕事をしていて働きやすいと感じているのはそのうちの68.1%にのぼり、その理由を環境・制度面で尋ねたところ、突出して多い割合を占めたのは「急な休みに対応できる制度がある」でした。

出産や育児など、女性は特定のライフイベントにおいて長期間の休暇を取る必要がある傾向が男性よりも強いです。こうした事情から、柔軟な働き方や制度の存在は女性従事者の働きやすさにとって、特に重要です。
女性が働きやすい環境や制度が整うことは、組織全体が多様な視点を取り入れて働き方をより良くしていくことに繋げやすくなり、男性従事者の働きやすさの向上にもつながります。
女性建設技術者は2010年の2万4,700人から2020年には4万5,710人となり、10年間で85.1%の増加率を示し、技術者の女性比率も5.4%から9.0%まで大幅な上昇を続けています。
人手不足問題が継続する建設業界において、女性の働きやすい環境づくりは、業界の健全で持続的な成長の鍵であると考えられます。
今回は建設業に対して働き方改革関連法が適用された2024年4月から、法適用半年後の同年10月、そして法適用から1年後の2025年4月と、3度にわたり同じ内容の調査を通じて、建設業の働き方の実態や意識の変化を明らかにし、より良い建設業のあり方を考える契機としたいと考えております。
スパイダープラスでは、オウンドメディア「SpiderClass」にて本調査レポートの全データを公開しています。
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