クリスマスを彩る6万鉢の奇跡　入間の温室が燃ゆる

日本初の商業用栽培から50年―篠園芸の15品種6万鉢が出荷最盛期、11月21日取材会

入間市

2025年11月10日 18時00分

冬の訪れとともに、入間市の温室が鮮やかな紅に染まる季節がやってきました。市内の篠園芸では、約6万鉢、15品種ものポインセチアが出荷の時を迎えています。一鉢一鉢に込められた職人の想いが、これから日本中のクリスマスシーンを温かく彩ります。

【背景】温室から始まる、日本の冬物語

日本の12月を象徴する花といえば、ポインセチア。クリスマスが近づくと花屋の店頭を彩るこの花は、実は明治時代に日本に渡来して以来、140年以上にわたって日本の冬を彩り続けてきました。

入間市寺竹にある篠園芸では、約50年前から商業用ポインセチアの栽培を手がけてきました。日本初の商業用ポインセチア栽培に取り組んだ農家の一人として、その技術と情熱を今日まで受け継いでいます。

11月、冬の足音が聞こえ始めるこの時期。入間の温室では、約6万鉢のポインセチアが最盛期を迎え、日本全国へと旅立つ準備を整えています。

【取り組み内容】色と形で魅せる、15の個性

篠園芸の温室に足を踏み入れると、視界いっぱいに広がる紅の絨毯に圧倒されます。そこには定番の深紅から、クリーム色、ピンク、絞り模様まで、15種類もの個性豊かなポインセチアが並びます。

栽培の特徴

品種の多様性：単なる「赤い花」ではなく、部屋の雰囲気や用途に合わせて選べる15品種を栽培
丁寧な栽培管理：8月上旬から挿し木を行い、10月ごろから陽に当てて育てる。温度管理や水やり、短日処理など、一鉢一鉢に職人の技が光る
直売体制：生産者から直接購入できるため、鮮度と品質を重視される方に好評

篠園芸で育てられたポインセチアは、丈夫な作りで枝折れが少なく、発色の良い「赤」が特徴。ハウスで栽培されるポインセチアは温室の温度を昼夜問わず常に15度以上に保つ必要があり、生産者の細やかな管理が欠かせません。

【埼玉県を代表する生産者】

埼玉県では、児玉地域（本庄市・上里町など）がポインセチアの全国的な産地として知られています。一方、入間市の篠園芸は約6万鉢を栽培する、単独生産者としては県内最大級の規模を誇ります。

東京都中央卸売市場へのポインセチアの入荷は、埼玉県と愛知県からが多く、篠園芸のポインセチアも都内や県内の市場をはじめ、商業施設、企業、一般家庭へと届けられ、多くの人々のクリスマスを彩っています。

首都圏の大消費地に近いという利点を活かし、埼玉県では野菜、米、花きなど多様な農産物が生産されています。篠園芸は約50年にわたり技術を磨き、埼玉県を代表するポインセチア生産者の一つとして、高品質な花を届け続けています。

【ポインセチアが彩る、冬の風景】

ポインセチアの価格帯は、家庭用の小鉢で1,000〜2,000円程度から、贈答用の大鉢で4,000〜5,000円程度まで様々。病院のロビー、オフィスの受付、家庭のリビング――ポインセチアは、人々の日常にささやかな温もりと季節感をもたらします。

鮮やかな赤い部分は、実は花ではなく「苞（ほう)」と呼ばれる葉が変化したもの。本当の花は、苞の中心にある小さな黄色い部分です。この赤はキリストの血の色に例えられ、緑は永遠の象徴、白は純潔を表すことから、クリスマスの装飾として世界中で愛されています。

【今後の展開】冬を彩る、地域とともに

篠園芸では今後も、品質向上と品種拡充を続けながら、持続可能な生産体制の構築を目指します。また、直売所での販売を通じて、生産者と消費者の距離を縮め、「顔の見える花づくり」を推進していく方針です。

入間市としても、地域農業の魅力発信と生産者支援を強化。今回のような取材機会を通じて、市民や全国の皆様に「入間で育つ花」の価値を届けていきます。

取材のご案内

日時：令和7年11月21日（金）10:00〜11:00
場所：篠園芸（入間市大字寺竹351-2）※駐車場完備
取材申込締切：11月19日（水）

この冬、誰かの部屋を温かく彩るポインセチア。その始まりの物語を、ぜひ取材ください。

入間市について

【狭山茶の郷から世界へ】入間市が描く「Well-being City」の未来図～伝統の茶文化と最先端のまちづくりが織りなす、心豊かな暮らしの新モデル～

　首都圏から電車で約1時間。市内には緑豊かな茶畑が広がり、季節の移ろいとともに風景が変化する、どこか懐かしい景色が残されています。入間市は、商業的茶産地としては日本最北に位置し、狭山茶の発展とブランド化に大きく関わってきた地域です。歴史ある茶文化を大切にしながら、現在では多様な文化や価値観を取り入れたまちづくりに取り組んでいます。