ソイルセメントを利用した「円形コンバック®」の事業化について

~土砂災害・盛土崩壊への新たな備えとして、現場発生土を有効活用~

旭化成株式会社

旭化成アドバンス株式会社(本社:東京都港区、社長:春見 恵司、以下「旭化成アドバンス」)と株式会社土木管理総合試験所(本社:長野県千曲市、社長:下平 雄二、以下「土木総合管理試験所」)、小岩金網株式会社(本社:東京都台東区、社長:西村 康志、以下「小岩金網」)は、工事現場で発生した土(以下「現場発生土」)を有効活用する「ソイルセメント※1を利用した円形コンバック」※2(以下「本工法」)の実用化に成功し、本年4月、事業化に至ったことをお知らせします。

「円形コンバック」施工事例

近年、異常気象を始めとする原因で土砂災害や盛土の崩落事故が深刻化する中、盛土の安全管理が全国的な課題として強く認識されるようになりました。こうした背景から、2023年には「盛土規制法※3」が施行され、各工事現場において発生した土砂の仮置きや排出・処分などについて、同法に基づく許可申請手続きの厳格運用が義務化され、現場発生土の有効活用も災害リスク低減のための対策であると同時に、法対応としても非常に重要なテーマとなっています。

また旭化成アドバンスと小岩金網は、落石・崩土対策や洗掘※4対策などの法面(のりめん)保護に用いる円形コンバック工法を2021年から手掛けており、従来はコンクリートを充填材として利用し、構造体としての強度特性を確保していました。しかし、山間部での施工では、セメント工場から現場までの運搬における制約が課題となっていました。

旭化成アドバンス、土木管理総合試験所、小岩金網の3社は、この社会的要請に応えるべく2023年よりコンクリートの代替材料として現場発生土を有効活用した本工法の開発に着手し、ラボ実験や実物大試験施工などを重ね、さまざまなデータを取得、検証を経て、本工法の実用化に至りました。

なお現在、本工法に関する、「粘性土ソイルセメントの製造方法、粘性土ソイルセメント成形体の製造方法」の特許出願中です。

ソイルセメントを利用した円形コンバックの特長

現場発生土を有効活用したソイルセメントを円形コンバックの中詰材として使用することで、現場打設式の大型ブロック積擁壁とすることができます。円形コンバックの内袋はソイルセメントの余剰水をスムーズに排水させるため硬化速度を高めます。また、円筒形の金網が型枠として機能するため、地形に応じた柔軟な配置が可能です。

さらに、重量物の運搬が困難な山間部や狭あい地などにおいても、現場発生土を用いることで施工性が向上し、対応力の高い工法となります。類似工法として、大型土のうに現場発生土を充填し積み上げる工法もありますが、袋の耐久性が低いため長期利用に適さず撤去と本設工事が必要となります。一方、円形コンバックは本設資材かつ現場発生土を流用できるため、大型土のう工法における「仮設」「撤去」「本設」の3工程を1工程に短縮でき、さらに、土砂崩落の修繕や豪雨災害の復旧工事では、土砂搬出の時間を軽減することができ、迅速な施工が可能となるため、復旧時間の短縮や二次災害のリスク低減に寄与します。

山間部における「ソイルセメントを利用した円形コンバック」の施工事例

また、内部に充填するソイルセメントは現場の掘削土砂を有効活用するため、土砂の排出(残土処分)を抑制し、残土処分地確保における処分地不足、運搬コストの増加、法規制の強化等の課題解決にも寄与します。さらに土砂排出の抑制による運搬車両や、工期短縮による重機の稼働時間低減が見込まれ、それらの排出するCO2の削減にも期待ができます。

今後も3社は連携し、ジオシンセティックス※5領域の新技術・新工法の開発を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

※1 ソイルセメント:現場で発生した土砂を有効利用するための工法。現場発生土にセメント、水を混合することで、セメントに準じた性能を付与することが可能になる。

※2 円形コンバックについてはこちら(旭化成アドバンスHP)

※3 盛土規制法:「宅地造成等規制法」を抜本的に改正して施行された「宅地造成及び特定盛土等規制法」のこと。「盛土規制法」は通称。(令和4年5月27日公布、令和5年5月26日施行)

※4 洗掘:水の流れや波の影響により河岸・河床(海岸・海底)の土砂が洗い流されること

※5 ジオシンセティックス:土木建設用途に用いる繊維、高分子資材の総称。

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会社概要

旭化成株式会社

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URL
https://www.asahi-kasei.com
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井タワー
電話番号
03-6699-3000
代表者名
工藤 幸四郎
上場
東証1部
資本金
1033億8900万円
設立
1922年05月