「出産・子育て応援ギフト」はニーズに合った支援になっている? 国はクーポン支給を推奨しているが、実際は現金給付が約8割で、その満足度は7割超!クーポン支給の“意外な盲点”も明らかに!?

「出産・子育て応援ギフト」の対象者722人に実態調査!

株式会社ベビーカレンダー

専門家から直接アドバイスを受けられる日本最大※の育児支援サイトを運営する株式会社ベビーカレンダー(旧社名:株式会社クックパッドベビー、本社:東京都渋谷区、代表取締役:安田啓司、以下「ベビーカレンダー」)は、出産・子育て応援ギフトの支給対象者(2022年4月1日以降に妊娠・出産した人)722名に『出産・子育て応援ギフト』についてアンケート調査を行いました(調査期間:2023年4月15日〜4月18日)。調査・分析の結果は以下の通りです。
※2021年11月時点において各メディア(当社選定競合サイト4社)が発表している月間PV数(当社調べ)において

厚生労働省は4月26日、国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに調査している「日本の将来推計人口」を公表しました。それによると、50年後の人口は現在の7割の8700万人に減少する見通しであり、2022年に80万人を下回った出生数は、2043年に70万人を下回ることなども見えてきました。より実効性のある少子化対策はもちろん、安心して結婚や子育てを望める社会の実現に向け、迅速な対策・対応が求められます。

そんな中、安心して出産・子育てができる環境を整えるため、2023年1月から「出産・子育て応援交付金」事業が各自治体によってスタートしました。「出産・子育て応援交付金」は、経済的支援と伴走型相談支援を一体化させたことがポイントで、妊婦さんやママ・パパのニーズに合った支援をすることを目的に掲げています。とはいえ、新たな試み故に不明瞭な点も多く、ニーズに合った支援になっているか判断しづらいところがありました。


そこでベビーカレンダーでは、実際に申請・受給した人たちの声を中心に、「出産・子育て応援交付金」事業の経済的支援にあたる「出産・子育て応援ギフト」の内容や10万円分の使い道、満足度など、独自のアンケート調査を実施。また、妊婦さんや子育て家庭のニーズに合った支援となり、少子化対策として一層役立たせるためには、今後どうしていくとより良い事業になり得るのか、独自に分析・考察を行いました。

【調査結果】

  • 1.「出産・子育て応援ギフト」は順調にスタートしている模様!ギフト形態は約8割が現金給付で、満足度も74%と高評価!

「出産・子育て応援ギフト」は、2022年4月1日以降に妊娠・出産した人を対象に、伴走型相談支援である「面談」を受けることで支給されます。「出産応援ギフト」は、妊娠届出時に面談を受けると、妊婦さん1人当たり5万円相当のギフトが支給されます。「子育て応援ギフト」は、出生した子どもを養育する人を対象に、産後に面談を実施すると、新生児1人当たり5万円相当のギフトが支給されます。

新制度は、対象者への案内が周知徹底されていないと「知らなかった」「申請し損ねた」となってしまってしまうことが懸念されます。そこでまずは「出産・子育て応援ギフト」に関して、対象者にどのような案内が行われているかを聞いてみました。


ちなみに、2022年12月にベビーカレンダー会員のママ881名に「出産・子育て応援交付金」を知っているかどうかを尋ねたところ、「はい」63%、「いいえ」37%という結果になり、6割以上のママが「出産・子育て応援交付金」を認知していることはわかっています。
参考:少子化の歯止めになる?10万円相当の「出産・子育て応援交付金」知らなかったママが、実は約4割も!(https://baby-calendar.jp/smilenews/detail/37793

結果、8割以上が自治体から案内書または申請書が届いているという結果でした。当事者への案内はスムーズに進んでいると言えるのではないでしょうか。
とはいえ、「出産・子育て応援ギフト」自体を知らないという人も、割合は2.9%と少ないですがまだいるという点は留意すべきだと考えます。「出産・子育て応援ギフト」の案内を自治体発信だけに留めず、妊婦さんやママ・パパと触れる機会の多い産院や保健所などでも、引き続き周知活動を続けていくことも大切でしょう。

■申請手続きは郵送のみにせず、早めにオンライン申請にも着手すべき!

制度対象世帯は仕事や子育てに忙しいため、申請や手続きがスムーズに行われているかも気になるところ。また、経済的支援はなるべく早く支給されるのが理想です。

そこで、「出産・子育て応援ギフト」の手続きはスムーズだったかを質問すると、84.9%が申請や手続きがスムーズだったと回答! 「申請書が送られてきて、それを返信用封筒で返すだけだった」「簡単な書類での申請で、確認もそこまで時間をとられなかった」などの好意的な意見が多く集まりました。しかし中には、「プリンターがないので、娘を抱いてコンビニまで必要書類をコピーしに行かなければならなかった」「紙ベースでの申請はナンセンス」という声も。


実は、申請手続きがスムーズだと回答した人の多くは、「オンラインで申請できた」「スマホで簡単に申請できた」といった理由を挙げており、オンライン申請のニーズが高まっていることは明らかです。申請手続きを郵送のみに限定している自治体は、なるべく早くオンライン手続きに着手すべきでしょう。

申請後、ギフトが支給されるまでの期間については、「申請から1週間〜2カ月未満」が30.7%と多く、次に「申請から2週間〜1カ月未満」で22.4%。約5割が申請してから2カ月未満に支給されているという結果でした。しかし、「もっと早く支給してほしい」「支給までが遅い」「時間がかかるのを解消してほしい」といった意見も多く寄せられているため、支給まで1カ月以上かけている自治体は、早急に短縮するような対策が望まれます。

■満足度が78%と高い現金給付を、クーポン等(現金以外)に統一する必要性はある? 
次に、「出産・子育て応援ギフト」を受け取った、または受け取る予定の人を対象に、ギフト内容について尋ねました。「出産・子育て応援ギフト」は、ギフト内容を各自治体に委ねられていますが、原則として以下のいずれかの方法で実施されることになっています。

 ・出産・育児関連商品の商品券(クーポン)
 ・妊婦健診交通費、ベビー用品などの費用助成
 ・産後ケアや一時預かり、家事支援サービスなどの利用料助成・利用料の減免


しかし、今回のアンケートよると上記3つのいずれかではなく、現金給付が約8割と圧倒的に多いという結果に!  さらに、経済的支援としての満足度を質問したところ、74%ととても高い満足度を得ました。

満足度の理由としては、「現金はミルク代金に充てられてとても助かった」「現金のほうが使い勝手が良くて、本当に必要な物を買える」「現金だったので、子どもの消耗品や光熱費等に充てることができ助かった」など、現金給付だからこそ、子育てに生かしやすかったという声が多く集まりました。

ただ、厚労省の資料「出産・子育て応援交付金の概要について(https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/001035057.pdf)」によると、現金給付は「オプションとして排除されないが」いずれは、「将来的にクーポン、広域連携など効率的な給付方法について検討いただきたい」とされています。ママたちの満足度も高く、現状多くの自治体が採用している現金給付の形態を、将来的にクーポン等に統一する理由はあるのでしょうか。


この疑問に関しては、「出産・子育て応援交付金自治体職員向けQ&A(第4版)(https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/001057979.pdf)」にその回答が掲載されています。要約すると「現金給付の場合、必ずしも子育て目的の消費に充てられない恐れがあり、また、貯蓄につながる可能性もあるから」との理由であり、これについては当制度の管轄・こども家庭庁の担当者からも見込み通りであるとの回答がありました。

しかし、今回のアンケート結果の満足度からすると、「出産・育児応援ギフト」の現金給付は、ママたちのニーズに合った支援になっていると考えられます。その点についても、前述の担当者に尋ねたところ「現金による支給とクーポン等による支給、それぞれメリットがあると考えていますが、今後の方向性については、さまざまなご意見を伺いながら検討していく予定です」との回答でした。現金給付を続けもらうための策の一つとして、「対象者の声を国側で集めることは困難なため、その声を届けていただくことは重要なことだと考えています」との回答も得ました。



  • 2.「出産・子育て応援ギフト」の気になる使い道は?実際に申請したママたちの声から見えてきた、現金給付のメリットやクーポン支給の盲点 

「出産・子育て応援ギフト」を受け取ったママたちは、実際にどのような使い道をしたのでしょうか。
まずは、「出産・子育て応援ギフト」を現金で給付されたママたちの声をご紹介します。

物価高騰が続く中、現金給付なら「子どもを育てる」ために必要なあらゆるお金に充てられる!?


▼現金給付だったママたちの主な使い道
<生後6カ月の女の子ママコメント・2022年4月~12月に出産>
完全ミルク育児なので、ミルクの買いだめや娘の服の購入です。あとは大人たちの生活費を補填しました。
<生後1カ月の男の子のママコメント・2023年1月〜4月に出産>
妊娠中にいただいた5万円は主に産婦人科の費用や赤ちゃんの服など、退院してすぐに必要となるものを購入し、残りは出産費用に充てました。産後の5万円は、おむつやミルクを購入。子育てを始めてみて、肌着等が思ったよりも必要になったため、不足分の買い足しにも使用しました。
<生後2カ月の女の子のママコメント・2023年1月〜4月に出産>
出産内祝いなどに充て、残りをミルクやオムツ、子ども服等の費用に充てました。

現金給付だったママたちからは上記のコメント以外にも、「育児用ミルク」「おむつ」「肌着」など、産後すぐに必要な消耗品類に充てたという声が多く集まりました。加えて、「現金だったので日々の生活費に使えてよかった」「育休中の食費にまわした」「現金だったので、生活全般に使えるので助かる」などの意見も。


物価高騰が続き、ガス代や電気代もさらに値上がりすることが見込まれている今、安心して出産・子育てができる環境を整えるためには、「出産・子育て応援ギフト」を生活費全般に充てることは不可避であると思われます。現金給付であれば、「子どもを育てるために必要なお金」を、各家庭の事情に合わせてすぐに使えます。これは、子育て世帯にとって大きなメリットとなる経済的支援と言えるでしょう。


続いて、クーポンで支給されたママたちの声をご紹介します。

■クーポン支給の場合は、「すぐに使う、買う」が難しいという盲点も!産後の忙しい時期に“余裕をもった支援”は適切か


▼クーポン券だったママたちの主な使い道
<生後6カ月の男の子のママコメント・2022年4月~12月に出産>
この先必要だなと思っている、ベビーサークル、ベビーゲートに使いました。
<生後8カ月の男の子のママコメント・2022年4月~12月に出産>
実はまだ妊娠中・産後のクーポン券は利用しておらず、自治体のカタログサイトを眺めている状況です。

「出産・子育て応援ギフト」をクーポン券で受け取ったママたちからは、「育児中にサイトを見て選んで……というのはとても手間がかかる」「カタログから選ぶのは時間がかかる」「使える店舗がほんの一部なので不満」など、産後の忙しい時期に、カタログから選ぶ手間や時間、使える店舗が限られる点などへの不満の声が多く集まりました。また、クーポン券は子育てに必要なものを「すぐに使う、買う」といったことには、やや不向きであることも見えてきました。

▼カタログから選ぶ手間や時間について
<生後6カ月の男の子のママコメント・2022年4月~12月に出産>
新生児期に商品の引き換えをしようとするのは負担が大きい気がしますが、有効期限は少し先まであったし、そんなに急がなければあまり負担はないように思います。
<生後8カ月の男の子のママコメント・2022年4月~12月に出産>
有効期間を長めに設定してもらえば、各々が落ち着いたタイミングで使うことができるので負担はそこまで多くないと思います。

クーポン券支給の場合は、カタログから選ぶという特性上、少し余裕を持った使い方をしている印象を受けました。とはいえ、「『カタログから選ぶ!』と決めたら迷う時間も減ったし、夫とあれこれ相談しながら選べたのでよかった」「カタログから選ぶことで、数多ある種類の中から口コミ等を調べて選ぶ時間が減る」など、クーポン券ならではのメリットもあるよう。ただ、使い方に計画性が必要だとも感じます。もちろんそれ自体は悪いことではありませんが、育児が始まって忙しい産後に「すぐに使う、買う」ことがしづらい点はデメリットであり、盲点と言えるのではないでしょうか。経済的支援に余裕や計画性が必要という点にも、矛盾も感じます。

【調査結果の総括】

  • 「出産・子育て応援ギフト」は対象者の満足度も高く、子育て世帯の助けになっている。
    一方で、これが「少子化対策」の一助になるかと言うとまだ力不足か。その他のフォローも必要。

今回の調査結果から、「出産・子育て応援ギフト」事業は順調にスタートしていることが見えてきました。ギフトの支給形態としては現金給付だった人が約8割で、その満足度は74%と高く評価されていることが明らかに。しかし、ギフト形態として現金給付が今後も続いていくかは定かではありません。「出産・子育て応援ギフト」が現金給付か、クーポン券かによって、メリット・デメリットの違いはありますが、それでも、受け取ったママ・パパたちの満足度は高く、子育て世帯の助けになっていることは評価に値するのではないでしょうか。

とはいえ、「税金が多い中で、この対策で『子どもが欲しい』と思う人は多くはないと思う」「根本的な原因を改善して欲しい」「10万円はありがたいが、もう1人産もう!とはならない」「継続的に手厚い支援がないと、お金の余裕がある層しか子どもは産めない」など、少子化対策としては厳しい意見が集まりました。子どもを産み育てたいと望む人々を後押しするための「少子化対策」としては、まだ力不足の面があると考えるべきでしょう。

しかしながら、「出産・子育て応援ギフト」は始まったばかりの制度。そのため、まだまだ改善の余地はあるはずです。そのためにも、対象者の声などを真摯に受け止め、今後もブラッシュアップしていく必要があるでしょう。前述したように、こども家庭庁の担当者も「対象者の声を届けていただくことは重要なことだと考えています」と言及しています。このことからも、私たちメディアや対象者が声をあげることはとても大切であり、その声をもとに、国や自治体がより有益な少子化対策に進展させていくことは急務な課題です。
少子化には多くの要因があるからこそ、多くの視点や立場で考えること、声をあげ続けることは今後一層大切になっていくでしょう。

ベビーカレンダーは今後も少子化対策に関する調査・分析等を続け、多くのママ・パパたちの声や評価等を国や自治体に届けつつ、妊娠・出産・育児の情報メディアとして、有効な少子化対策とは何か、ママ・パパたちが望む子育て支援のあり方、結婚や子育てに希望を持てる社会の姿などを探り、情報発信を続けていきます。



■調査概要
調査タイトル:『出産・子育て応援ギフト』に関するアンケート
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2023年4月15日(土)~4月18日(火)
調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用した方(722人)
調査条件:出産・子育て応援ギフトの支給対象者(2022年4月1日以降に妊娠・出産した方)


【出典について】
本調査内容を転載される場合は、出典が「株式会社ベビーカレンダー」であることを明記くださいますよう、お願いいたします。

<「ベビーカレンダー」サイトに関して>

『ベビーカレンダー』は、月間PV数2.4億PV、会員登録数が年間約36万人、総勢約40名の医師・専門家が監修す

る妊娠・出産・育児の情報を網羅した日本最大(※)の育児支援サイトです。妊娠してから赤ちゃんが1歳になるまでの間、赤ちゃんの成長に合わせ、元雑誌編集経験者を中心とした約20名の編集者が質の高い記事を毎日提供します。
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社名:株式会社ベビーカレンダー(https://corp.baby-calendar.jp ※2021年3月25日 東証マザーズ上場
本社所在地:〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-38-2 ミヤタビルディング10F
代表者:代表取締役 安田啓司
設立年月日:1991年4月
主要事業:メディア事業、産婦人科向け事業

多くの医療専門家監修による、日本最大のPV数を誇る育児支援サイト「ベビーカレンダー」を運営。ベビーカレンダー以外にも、女性のライフスタイルにあわせた情報提供サイトを展開し、事業を拡大中。2021年に東証マザーズ上場。

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設立
1991年04月