「日本自然保護大賞2025」の受賞者決定!

日本一の自然保護、生物多様性保全活動を選ぶ「日本自然保護大賞」。今年の授賞者は5団体

NACS-J

●日本一の自然保護、生物多様性保全活動を選ぶ「日本自然保護大賞」の受賞者を決定。

●今年で11回目。日本の自然保護と生物多様性の保全に大きく貢献した「日本自然保護大賞2025」の授賞者は5団体。

公益財団法人日本自然保護協会(会員・サポーター約7万5千人、理事長:土屋俊幸)は、自然保護と生物多様性保全に日本で最も貢献した取り組みを表彰する「日本自然保護大賞2025」の授賞者を決定しました。

今回は3つの部門に対し、全国から72件の応募をいただきました。いずれも熱意にあふれた活動が揃うなか、地域性、継続性、先進性、協働性、そして社会への波及性などに注目して慎重に審議いたしました。

【大賞/保護実践部門】

兵庫県 三田市(兵庫県)

受賞テーマ「皿池湿原の守り人の活動~地域の宝を守って、次世代へ繋ぐ~」

皿池湿原は、三田市テクノパークにある10の湿原からなる湿原群で、2017年から、三田市が事務局となり、兵庫県立人と自然の博物館など専門機関や、市民及び企業等からなるボランティア組織「皿池湿原の守り人」とともに保全活動を実施している。隣接する工業団地の開発予定範囲内に位置していたが、専門家らの調査により、市の生物多様性を維持するうえでも非常に重要であることが明らかになった。そのため市は、都市計画により風致公園として保全していくことを決定。環境教育、生涯学習、大学生のフィールドワークの場としても活用され、多様な仲間が関わることで、地域の大切な宝を次世代へ繋ぐ取り組みが続けられている。

【大賞/教育普及部門】

東芝ライテック株式会社 今治事業所(愛媛県)

受賞テーマ「地域連携による希少種保護活動から環境教育」

東芝ライテック株式会社今治事業所は、東芝グループが国内外の約60拠点で生物多様性保全活動を推進するとした方針を受け、2010年に構内の樹木調査から取り組みを開始、事業所の環境管理委員会を通じての社内活動の啓発、地域社会の活動にも参加を始めた。織田ヶ浜は、海岸植物「ウンラン」の愛媛県内唯一の自生地で、2015年から現在まで、移植会、動植物マップづくり、海ごみ拾い活動など、ウンランやハマビシなど希少植物を含む海浜の生態系保全活動を展開している。

【大賞/子ども・学生部門】

愛知県立佐屋高等学校科学部(愛知県)

受賞テーマ「水田環境の保全、生物多様性を守るための高校生の取組」

愛知県立佐屋高等学校科学部員の多くは農業科の稲作専攻生で、授業での学びの中から、水田の生物や環境に関心を抱き、活動を開始。授業では農業技術を学ぶことが中心のため、科学部では、授業では得られない学び、探究を目的に活動している。現在の中心テーマは、2019年から始めたドジョウと2023年から始めたナゴヤダルマガエルの保全活動に取り組んでいる。大学や外部研究者と連携して生態研究や保全活動に取り組み、2025年には土水路でドジョウの生息数が増加した。希少種保護や外来種駆除のほか、知り得た知見を地域に還元するため卒業生や大学生などと協働して自然教室も開催。地域の小学生と一緒に、もち米「カエル米」の栽培にも取り組んだ。地域の水田環境に直面する課題を高校生の力で解決することを目指している。

【特別賞・沼田眞賞】

矢野 亮(東京都)

受賞テーマ「自然教育の神髄を探る」

矢野亮氏は、東京都立高尾自然科学博物館、国立科学博物館附属自然教育園などをフィールドに、一貫して「自分で調べて、自然観察する」ことを長年にわたり行った。都市のカラスの生態、カワセミの繁殖生態など長期にわたる調査も多く、多くの知見を見出した。フィールドでの豊富な調査研究の成果をもとに、自然保護や自然教育の普及にも積極的に取り組み、例えば「飛ぶたねのふしぎ」プログラムは、現在では一般に普及している。自然教育園は、生態学者らによって決定された管理の基本方針にそって1972年から長期間にわたり植生遷移を維持し、変化や動植物の消長が記録されている世界的にも稀有な都市林で、その大半の期間の運営を担った矢野氏は、多くの人材を育て、活動フィールドの充実に取り組み、自然保護、自然教育の発展のための礎を築いた。

【選考委員特別賞】

NPO法人信州草原再生(長野県)

受賞テーマ「住民を中心に据えた、ため池の希少植物保全活動の推進」

長野県上田地域は少雨のため、ため池が多くある。江戸時代に作られたものも多く、水を貯める堤体は、管理の過程で草原が維持され、希少植物が多く生息する。一方、東日本大震災、西日本豪雨等でため池が決壊し、全国各地でため池の耐震補強工事が予定されている。上田地域のため池等の調査を基に、草原の歴史の長さと植物の種数の多さには相関関係があることを明らかにし、保全を訴えていた筑波大学田中健太准教授の協力を得て、上田市のため池管理者勉強会の参加者が中心となり、耐震補強工事と植物保全の両立を目指した試行錯誤が始まった。保全活動に必要な住民や地域企業の協力を得て、住民を中心にしたため池の希少植物保全活動「上田モデル」が始まった。「上田モデル」を側面からサポートする組織として、NPO 法人信州草原再生が誕生、この取り組みを今後県内外に広めていくことで、貴重な草原の植物を保全していくことを目指している。

入選(5件、都道府県順)

入選者

活動テーマ

大同特殊鋼株式会社(北海道)

クッチャロ湖自然再生&地域活性化プロジェクト

日本製紙株式会社(北海道)

シマクフクロウ生息地保全と事業活動の両立:日本野鳥の会との協働

特定非営利活動法人Earth Communication(静岡県)

産官学民が連携し取り組む『久々生海岸 里海プロジェクト』

愛知県立新城有教館高等学校 作手校舎農業クラブ生物保全プロジェクト班(愛知県)

生物多様性の保全に向けて!~作手地域からの挑戦~

株式会社NTTドコモ(大阪府)

ドコモ泉南堀河の森での継続的な保護実践~教育・普及の取り組み

「日本自然保護大賞2025」 

主催:公益財団法人 日本自然保護協会

協賛:経団連自然保護協議会

後援:環境省、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)、自然保護憲章普及協議会

選考委員:

土屋 俊幸 日本自然保護大賞選考委員長/日本自然保護協会理事長/東京農工大学名誉教授

石井 実  大阪府立大学名誉教授/地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(大阪環農水研)理事長

イ ル カ   IUCN親善大使/シンガーソングライター/絵本作家

神谷 有ニ  株式会社山と溪谷社 自然図書出版部部長兼経営企画部部長

中静 透  国立研究開発法人森林研究・整備機構理事長/森林総合研究所所長

藤田 香  東北大学 グリーン未来創造機構教授/大学院生命科学研究科教授

■日本自然保護大賞とは

2014年、日本で自然保護憲章が制定されて40周年という節目の年に設立されました。日本自然保護大賞は、地域性、継続性、先進性、協働性の観点から、優れた自然保護活動、生物多様性保全活動を表彰しています。人と自然がともに生き、赤ちゃんからお年寄りまでが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会をつくるためには、市民、学生、企業、行政、NGO、専門家など、さまざまな立場で、それぞれの特性を活かしながら、自然保護活動を進めていく必要があります。素晴らしい活動をより多くの方に知ってもらうことで、SDGsの達成やネイチャーポジティブの実現に向け、日本の自然保護を推進する力にしていくことを目指しています。

【保護実践部門】

自然や生物多様性の課題に対して具体的且つ積極的に取組み、保全や再生など、解決に向けて実績をあげることができた活動や研究。

【教育普及部門】

広く自然保護や生物多様性保全を目的とした教育普及で実績をあげることができた活動。

【子ども・学生部門】

自然や生物多様性の課題に対して、小学生から大学生まで、子どもや学生が主体的に取組んだ活動や研究。

※上記の大賞3部門の他、大賞に次いで選考委員から特に評価が高かった活動には「選考委員特別賞」を授与します。また、自然保護に尽力された沼田眞博士の志を未来に伝えていくにふさわしい活動には「沼田眞賞」を授与します。

<参考>公益財団法人 日本自然保護協会について

自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。

http://www.nacsj.or.jp/

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会社概要

URL
http://www.nacsj.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
電話番号
03-3553-4101
代表者名
土屋 俊幸
上場
未上場
資本金
-
設立
1951年10月