ドコモとNECが、アマゾン ウェブ サービスを活用し、Graviton2利用による5Gコアネットワークの消費電力の7割削減と、ハイブリッドクラウド環境での5Gコアネットワークの動作に成功
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と日本電気株式会社(以下、NEC)は、高性能かつ低消費電力なプロセッサであるAWS Graviton2[※1](以下、Graviton2)上で動作する5Gコアネットワーク(以下、5GC)が、現行のアーキテクチャCPUで動作する5GCと比較し同等以上の性能を達成しつつ、電力消費量を約7割削減させることに世界で初めて[※2]成功しました。加えて、Graviton2上の5GCとドコモの自社仮想化基盤[※3]上の5GCを接続するハイブリッドクラウド環境において、5GCの基本的な機能を問題なく動作させることに成功しました。Graviton2を活用した環境において動作確認に成功したのは日本で初めて[※4]です。
本実証の一環として、Graviton2上の5GC省電力効果の検証と、Graviton2上の5GCとドコモの自社仮想化基盤上の5GCを接続したハイブリッドクラウド環境上での基本動作の検証を実施しました。
Graviton2上で動作する5GCの消費電力の検証では、現行のアーキテクチャのCPUで動作する消費電力と比較し同等以上の性能を達成しつつ電力消費量が約7割削減されることを確認しました。本検証結果から、5GCをGraviton2上に配置することにより、お客さまへのサービス提供品質を維持しつつ環境負荷を低減することが期待できます。今後は、ユーザー通信を扱う装置(UPF)[※6]のGraviton2上での消費電力測定に加え、Graviton2搭載のAWS Outposts[※7]での消費電力についても検証を行い、ドコモのデータセンターなど自社環境での環境負荷低減に向けて検証を進めます。
大規模な携帯電話事業者でのハイブリッドクラウド環境の実現には、ネットワーク設計やセキュリティ設計も考慮した二つの基盤の接続に大きな課題がありました。ドコモとNECは、本実証の中でこの課題を克服し、ハイブリッドクラウド環境で5GCの基本的な機能が問題なく動作することを確認いたしました。また、ハイブリッドクラウド環境を実現する上で必要となるパブリッククラウドに最適化された5GC をGraviton2上に移植することに成功いたしました。本検証結果をもとにしたハイブリッドクラウド環境の実現により、通常時は自社仮想化基盤にてネットワークを運用しつつ、突発的なイベントの際にパブリッククラウド上にも5GCを自動で構築しつながりやすさを向上させるといった運用が期待できます。また、5GCの一部をパブリッククラウドに配置してお客さまがパブリッククラウド上に構築したシステムと連携させる運用により、多様化するネットワーク需要へ柔軟に対応できるネットワークの実現が期待できます。今後は、自動構築の実現性について検証を進めます。
ドコモとNECは今後もAWS上での本実証を継続し、商用化に向けた各種課題の解決に取り組んでまいります。両社は、環境に配慮し持続可能な社会にふさわしい5G時代に求められるネットワークの提供に向けた技術検討を推進していきます。
各社のコメント
[注釈]
※1 :「AWS Graviton」とはAWSのクラウドコンピューティングサービス向けにAWSが開発したプロセッサです。Graviton2は第2世代のGravitonを搭載したプロセッサです。
(参考) https://aws.amazon.com/jp/ec2/graviton/
※2:2022年9月現在、ドコモ・NEC調べ
※3:ドコモ自社仮想化基盤とは、ドコモが開発した、複数ベンダ製コアネットワーク装置が動作可能な仮想化基盤。ドコモの商用コアネットワーク装置の70%がこの仮想化基盤上で動作しています。
※4:2022年9月現在、ドコモ・NEC調べ
※5:ドコモとNECがアマゾン ウェブ サービスを活用しハイブリッドクラウド上で動作する5Gネットワーク装置の技術検証に着手」
https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/2021/topics_220301_02.pdf
https://jpn.nec.com/press/202203/20220301_03.html
※6:U-Plane(データパケット等)を扱う装置
※7:AWSを自社環境内で利用できる機能で、AWSと自社設備を低遅延で連携させることが可能となります。
(参考) https://aws.amazon.com/jp/outposts/
付記:実証実験詳細
1.AWS上の5GCと自社仮想化基盤上の5GCを接続するハイブリッド環境での基本動作
自社仮想化基盤上に無線/端末疑似装置およびUPFを配置し、AWS上に5GC C-Planeを配置し、位置登録※1および、通信確立※2が問題なく動作することを確認しました。
AWS上のGraviton2プロセッサでNECの5GCのC-Planeのソフトウェアを動作させ、動作時の電力特性を実測して環境負荷を定量化しました。具体的には、AWS Graviton2プロセッサベースのEC2インスタンス(以下、Graviton2環境)と第5世代x86ベースのAmazon EC2インスタンス(以下、x86環境)のそれぞれを活用したハードウェアリソースを、実験用の5GCで占有する環境を用意し、5GCに商用運用状態を模した負荷をかけた場合の電力および無負荷状態の電力を測定しました。
その結果、Graviton2環境の5GCの消費電力がx86環境5GCの消費電力から約7割削減されることを確認しました。
※2 3GPP標準 TS23.502 4.2.3章に記載のPDU Session Establishmentを指す
<本件に関する報道機関のお問い合わせ先>
株式会社NTT ドコモ ネットワーク開発部
E-Mail:5gc-on-hybrid-cloud-ml@nttdocomo.com
日本電気株式会社 ネットワークサービス企画本部
E-Mail:contact@nwsbu.jp.nec.com
ドコモとNECは、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)を活用してハイブリッドクラウド環境上で動作する5Gネットワーク装置の技術検証(以下、本実証)を2022年3月から実施しています[※5]。
本実証の一環として、Graviton2上の5GC省電力効果の検証と、Graviton2上の5GCとドコモの自社仮想化基盤上の5GCを接続したハイブリッドクラウド環境上での基本動作の検証を実施しました。
Graviton2上で動作する5GCの消費電力の検証では、現行のアーキテクチャのCPUで動作する消費電力と比較し同等以上の性能を達成しつつ電力消費量が約7割削減されることを確認しました。本検証結果から、5GCをGraviton2上に配置することにより、お客さまへのサービス提供品質を維持しつつ環境負荷を低減することが期待できます。今後は、ユーザー通信を扱う装置(UPF)[※6]のGraviton2上での消費電力測定に加え、Graviton2搭載のAWS Outposts[※7]での消費電力についても検証を行い、ドコモのデータセンターなど自社環境での環境負荷低減に向けて検証を進めます。
大規模な携帯電話事業者でのハイブリッドクラウド環境の実現には、ネットワーク設計やセキュリティ設計も考慮した二つの基盤の接続に大きな課題がありました。ドコモとNECは、本実証の中でこの課題を克服し、ハイブリッドクラウド環境で5GCの基本的な機能が問題なく動作することを確認いたしました。また、ハイブリッドクラウド環境を実現する上で必要となるパブリッククラウドに最適化された5GC をGraviton2上に移植することに成功いたしました。本検証結果をもとにしたハイブリッドクラウド環境の実現により、通常時は自社仮想化基盤にてネットワークを運用しつつ、突発的なイベントの際にパブリッククラウド上にも5GCを自動で構築しつながりやすさを向上させるといった運用が期待できます。また、5GCの一部をパブリッククラウドに配置してお客さまがパブリッククラウド上に構築したシステムと連携させる運用により、多様化するネットワーク需要へ柔軟に対応できるネットワークの実現が期待できます。今後は、自動構築の実現性について検証を進めます。
ドコモとNECは今後もAWS上での本実証を継続し、商用化に向けた各種課題の解決に取り組んでまいります。両社は、環境に配慮し持続可能な社会にふさわしい5G時代に求められるネットワークの提供に向けた技術検討を推進していきます。
各社のコメント
- 株式会社NTTドコモ 常務執行役員(CTO)・R&Dイノベーション本部長 谷 直樹
- 日本電気株式会社 執行役員常務 河村 厚男
- Amazon Web Services, Inc. 通信業界ビジネスユニット バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー アドルフォ・ヘルナンデス(Adolfo Hernandez)
[注釈]
※1 :「AWS Graviton」とはAWSのクラウドコンピューティングサービス向けにAWSが開発したプロセッサです。Graviton2は第2世代のGravitonを搭載したプロセッサです。
(参考) https://aws.amazon.com/jp/ec2/graviton/
※2:2022年9月現在、ドコモ・NEC調べ
※3:ドコモ自社仮想化基盤とは、ドコモが開発した、複数ベンダ製コアネットワーク装置が動作可能な仮想化基盤。ドコモの商用コアネットワーク装置の70%がこの仮想化基盤上で動作しています。
※4:2022年9月現在、ドコモ・NEC調べ
※5:ドコモとNECがアマゾン ウェブ サービスを活用しハイブリッドクラウド上で動作する5Gネットワーク装置の技術検証に着手」
https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/topics/2021/topics_220301_02.pdf
https://jpn.nec.com/press/202203/20220301_03.html
※6:U-Plane(データパケット等)を扱う装置
※7:AWSを自社環境内で利用できる機能で、AWSと自社設備を低遅延で連携させることが可能となります。
(参考) https://aws.amazon.com/jp/outposts/
付記:実証実験詳細
1.AWS上の5GCと自社仮想化基盤上の5GCを接続するハイブリッド環境での基本動作
自社仮想化基盤上に無線/端末疑似装置およびUPFを配置し、AWS上に5GC C-Planeを配置し、位置登録※1および、通信確立※2が問題なく動作することを確認しました。
2.「Graviton2」を活用した5GCの性能および省電力性の検証
AWS上のGraviton2プロセッサでNECの5GCのC-Planeのソフトウェアを動作させ、動作時の電力特性を実測して環境負荷を定量化しました。具体的には、AWS Graviton2プロセッサベースのEC2インスタンス(以下、Graviton2環境)と第5世代x86ベースのAmazon EC2インスタンス(以下、x86環境)のそれぞれを活用したハードウェアリソースを、実験用の5GCで占有する環境を用意し、5GCに商用運用状態を模した負荷をかけた場合の電力および無負荷状態の電力を測定しました。
その結果、Graviton2環境の5GCの消費電力がx86環境5GCの消費電力から約7割削減されることを確認しました。
※1 3GPP標準 TS23.502 4.2.2章に記載のInitial Registrationを指す
※2 3GPP標準 TS23.502 4.2.3章に記載のPDU Session Establishmentを指す
<本件に関する報道機関のお問い合わせ先>
株式会社NTT ドコモ ネットワーク開発部
E-Mail:5gc-on-hybrid-cloud-ml@nttdocomo.com
日本電気株式会社 ネットワークサービス企画本部
E-Mail:contact@nwsbu.jp.nec.com
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