インターブランド「Best Global Brands 2025」レポート 「ブランド価値」によるグローバル・ブランドランキングTOP100を発表

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市場の課題に適応するブランドの価値総額は1,500億ドルとなり、前年比4.4%増加
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Top 3は昨年と変わらず、1位Apple、2位 Microsoft、3位Amazon
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NVIDIA、Instagram、YouTube、Uber、Netflixが、順位を上げる
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2000年のランキング開始以来最多の12ブランドがランクイン
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Toyota は、昨年に続き6位、22年連続で⾃動⾞ブランドの最⾼位
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UNIQLOが、日本ブランドとして自動車や電気以外の業界で初のランクイン
世界最大級のブランディング専門会社インターブランドは、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2025」(以下BGB 2025) を発表しました。本ランキングは、グローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化するもので、レポートの発表は2000年から今年で26回目となります。
2025年10月15日-米国ニューヨーク発:グローバルブランドコンサルティング企業インターブランドは本日、Best Global Brands ランキングを発表しました。今年は、ブランドリーダーたちが、競争上の課題や変化する市場動向に迅速に対応し、ブランドを成長のために、ブランドのポジションを大胆に変化させたことが反映されています。
BGBサイト: https://interbrand.com/best-global-brands/
BGB ランキング表: https://interbrand.com/best-global-brands/global
BGB レポートダウンロード: https://interbrand.com/best-global-brands/global-2025-report-download
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概況
今年のBGBのランクインブランドのブランド価値総額は3.6兆ドルに達し、2024年の3.4兆ドルから4.4%増加しました。今年のランキングでは全体的な成長が見られる一方、歴史的な急上昇、12の新規参入、そして顕著な下落など、大きな変動も生じています。
インターブランド グローバルCEO ゴンサロ・ブルーホ
「デジタル技術を活用したサービスとAIの台頭が、かつてない速さで勝者を生み出しています。破壊的変化こそがグローバルブランドを形作る決定的な力です。業界横断的なイノベーションで新たな領域に進出し、文化的関連性を構築し、長期的なブランド戦略に投資するブランドが勝利を収めています。従来からの強みに多くを依存するブランドは成長の課題に直面しています。」

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変革し成長を続けるブランド
こうした変革の波に乗るブランドには、驚異的な成長を続けるNVIDIA(15位、+116%)を筆頭に、YouTube(13位、+61%)、Netflix(28位、+42%)、Uber(64位、+38%)、Nintendo(53位、+35%)、Instagram(8位、+27%)が含まれます。一方、新規ランクインブランドとしてはBlackRock(31位)、Booking.com(32位)、Qualcomm(39位)、GE Aerospace(44位)、UNIQLO(47位)、 Schneider Electric(65位)、Monster(70位)、Nasdaq(85位)、BYD(90位)、Shopify(99位)が新たにランクインし、BGBレポート史上最多の新規ランクインブランド数を記録しました。

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メディア業界が急成長
デジタルメディアやエンターテインメントプラットフォームは、2024年から2025年にかけてブランド価値が最も大きく上昇した分野の一つとなりました。Instagramは27%成長し初めてトップ10入りを果たし、YouTubeは61%増で13位に上昇、Netflixは42%急伸し10ランクアップの28位となりました。Netflixのゲーム、スポーツ、ライブイベント分野への進出がその成長を支え、YouTubeは、インフルエンサーが商品を推奨することにより新たな需要を創出したり、クリエイターが収益源を創出したりするなど、規模だけでなく果たす役割も拡大しています。
また、エンターテインメントの強みは、Prime Video を有するAmazon(3位)や、プラットフォームを含む大規模なエンターテインメント事業ポートフォリオを有するDisney(17位)にも反映されています。

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変動する環境下で強靭・柔軟な対応力が求められる自動車業界
電気自動車(EV)を中心とした新たな挑戦を強いられ、難しい局面にある自動車業界。そんな厳しい市場環境の中で自動車ブランドの中で最高位のToyotaは2%成長し6位を堅持し、ブランドのレジリエンスを示しました。Mercedes-Benz(10位)とBMW(14位)はトップ20位内をキープしたものの、ブランド価値は10~15%下落しました。
TeslaはEV競合の激化により35%下落して25位に後退し、BYD(90位)が初めてランキング入りしました。
成長を遂げている老舗自動車ブランドはFerrari (54位)であり、17%の成長を記録しています。同社はファッション、アクセサリー、ライセンス事業への進出により、ラグジュアリーライフスタイルというブランドポジショニングの価値を高めています。
インターブランド グローバル最高戦略責任者 マンフレディ・リッカ
「BYDはTeslaが登場して以来、自動車市場における最大の破壊的ブランドです。その製品は世界最高水準であり、アジアを拠点に欧州市場で大きな躍進を遂げています。しかしBYDは警戒が必要です。ブランドストーリー構築への投資なしに、この成長を持続させることは不可能であるからです。」
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明暗分かれるラグジュアリーブランド
ラグジュアリーブランドは長年にわたり成長を享受してきましたが、2025年は明暗が分かれました。Hermès(21位、+18%)とLouis Vuitton(12位、-5%)は相反する動きを示し、Chanel(24位、-8%)はかろうじてTop 25を維持しましたが、GucciはTop 50から脱落(69位、-35%)となりました。コロナ禍後の価格上昇は、一部の中産階級志向の消費者を遠ざけ、業界にとって逆風となっています。
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NVIDIAの歴史的躍進
NVIDIAはBest Global Brands史上最大のブランド価値増加を記録し、+116%増の432億ドル(15位)に達しました。
インターブランド ブランドエコノミクス部門 グローバルディレクター グレッグ・シルバーマン
「NVIDIAの卓越した製品マーケティングとエコシステムにおける比類無き強大な支配力が、その急成長を牽引しました。しかし、長期的なブランドストーリーテリングへの投資を怠れば、今後の破壊的イノベーターの台頭によってこのブランドは崩壊する可能性もあります。圧倒的な規模はあるものの、持続可能な成長を維持するためには、そうした要素が不可欠です。」
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逆境の小売業界の中で光るUNIQLOの初のランクイン
小売業界のブランドの苦戦が目立つ中(IKEA -9%、H&M -13%)、近年グローバルでのプレゼンスを大きく高めてきたUNIQLOは177億ドルの価値で47位に初めてのランクイン。グローバル展開におけるブランドの一貫性が、小売業界で際立つ成長ストーリーを生み出しました。
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勝者が実践していること
今年のランキング上位ブランドは、激変する環境を成長の機会として捉え、対応しています。またBooking.com(32位)、UNIQLO(47位)、Monster(70位)、Shopify(99位)といった新規ランクインブランドは、顧客の特定、独自のアプローチによる課題の解決など、ブランド構築に向けた一つひとつのことを、極めて高いレベルで遂行しています。こうしたブランドが今後競合他社の参入を遠避け、成長を続けていくためには、ブランドへの継続的な投資が重要となります。
またShopify(99位)のランクインは、世界中の小規模デジタルコマース事業者のアントレプレナーシップを支え、「ビジネスの民主化」の実現を象徴しています。
インターブランド ブランドエコノミクス部門 グローバルディレクター グレッグ・シルバーマン
「2025年に勝利したブランドは、破壊的変化をチャンスと捉えたブランドです。InstagramのECへの進出、Netflixのライブエンターテインメントへ拡大、Ferrariのファッションやホスピタリティ分野へ参入など 、 彼らはブランドを成長の核として新たな収益源を開拓しています。」

評価手法
1988年にブランド価値評価の先駆者となったインターブランドは、強力なブランドが、ビジネスの成長に影響を及ぼす主要なステークホルダーグループ(現存および見込み顧客、従業員、投資家)に与える影響について深い理解を有しています。強力なブランドは顧客の選択に影響を与え、ロイヤリティを醸成し、人材を惹きつけ、維持し動機づけ、資金調達コストを低減します。インターブランドのブランド評価手法は、これら全ての要素を考慮に入れるよう特別に設計されています。インターブランドは、自社手法がISO 10668(金銭的ブランド評価の要件)の要求事項に準拠していることを認証された最初の企業であり、この規格自体の開発においても重要な役割を果たしました。
ブランド価値評価は3つの分析から成っています。ブランドを冠する製品・サービス・事業の財務分析、購買意思決定におけるブランドの役割分析、そしてブランドの強度分析です。

1. 財務分析
組織の投資家に対する総合的な財務的リターン、すなわちエコノミックプロフィットを測定します。エコノミックプロフィットとは、ブランドの税引後営業利益から、ブランドの収益を生み出すために使用された資本に対する費用を差し引いたものです。
2. ブランドの役割分析
購買意思決定においてブランドに起因する部分(価格、利便性、製品機能などの購買要因以外)を測定します。ブランドの役割指数(RBI=Role of Brand Index)はこれをパーセンテージで定量化します。Best Global BrandsにおけるRBIの算出方法は、ブランド毎に次の3手法のいずれかから導出されます。市場調査、同業他社のブランドを対象としたクライアント案件のブランドの役割指数とのベンチマーク比較、専門家パネルによる評価です。
3. ブランド強度分析
ブランド強度は、ブランドがロイヤルティを創出し、それによって将来にわたる持続可能な需要と利益を生み出す能力を測定します。ブランド強度の分析は、インターブランドが強いブランドを構成すると考える10の要素に基づく評価に基づいています。これらの領域におけるパフォーマンスは、業界内の他ブランドおよび他のグローバルクラスのブランドとの相対的な比較によって評価されます。ブランド強度分析は、ブランドの強みと弱みに関する洞察に満ちたスナップショットを提供し、将来に向けてブランドの強度と価値を高めるための活動ロードマップを作成するために使用されます。
オムニコム・グループが独自開発したAIソフトウェア「オムニAI」が、当社史上26回目となるBest Global Brands 2025 の調査をサポートしました。この独自ソフトウェアにより調査範囲と精度が6倍向上し、結果の信頼性がさらに高まりました。
この可能性に満ちた10年間において、真のリーダーシップを目指すブランドは、顧客に卓越した体験を提供するだけでなく、誠実に行動し、人々と地球のために正しいことを行うことがますます求められています。このためインターブランドは、ブランドの環境・社会・ガバナンス(ESG)活動の役割と影響を、ブランドの強度や価値を測定する手法にさらに統合してきています。
Best Global Brands選定基準
Best Global Brandsの対象となるには、ブランドは以下の基準を満たす必要があります。
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ブランドの財務実績に関する十分な公開データが存在すること
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収益の相当部分が本国以外で生み出されていること
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グローバルな存在感と新興市場への浸透を有すること
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長期的にエコノミックプロフィットがプラスと予測され、ブランドの資本コストを上回るリターンを提供すること
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主要経済圏において、ブランドが広く知られた存在であり、十分な認知度を有していること
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ブランドの「ブランド強度スコア」が50以上であること
こうした要件(ブランドがグローバルで収益性が高く、認知度が高く、財務結果が比較的透明であること)があるため、ランキングに名を連ねてもおかしくない著名なブランドが除外されていることがあります。ブランド測定・評価の分野をリードする存在として、インターブランドはフレームワークと手法を定期的に見直し、価値あるブランドの構築・管理手法を反映し続けるよう努めています。
インターブランドについて
インターブランドは、1974年ロンドンでの設立以来約50年にわたり、常に世界をリードするブランディング専門会社として、戦略、クリエイティブ、テクノロジーの組み合わせにより、クライアントのブランドとビジネス双方の成長を促進する支援を行っています。
社会環境の不確実性が増す一方で、選択肢はかつてないほど豊富となりイノベーションのスピードが加速を続ける時代の中で、顧客の期待はビジネスよりも速く動き、価値観も変化し多様化しています。変化を続ける人々のインサイトの奥に潜む真理を探求し、その想いや期待するところをいち早く捉え、期待を超える体験を提供することを決断し、実践すること。インターブランドではこうした決断と実践のアクション(Iconic Moves™️)が必要だと考えています。
インターブランドではISO(国際標準化機構)により世界で最初にブランドの金銭的価値測定における世界標準として認められた「Brand Valuation™(ブランド価値評価)」をはじめとする先端的な分析手法を用いる戦略チームと、数多くの受賞歴と高い創造性を持つクリエイティブチーム、そしてブランドを社会に実装するエクスペリエンスアクティベーションチームが一つのチームとなり、クライアントの成長のパートナー(Growth Partner)として、ありたい姿から事業を捉え直し(Envision)、需要を創造し(Innovation)、ステークホルダーの行動変容を起こす(Transformation)ことを軸にプロジェクトを支援します。
インターブランドは、オムニコム・グループ (NYSE : OMC) のコミュニケーション・コンサルティング・ネットワークに属するブランドコンサルティンググループの一員です。
インターブランドジャパンについて
インターブランドジャパンは、ロンドン、ニューヨークに次ぐ、インターブランド第3の拠点として、 1983年に東京で設立されました。日系企業、外資系企業、政府・官公庁など様々な組織・団体に対し、顧客との共創ワークショップなどを通じて経営に顧客視点を組み込む支援などを含め、グローバルの先進的なアプローチや知見を取り入れた、従来のブランドの枠を超えたブランディングサービスを提供しています。インターブランドジャパンについての詳しい情報はhttps://www.interbrandjapan.comをご覧ください。
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