スタディプラス、総務省の令和4年度「教育分野における情報信託機能の活用に係る調査」実施結果を報告 ~学校と民間教育のスタディログ一元化のメリット および 制度上の課題を検証~
■ 実証事業の概要
1人1台端末環境を推進する「GIGAスクール構想」により、誰もが各端末を通じてデジタル教材で学習し、スタディログを蓄積するようになったことで、異なるシステム間でのデータ連携の重要性が高まっており、文部科学省は令和3年度「学習eポータル事業」により学内の教育データの標準化を目指しています。
民間教育機関においても、学習塾を中心に少子化に伴う生徒募集難や講師募集難、コロナ禍によるオンライン学習や自宅学習の需要によって、デジタル教材での学習およびスタディログの蓄積を行うようになり、学校と同様に異なるシステム間でのデータ連携の重要性が高まっております。総務省では、令和4年度「学外教育データ連携に係る実証事業」(当社は教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」を実証用システムとして提供)を実施し、学外教育データの標準化を目指しています。
また、学内外における教育データの標準化の取り組みとともに、「教育データ利活用ロードマップ」において述べられている学習者自身のデータの利活用、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で述べられている準公共分野における情報銀行の活用にむけた環境整備も求められているのが現況です。
そうした背景の下、総務省が実施した令和4年度「教育分野における情報信託機能の活用に係る調査」は、情報銀行(利用者個人からの委任を受けてパーソナルデータの管理・提供を行う仕組み)を活用することで教育データの利活用を促進するため、学習者個人を中心に学内・学外の教育データを統合し、学習者の個別最適な学びの実現や教育サービスの質の向上を目指した検証を実施する事業です。3つのユースケース(※)を想定し、スタディログ(報告資料上では「学習データ」と表記)の提供に関する実証調査・机上調査を行いました。
※3つのユースケース
1.学習者は、スタディログを提供することで、利用中の学校や民間教育機関から学習状況に応じて個別化された指導を受けることができる。
2.学習者は、スタディログを提供することで、利用していない民間教育機関から学習状況に応じて個別化されたアドバイスを受けることができる。
3.学習者は、属性情報やスタディログを提供することで、自分に関連度が高い情報を得ることができる。
■ 実証事業の成果
1. 学習者・学校・民間教育機関が、スタディログによって得られる有用性・メリットを確認
「Studyplus for School」を6ヶ月以上利用し、スタディログを活用した指導を行っている学校・塾の先生(学校:17名、塾7名)および当該先生が指導をおこなっている生徒 (学校:823名、塾109名)へのアンケート調査において、『今後も「Studyplus for School」を活用して生徒に学習指導をおこないたいと思いますか。』という質問を行った結果、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と回答した割合は、以下の通りです。
・学校の先生:88%(n=17名) ・塾の先生:100%(n=7名)
・学校の生徒:77%(n=823名) ・塾の生徒:96%(n=109名)
ほとんどの先生・生徒が、今後もスタディログを共有・活用する意向を示す結果となっています。
学校・民間教育機関にとってのスタディログを活用する具体的なメリットとして、
学習者の学習内容・学習量・成績等の学習状況を把握することで、学習者それぞれの状況に応じた指導、アドバイスの個別化、指導頻度の向上を実現できる。
「学習データを見ることで生徒とのコミュニケーションを取りやすくなる」「生徒の情報を関係する先生間で共有しやすくなり、生徒理解が促進される」など、先生・生徒間のコミュニケーションを改善し、間接的に指導の質・頻度の向上につながる。
などが、明らかになりました。
同時に、
スタディログは学内・学外の各所に散逸しているという背景から、情報銀行にデータを一元化させるためには、各データの管理者にデータ連携のインセンティブがあることが必要。
多くの学習は紙教材で行われており、スタディログを手動で作成することが、生徒・先生双方の負担となっている。
といった課題も明らかになりました。
2. 教育分野で情報信託機能を活用するために必要な制度課題を検証
現状、情報銀行を活用して生徒の学内・学外のスタディログを連携させるためには、安全性や現行制度において障壁が残っています。情報銀行認定制度(情報銀行認定申請ガイドブック)と、教育分野で定められている「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和4年3月)」「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和4年3月)」やユースケースを比較し、教育分野で情報信託機能を活用するために定めるべき制度や今後検証すべき課題を整理しました。主な内容は以下の通りです。
未成年の同意取得
学生は未成年であり、情報銀行との間で、同意等の手続きに関する整理が必要。情報銀行利用中に、年齢の変化で法定代理人等から同意を得る必要がなくなった際の同意取得の対象変更に関する明文化を推奨。
コントローラビリティを確保するための機能
「情報銀行との間の同意等の手続き」を行った利用者にのみコントローラビリティを提供する必要があるが、既存の指針では機能を提供する相手に関する記載がないため、明文化が必要。
情報銀行の利用者が情報提供先を指定する場合
教育機関や教育サービスの現状を踏まえると、情報銀行認定制度とは異なる形で、利用者の安心安全を担保するガバナンスの仕組みを整備するのが適当。対象の範囲や安全性の担保、提供すべき情報の区分など、さまざまな論点で今後検証が必要。
■ スタディプラスが考える、スタディログの一元化及び利活用を通じて描く教育の未来像
スタディプラスは、「学ぶ喜びをすべての人へ」をミッションに掲げ、学習者一人ひとりが個性や特性を発揮できる、学習者中心の教育環境の実現を目指しています。
現在、学習者が学ぶ場所は家庭・学校・学習塾とさまざまであり、スタディログはそれぞれの場所に散在しています。
学校・学習塾の先生は、生徒である学習者の学びの内容を自身の教室内の様子でしか把握できないため、日常的な学びの中で生じた考えや悩みを真に理解し、指導することが難しくなっています。
家庭・学校・学習塾における学習者のあらゆる学びの記録を「パーソナルスタディログ」として一元化・可視化することによって、学校・学習塾の先生はそれぞれのカリキュラムを越えて、一人ひとりの考えや悩みに寄り添った指導ができるようになり、学習者に個別最適な学びを提供できるようになります。
本実証事業は、
学びの記録
家庭における学びの記録(パーソナルスタディログ)
学校における学びの記録(学習eポータル)
学習塾における学びの記録(学外教育データ基盤)
スタディログの同期
学習eポータル、パーソナルスタディログ、学外教育データ基盤の同期
指導への活用
学校の指導への活用
学習塾の指導への活用
に該当します。
今後もスタディプラスは目指す教育環境の実現のため、官公庁をはじめとしたスタディログ利活用に関連する実証事業を続けてまいります。
※官公庁・教育機関等で、「スタディログ」「教育データ」を活用した実証事業をご検討されている方は、お気軽に下記連絡先までお問い合わせください。
担当:スタディプラス株式会社 企画部 西脇 tomoki.nishiwaki@studyplus.jp
■ 教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」 概要
スタディプラスが提供する「Studyplus for School」は、生徒と先生を学習管理アプリ「Studyplus」でつなぎ、生徒の日々のスタディログを先生が見守り助ける、教育機関向け学習管理プラットフォームです。紙の教科書や参考書からデジタルの映像教材や演習教材まで、あらゆるスタディログを一元化・可視化することで、先生の業務負荷を軽減しながら、生徒一人ひとりの学びの個別最適化をご支援します。文部科学省CBTシステム「MEXCBT」と接続する学習eポータル。
2023年4月より大幅リニューアルし、生徒の入室、出席、予定、成績などの管理や、保護者・生徒との連絡など、多岐にわたる業務をデジタル化できる「教室管理システム」と、AIドリルを生徒に配信できる「教材配信システム」が使える無料プランの提供を開始。
現在、全国の学校や学習塾など約1,700校以上に導入されています。
https://for-school.studyplus.co.jp/
■ スタディプラス株式会社 概要
所在地:東京都千代田区神田駿河台2丁目5−12 NMF駿河台ビル4階
代表取締役:廣瀬高志
事業内容:学習管理アプリ「Studyplus」、教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」、電子参考書プラットフォーム「Studyplusブック」の運営
設立:2010年5月20日
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