IoTサービスをワンストップで提供:ボッシュ、IoTサービス向けのクラウドを発表
コンピューティングセンターをドイツに設置
ボッシュは、インターネットベースのサービス向けのクラウド『Bosch IoT Cloud』を導入します。ボッシュは今後、このクラウドを通じてコネクテッドモビリティ、コネクテッドインダストリーやコネクテッドビルディング向けのさまざまなアプリケーションを提供していくことになります。
- ボッシュCEOデナー:「『Bosch IoT Cloud』は大きなマイルストーン」
- カギとなるのはプライバシーとデータセキュリティ
- ドイツの技術革新力を高める『Bosch IoT Cloud』
- ソフトウェアに関する専門知識とITインフラが強み
クラウドをドイツに設置
デナーは、クラウドをドイツに設置することを意図的に決定したことを強調しました。「多くの企業やお客様は、セキュリティの懸念からクラウドテクノロジーやネットワーク化ソリューションの利用を避けているといいます。その懸念を払拭してくれるのが、『Bosch IoT Cloud』です」。ボッシュは、このIoTクラウドをシュトゥットガルト近郊にある自社のコンピューティングセンターで運用しています。「ユーザーは、自分のデータがしっかり保護され、安全な状態に保たれていることを把握したいと考えます。そのため、私たちが約束するセキュリティを、常に最新のレベルに保っています」とデナーは説明します。このための法的枠組は、ドイツとEUのデータセキュリティ規制をベースとしています。
ネットワーク化された世界の頭脳となる「Bosch IoT Suite」
『Bosch IoT Cloud』の核となっているのは、ボッシュが開発した『Bosch IoT Suite』です。この『Bosch IoT Suite』は、ウェブ接続が可能なモノを認識し、データを組織化して交換できるようにします。これによりさまざまなサービスやビジネスモデルの実現が可能になるほか、大量のデータ、つまりビックデータも分析・処理して管理することができます。「『Bosch IoT Suite』はネットワーク化された世界の頭脳に相当し、インターネットに接続したデバイス、ユーザーや企業が必要とするあらゆる機能を提供できます」とデナーは述べています。たとえば、損傷の兆候が報告された場合、機械を修理するための予防措置を講じるなど、自立的に決定を下す規則性を『Bosch IoT Suite』に保存することもできます。ボッシュはもちろん、お客様もすでにこのプラットフォームをベースとした数多くのソリューションやプロジェクトを運用しています。なお、現在500万台以上のデバイスや機械が『Bosch IoT Cloud』に接続されています。
ネットワーク化された世界に対応するボッシュのIoT
デナーはカンファレンスに集まった800人の聴衆に対して、このデジタル革命を脅威と捉えるべきではないと強調しました。「デジタル革命と加速するネットワーク化は、私たちにとって非常に大きなチャンスです」。特に強力な産業基盤とハードウェアに関する卓越した専門知識をもつ企業には、これまでの事業を広げるだけでなく、まったく新しい分野に参入するチャンスが訪れます。「そのための重要な前提条件となるのは、社内でソフトウェア/ITに関する専門知識を持っていることです。そしてボッシュは、長年にわたりこうした能力に磨きをかけ続けています」。
さまざまな可能性とビジネスモデル
ボッシュはこれまでにも、ネットワーク化された世界のためのさまざまな製品やソリューションを提供してきています。たとえばボッシュのスマートホームシステムは、自宅の室温をリアルタイムでユーザーに伝えることができ、ユーザーは帰路の途中に室温を調整することができます。『Bosch IoT Cloud』で実行されているもうひとつのソリューションは、空調設備サービスエンジニア向けに設計されています。このソリューションによりエンジニアはボッシュが管理する空調システムに遠隔からアクセスできるようになり、故障発生時に故障の原因を突き止めることができるようになります。つまり、エンジニアは初回の訪問時に修理に必要なスペアパーツを持参し、その1回の訪問で修理を済ませることができます。また、これによりサービスコストを抑えられることから、顧客のメリットにもなります。
『Bosch IoT Cloud』は、アスパラガス畑に設置されたセンサーのデータにも活用することができます。土壌の正確な温度を把握できれば、農家は収穫量を増加させ、利益増につなげることができるからです。『Bosch IoT Cloud』はまた、シュトゥットガルトの通勤列車網におけるパーク&ライド施設の利用可能な空き駐車スペースを示すオンラインマップも作成しています。駐車スペースが空いていることをセンサーが検知すると、その情報がクラウドに送信され、マップにリアルタイムで情報がアップデートされ、ユーザーはスマートフォンから最新情報にアクセスできます。もうひとつの例として、トラックのドライバー向け駐車場予約サービスがあります。駐車できる休憩所を探したい場合、トラックが『Bosch IoT Cloud』に現在地の情報を送信し、最寄りの利用可能な駐車スペースを予約して、その情報をドライバーに伝えます。「こうした数々の例を通じて、『Bosch IoT Cloud』が提供するサービスにより補完された、ネットワーク接続に対応したデバイスはIoTビジネスモデルが成功するための基礎であることがお分かりいただけると思います。ネットワーク化ソリューションは、人々の生活の質を向上し、資源の保護につながるのです」とデナーは述べました。
背景:
クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングの場合、データやプログラムは自宅やオフィスのコンピューターではなく、クラウドコンピューティングセンターに保管されます。このセンターの運用事業者は、こうしたデータの保護と管理運営の責任を負い、処理を実行するために必要なシステムを構築するほか、必要なプログラム、データセキュリティやバックアップの対策を講じます。これにより、顧客はデータ運用にかかるコストと時間を著しく削減することができます。こうしたクラウドテクノロジーとクラウドプラットフォームは、アプリケーションを拡張しやすく、シンプルで速やかに処理するための基礎を形成しています。
産業界のエキスパートが集い、技術の実現を語り合う場「Bosch ConnectedWorld」
Bosch ConnectedWorldはIoTをテーマにした年次カンファレンスで、今年も世界各国から約800人のエキスパートがベルリンに集まり、アプリケーションに関連した最新のテーマや新しいビジネスモデルについて意見を交換しました。会議では数々の成功事例が発表され、IoTのビジョンをどのように実現できるかを示す場となりました。
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