2026年 新経済連盟代表理事 年頭所感

一般社団法人 新経済連盟を代表して、新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、日本が世界の中で確かな存在感を示し、未来に向けて新たな局面へと進む期待に満ちた年となりました。特筆すべきは、ノーベル賞において、坂口志文氏(生理学・医学賞)と北川進氏(化学賞)の日本人科学者2名が受賞したことです。2015年以来10年ぶりとなる自然科学分野でのダブル受賞は、長年にわたる基礎研究の成果が今なお世界をリードし得るという、日本の科学技術力の高さを改めて証明しました。その他にも、世界中から注目を集めた2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催に加え、史上初となる女性総理の誕生など、未来への期待を抱かせる出来事が続きました。
当連盟においても、活動開始から13年目を迎えた昨年は、政策提言活動と会員間の交流促進を二軸に、例年以上に活発に活動を展開しました。その象徴が、10月 に開催した周年イベント「JX Live!2025」です。日本の変革を意味する「JX(Japan Transformation)」に向けたメッセージを打ち出す本イベントは、第3回目にして過去最大規模となる550名超の熱意ある皆様にご来場いただきました。また、同年1月にはDE&Iコミュニティを発足し、女性や外国人を含む多様な人材活用について、会員企業による新たな議論の場を設けました。こうした場を契機として、次世代のリーダー達が多様な分野・属性から輩出されることを期待しています。
喜ばしい話題が相次ぐ一方で、日本経済の根深い課題も浮き彫りになりました。短期的に見れば、10月には日経平均株価が史上最高値を更新し、市場に大きな節目をもたらしたことは事実です。しかし、実態経済の長期的な傾向を見ると、ドルベースでの名目GDP成長率が過去20年間でG7諸国中唯一のマイナスを記録するなど、国際的なプレゼンスの低下が深刻化しています。このままでは時間の経過とともに、日本経済が世界経済の中で相対的に埋没してしまうのでは、との強い危機感を抱いています。
こうした難局を打破するためには、アントレプレナーをはじめとする民間部門の力が不可欠です。負の流れを断ち、新たな成長軌道を描くためには、経済構造そのものを変えること、すなわち日本を根本的に変える「JX」 を推し進めることが求められます。本年は、この「JX」を一層力強いモメンタムへと引き上げることで、グローバルな競争に打ち勝ち、「人・知・財」が集まる国へと再始動しなければなりません。
具体的には、私たちは以下のような事項を「逆転に向けた政策」として提言し続けています。まず、日本のリソースを最大限に活用し、成果に繋げるための環境整備として、規制・税制面の見直しが不可欠です。複雑で過剰な規制は、デジタル活用やAI、ブロックチェーンといった新技術の社会実装を妨げ、イノベーションを阻む最大の障壁となっています。そのため、新規ビジネス創出の障壁となる既存の規制を速やかに見直すことが必要です。そのうえで、国内外の人材や資金の流出を招く要因となっている所得税、法人税、相続税の最高税率を引き下げることで、「税と成長の好循環」の実現を目指すべきです。
また、少子高齢化によって深刻化する人材不足に対応する戦略も不可欠です。このため、厳正な在留管理と、日本社会での円滑な共存を可能にする仕組みを前提とした、国際人材の戦略的な活用を求めます。併せて、従来の労働時間管理を中心とした「働き方改革」ではなく、働く人の内発的動機を重視し、労働者の自律と選択肢の拡大を図る「働きがい改革」へとシフトする必要があります。さらに、AI活用による効率化を進めることで、生産性の向上を図るべきです。
抜本的な改革が喫緊の課題であるという強い認識のもと、引き続き政府との対話を積極的に行っていく所存です。当連盟は本年も、変革の担い手である皆様と共に邁進してまいりますので、変わらぬご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
2026年1月1日
一般社団法人 新経済連盟
代表理事 三木谷 浩史
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