富山県小矢部市でネイチャーポジティブの実現を目指した生物多様性保全活動をスタート

ハッチョウトンボも生息できる湿地環境の再生などを目指す

NACS-J

ハッチョウトンボ

日本自然保護協会は、ゴールドウインと連携して富山県小矢部市を舞台に生物多様性の保全と再生活動を開始。地域の皆様とともにネイチャーポジティブの実現を目指す。

専門家とも協力して小矢部市全体の生物多様性の現状評価にも取組み、小矢部市内で生物多様性にとって重要な場所を19ヵ所(約5,061ha)特定。

活動の第一弾はゴルフ場。県指定天然記念物に指定されているハッチョウトンボの生息地で湿地環境再生などに取組む。

公益財団法人日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、株式会社ゴールドウイン(以下、ゴールドウイン)と連携して、ゴールドウイン創業の地である富山県小矢部市を舞台にネイチャーポジティブ※1の実現を目指した生物多様性保全活動を開始しました。ハッチョウトンボの生息地として富山県の天然記念物指定地にもなっている湿地環境の再生などに取り組みます。

富山県の県指定天然記念物である「興法寺のハッチョウトンボとその発生地附興法寺のトンボ類の群生地」(富山県小矢部市)は、ゴールドウインのグループ会社が運営するゴルフ場「ゴルフ倶楽部ゴールドウイン」の敷地内にあります。しかし、もともと湿地だった場所の樹林化や乾燥化が進み、2024年に実施した調査ではすでにハッチョウトンボの生息も確認できなくなっていました。

作業前の調査の様子。鬱蒼として前に進むことが困難な状況。

そこで富山県教育委員会や小矢部市教育委員会にも協力いただき湿地環境の再生に向けた活動を具体化。これから複数年かけて再びハッチョウトンボも生息できる湿地環境の再生を目指して取組みます。また、天然記念物指定地も含めた「ゴルフ倶楽部ゴールドウイン」の敷地を、国が認定する「自然共生サイト※2」へ登録することにも挑戦します。これらの取組は、興法寺をはじめとした地域の皆様、富山県西部森林組合の皆様、NACS-Jの自然観察指導員の皆様にもご協力いただきながら一緒に進めていきます。

樹林化が進んでしまった作業前の様子(同じ地点から撮影)
雑木を伐採して搬出した作業後の様子(同じ地点から撮影)

NACS-Jとゴールドウインは、小矢部市全体のネイチャーポジティブに貢献していくことを目指しています。これまで両者は、富山市科学博物館や魚津水族館、富山県ナチュラリスト協会、富山県生物学会などに所属する多くの専門家にもご協力いただき、小矢部市全体の生物多様性の現状評価にも取り組みました。小矢部市内で生物多様性にとって重要な場所を19ヵ所(約5,061ha)特定し、地域全体の生物多様性保全計画づくりに資する情報も整理しました。「ゴルフ倶楽部ゴールドウイン」のある蟹谷丘陵は、小矢部市内でも生物多様性にとって重要な場所であることが科学的にも明らかになっています。

日本の生物多様性は、自然的・社会的条件によって地域ごとに大きく異なるため、ネイチャーポジティブはそれぞれの地域(市町村)を基盤に実現していくことが重要です。国際的にも、流域や景観スケールで取組を進める「ランドスケープアプローチ」※3の重要性が強調されています。今回の取組をきっかけに、小矢部市全体の生物多様性の保全や再生を見据え、地域の皆様とも連携しながらネイチャーポジティブの実現を目指していきます。

ハッチョウトンボが生息している近隣の湿地。こうした明るい湿地環境を目指す。

※1. ネイチャーポジティブ

人と地球のために、生物多様性の損失に歯止めをかけ、自然を回復させること。第15回生物多様性条約締約国会議で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で2030年までのミッションとしてこの考え方が掲げられた。日本の「生物多様性国家戦略2023-2030」にも国家目標としてネイチャーポジティブの実現が掲げられている。

※2. 自然共生サイト

「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が「自然共生サイト」として認定する制度。2025年度から新しい法律(地域生物多様性増進法)に基づく認定が開始されており、これまでに合計448か所が認定されている。

※3. ランドスケープアプローチ

一定の広がりのある地域において、土地・空間計画をベースに多様な人間活動と自然環境を総合的に取り扱い、課題解決を導き出す手法。

◆各社コメント

株式会社ゴールドウイン 代表取締役社長CEO 渡辺貴生

当社は「生物多様性の保全と回復」を環境重要課題のひとつとして掲げています。今後も、人と自然が共生し調和のとれたより良い未来の創造を見据え、生物多様性の損失を止め、自然を回復させる「ネイチャーポジティブ」の実現に取り組んでいきます。

このたび、公益財団法人日本自然保護協会のご協力のもと、地域全体のネイチャーポジティブを目指し、ゴルフ倶楽部ゴールドウインにおける活動に着手できたことをとても喜ばしく思います。

まずは、ゴルフ倶楽部ゴールドウインのシンボルマークであるハッチョウトンボの生息できる環境の再生を実現し、この活動を地域の皆様と共に進めることで、周辺地域や小矢部市全体のさらなる活動へつなげていきたいと考えます。

公益財団法人日本自然保護協会 理事長 土屋俊幸

このたび、ゴールドウインのみなさまと、富山県小矢部市を舞台に、このような取組みを開始できたことを大変嬉しく思っています。ネイチャーポジティブは、それぞれの地域で、地域ごとの特性に合わせた試みを重ねていくことがとても重要です。今後、この協働の輪を地域に拡げ、小矢部市のみなさまと共に息の長い取組みを末永く続けていければと願っております。まずは、ハッチョウトンボも生息できる湿地環境の再生をしっかりと進めていきます。


【参考】公益財団法人 日本自然保護協会について

1951 年創立の日本で最も歴史のある環境NGO。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録の礎を築いてきた。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんからお年寄りまでが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して全国で活動している。

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会社概要

URL
http://www.nacsj.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
電話番号
03-3553-4101
代表者名
土屋 俊幸
上場
未上場
資本金
-
設立
1951年10月