「No.1」検証調査 特集 Vol.1『弁護士法人GVA法律事務所 早崎智久弁護士へのインタビュー』:NO.1表記をする際の責任について
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今回は、初めて第三者の調査機関に「売上NO.1」などの「NO.1」に関する調査を依頼する企業にとって役立つ情報として、「広告」の表示側の責任、第三者(調査機関)の責任について、早崎弁護士にお話を伺った。
「NO.1」と商品やサービスに表記する際に広告主が最も配慮すべき点は、景品表示法の優良誤認表示に該当しないようにする表記を注意する点だ。他社との差別化をするために「NO.1」を記載しても、客観的に誰が見てもNO.1と言えるという状態でなければ、事実でなかったり、大げさな表記となってしまい優良誤認表示に該当してしまう恐れがある。
具体的に「NO.1」を表記する際、優良誤認表示に該当しないようにするためにはどうすれば良いか、早崎弁護士によると次の3つのポイントが重要とのことだ。
(1)第三者が見ても分かるような客観的なデータを掲載
(2)偏りがなく公平性のあるデータを採用
(3)定期的な表記方法の確認
3つのポイントの注意すべき項目を、ノートパソコンを販売するA社を例に紹介していこう。
(1).第三者が見ても分かるような客観的なデータを掲載
大前提として、商品知識のない一般消費者が見ても「NO.1」と言えることが重要だ。
「ノートパソコン部門売上本数NO.1」であれば、「売上」という客観的なデータがあるが、「20代新社会人1年目が選ぶノートパソコンNO.1」のような範囲の狭い「NO.1」の場合は、どのような方法でアンケートを取ったのかなど、それを裏付けるデータが必要になる。客観的なデータがあり、誰が見ても「NO.1」と判断できる場合でなければ、表記をしてはならない。
(2). 偏りがなく公平性のあるデータを採用
A社が偏りのないデータを収集するために、A社のパソコンを日頃から利用する会員(20代〜60代)からランダムで300名選んだモニターからアンケートを収集したとする。
この場合に、A社のパソコンの良いところを挙げてもらうようなデータであれば問題ないが、他社のパソコンと比較するようなアンケートの時は、モニターはA社のパソコンを日頃から利用していて、他社のパソコンと比較しているとは限らないため、偏りがなく公平性のあるデータとは言えない。
同じように、A社の従業員の家族300名を対象にアンケートを取った場合も、A社に有利な回答をする可能性が高く、公平なデータではないだろう。
偏りのない結果とするのであれば、20代〜60代のランダムで選ばれたモニター300名にアンケートを取るべきなのだ。
(3)定期的な表記方法の確認
「NO.1」は時間と共に変化をするものだ。2023年に客観的なデータ結果を基に「売上NO.1」と表記したとしても、5年後には別の商品が売上NO.1となっているかもしれない。
2023年の結果を元に「NO.1」と表記した場合、その説明をせずに、そのまま閲覧できる状況では、売上No.1でなくなった時点で、景品表示法違反に該当してしまう。
過去のデータを使用する場合は、具体的な時点(2023年度)を示し、その時点でのNO.1である旨を明確に表記するべきだ。
以上が「NO.1」を表記する際に注意すべき3つのポイントだ。早崎弁護士によれば、実際に過去の情報をそのまま記載している広告主が一定数存在すると指摘する。広告をした時は問題がなくても、時の経過で違法になってしまうことがあることに注意すべきだという。
NO.1調査は他社との差別化を図るために有効であるが、誤った表記をすれば景品法表示違反に該当し、消費者の信頼を一瞬で失う恐れもある。自社で対応できないようであれば第三者機関、リーガルチェックを受けて表記を見直した方が良いだろう。
監修者
弁護士法人GVA法律事務所(東京)
早崎智久弁護士
スタートアップの創業時からIPO以降までの全般のサポート、大手企業の新規事業のアドバイスまでの幅広い分野で、これまでに多数の対応経験。 特に、GVA法律事務所において、医療・美容・ヘルスケアチームのリーダーとして、レギュレーションを踏まえた新規ビジネスのデザイン、景表法・薬機法・健康増進法などの各種広告規制への対応、医療情報に関する体制の整備などが専門。
関連著書
Q&Aでわかる 医薬品・美容・健康商品の「正しい」広告・EC販売表示
弁護士法人GVA法律事務所 弁護士 早崎 智久 (著), 五反田 美彩 (著)
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