アユでつながる岐阜と沖縄川と海からひも解くつながり~岐阜と沖縄の未来への約束~「沖縄編」を開催しました!
2025年8月19日(火)~21日(木) 【場所】沖縄県名護市、浦添市
一般社団法人海と日本プロジェクト岐阜は、「アユ」を通じて岐阜県と沖縄県が交流する事業の一つとして、かつて沖縄県に生息していたリュウキュウアユや川と海について学ぶ体験学習ツアーを8月19日~21日に開催いたしました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要
・開催概要 「アユ」を通じて、岐阜県と沖縄県が交流する事業。
岐阜県の子ども達が沖縄県を訪れる「沖縄編」と沖縄県の子ども達が岐阜県を訪れる
「岐阜編」を実施する。今回は「沖縄編」として、岐阜県の子ども達が、沖縄県名護市を
訪れ、かつてリュウキュウアユが暮らしたやんばるの川と、島を取り巻くサンゴ礁の自
然を体験する。また、川と海のつながりや人の暮らしとの関わりを学び貴重な生き物が
再び失われることのないよう、自然のために私たちにできることを考える2泊3日の体験
学習ツアー。
・日程 8月19日(火)~8月21日(木)
・開催場所 沖縄県名護市、浦添市
・参加人数 岐阜市立藍川北学園6年生(男子12人・女子8人)/岐阜県内教育関係者5人
沖縄県内小学校5年生・6年生 20人
・協力団体 岐阜市教育委員会、藍川北学園、一般社団法人 海と日本PROJECT in沖縄県
岐阜と沖縄の川くらべ
学習の舞台は、沖縄県名護市。古くからリュウキュウアユの産地として知られてきた源河地区です。
沖縄県に到着して最初に行ったプログラムは「岐阜と沖縄の川くらべ」。岐阜県で有名な長良川とリュウキュウアユが生息していた源河川の長さや特徴などをクイズ形式で比較した後、実際に源河川を観察しました。源河川を訪れた岐阜の子ども達は、「石が違う気がする」「バナナの木が生えているよ」と、石の大きさや川のまわりにある植物などを見て、岐阜の川との違いを体感的に感じとっていました。
川ではたくさんの生き物も見つけました。沖縄の川も岐阜の川も同じように、川は多種多様な生き物にとって大切なすみかであり、それぞれの環境に適応して暮らし、川の生態系を支えています。川に生息する生き物たちの多様性を理解することで、自然の大切さを再認識することができました。

沖縄本島のリュウキュウアユはなぜ絶滅してしまったのか
川での活動に続いて、名護市教育委員会学芸員の村田尚史さんからリュウキュウアユの話を聞きました。リュウキュウアユは、沖縄本島と奄美大島にのみ生息するアユで、日本本土産アユの亜種です。沖縄本島では1978年に採集されたものが最後の記録となり絶滅してしまいました。講義では、貴重なリュウキュウアユの標本を見せてもらい、リュウキュウアユが絶滅した理由や復活と自然定着を目指す取り組みなどについて聞きました。「アユ」は岐阜県の県魚であり、とても大切な魚です。環境の変化によってリュウキュウアユが棲めなくなってしまったように、長良川の鮎も川の環境が変われば、棲めなくなる可能性があります。子ども達はあらためて環境を守ることの重要性を学びました。

夜の海辺を散策!
夜は、海辺を散策しながら海のプランクトンを採集しました。プランクトンとは何か、どのように採取するのかなどを、海の環境教育に取り組む「しかたに自然案内」の鹿谷麻夕先生に教えてもらいました。川でうまれたアユの赤ちゃんは、川の流れにのって海まで行き、海のプランクトンを食べながら大きくなり、再び川に戻ってきます。海のプランクトンがアユにとって大切なものと聞き、子ども達は興味津々。波の音や潮の香りも五感を刺激するワクワク、ドキドキの夜の海辺散策となりました。

サンゴ礁の海を体験しよう!
2日目は、サンゴ礁の学習としてシュノーケリングで海の中を観察しました。青く透き通った海にはサンゴをはじめ、たくさんの魚やヒトデなどが生息し、驚きと感動の体験となりました。インストラクターの先生からは、近年、サンゴの白化現象で多くのサンゴが死んでしまっていることや海水温の上昇で魚が棲めなくなっていることなどを聞き、海の美しさとともに、課題を抱える海の現状も知りました。

沖縄の伝統的な詩歌「琉歌」で自分たちの体験や気持ちを表現
川や海で様々な体験学習を行った子ども達は、感じたことや学んだことを「琉歌」で表現しました。琉歌は、「8・8・8・6」の30音で詠む、沖縄独特の詩歌です。子ども達は、文字数を数えながら、沖縄で学んだことや心に残ったことを短冊に記しました。また、一人一人が作った琉歌をグループで見せ合い、みんなの短冊を組み合わせて、グループごとに新たな琉歌を作りました。
【子ども達が作った琉歌の一例】
「エメラルドのうみ うつくしいサンゴ さかながすいすい ゆたかなうみ」
「キレイな砂浜 すきとおる海は みりょくがたくさん おどろいた」
「青い海の中 見てて楽しくて まもってあげたい 海のさかな」
「あおくかがやく海 ともだちとおよぐ ひさしぶりの海 またいきたい」

海へお礼をしよう!ビーチクリーン
沖縄県の友達と一緒に行う最後のプログラムは、ビーチクリーン。青く美しい海ですが、よく見ると海辺には様々なごみが落ちていました。ペットボトルなどの大きなごみだけではなく、サンゴの間に埋まっているプラスチック片など小さなごみも見落とさずひとつひとつ丁寧に拾いました。分別をしながらごみを拾う中で「プラスチック」か「ガラス・陶器」か、分類の分からないものが多いことに気づいた岐阜の子ども達。海辺では波に揉まれて角の取れたガラスや陶器の小片が見られましたが、これらは岐阜の川のごみには少なく、ごみ拾いでも海と川の違いを見つけることができました。

再会を約束する子ども達 「岐阜で待っているよ」
沖縄県の子ども達と活動する2日間が終了しました。はじめは互いに緊張気味でしたが別れの時間には、どの子も名残惜しそうな様子。最後にプレゼントを交換し、岐阜での再会を約束しました。約3週間後、次は沖縄の子ども達が岐阜県を訪れます。

人の暮らしに近い場所にある海の自然のあり方
帰途につく最終日、最後に浦添市の西海岸で活動しました。この場所は、都市部近郊にある広大な自然海岸で、遠浅な海が広がり、多様な生き物が息づく海として長く親しまれ、近年は西海岸道路の開通や大型商業施設の開業で、地元だけではなく多くの県民にとって身近になった、人の暮らしに近い場所にある海です。
鹿谷先生は、海の埋め立てが進んでいることや、人と海とのつながりやあり方について話し、「自分たちのできることを考えてみてほしい」と伝えました。
子ども達は、海のすばらしさだけではなく、海が抱えている問題について知り、海の無い地域に住む自分達が海のために何ができるかを考え、それぞれの心に刻みました。

参加した子ども・保護者・教育関係者からの声
【参加した子どもの声】
・海の透明度の高さにとても驚いた。海は広くてきれいでいろいろな魚がいた。ヒトデは固い。海水が
しょっぱかった。
・沖縄は海がきれいで岐阜は川がきれいで、それぞれの県の良さがあると思った。
・シュノーケルや生きもの観察などいろいろな学習はもちろん、沖縄の人たちとたくさん交流できて楽しかった。
・最初に会った時は笑顔で話せなかったから岐阜に来た時は笑顔でむかえたい。
【保護者からの声】
・帰宅した子どもが「シュノーケルで見たすばらしい海の中(サンゴや魚)を家族に見せたいので、同じビーチ、同じ海に絶対にもう一度行きたい」と言っていた。見たもの、学んだものをたくさん聞かせてくれた。その様子から、子どもにとってどれほどの感動体験だったのか想像できた。このような体験をさせてもらえたことに感謝をするとともに、ぜひほかの子ども達にも体験してもらいたい。
・同じ学級でも日頃あまり話さない子と交流して親しくなったと言っていた。学校生活とは違う一面を見ることができたようです。全く知らない子と遠方への宿泊研修だったら、参加を躊躇してしまったかもしれないが、同じのクラスの子と一緒で、さらに担任の先生が同行してくれたことで、子ども自身も行きたいと決断することができた。学校と学校でない団体が一緒に企画をされたのは大変だったと思うが、子ども達のために力を尽くしてくださりありがとうございました。
【教育関係者からの声】
・子ども達にとっても学校にとってもすばらしい機会になった。学校でも家庭でもない、第3の組織、外部団体との連携だからこそできるかたちや学びがあるというのをあらためて感じた。学習の広がりや可能性への期待が高まった。
・子ども達の学びのために、立場の異なる大人が力を合わせて一緒に築き上げる理想の教育モデルとして全国の教育機関に知ってもらいたい。
<団体概要>
団体名称:一般社団法人海と日本プロジェクト岐阜
活動内容 :日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、海のない岐阜県民が次世代へ海を引き継ぐため、海を介して人と人がつながることを目的とした各事業を実施しています。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
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