スペースデータ、衛星画像から山火事の焼失範囲と焼損程度を推定する「Wildfire Watch」をリリース
スペインで延焼が続く同国史上最大の山火事を、火災前後の光学衛星画像比較で実3D地形上に可視化
株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤航陽、以下「スペースデータ」)は、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」のレジリエンス領域「Geo-Resilience(ジオレジリエンス)」の新機能として、光学衛星画像の火災前後比較から山火事の焼失範囲・焼損程度を面的に推定し、燃焼中の地点(活火点)とあわせて3D地図上に可視化する「Wildfire Watch」をリリースしました。デモには、現在スペインで延焼が続く同国史上最大規模の山火事(アビラ県ブルゴオンド)を速報解析のうえ収録しています。

背景:スペインで進行中の「史上最大」の山火事
2026年7月22日にスペイン中部アビラ県ブルゴオンド付近で発生した山火事は、シエラ・デ・グレドス山麓のアルベルチェ川・ティエタル川流域に沿って急速に拡大し、焼失面積は約5万ヘクタールと、スペイン史上最大の森林火災になったと報じられています。一時は国家的緊急事態にあたる「状況レベル3」が宣言され、延焼前線はマドリード州境に到達し、避難者は最大約9万人と推計されています。前線の封じ込めが進む一方、完全な鎮火には至っていません。政府発表によれば2026年のスペイン国内の焼失面積はすでに約18万ヘクタールに達しており、猛暑と乾燥を背景とする山火事の大規模化は、地中海沿岸にとどまらない世界的な課題となっています。
延焼中の大規模火災では、「いま、どこが燃えているのか」(現在の前線)と「これまでに、どこがどれだけ焼けたのか」(累積被害)の両方を把握することが、避難誘導・消火資源の配分・復旧準備の意思決定に不可欠です。しかし、煙に覆われた数百km²規模の被害全体像を地上や航空機から捉えることには限界があります。衛星データは有効である一方、画像の取得から指標計算・分類・可視化までには専門的な処理を要してきました。Wildfire Watchはこの一連の解析パイプラインを実装し、延焼中の火災でも被害の全体像を速報的に共有できるようにするものです。
「Wildfire Watch」の主な特徴

1. 火災前後の衛星画像比較による焼失範囲・焼損程度の面的推定
光学衛星Sentinel-2のL2A画像から、植生の燃焼に敏感な狭帯域近赤外と短波長赤外を用いて正規化燃焼指数を算出し、火災前後の差分で焼損の程度を推定します。国連UN-SPIDERの推奨手法(Recommended Practice: Burn Severity)に沿ってUSGSの区分で「軽度/中程度(低)/中程度(高)/重度」の4クラスに分類し、クラス別焼失面積を集計のうえ地図上に重畳表示します。
2. 雲・煙・非植生を考慮した画素選別
光学画像は雲や煙の影響を強く受けるため、対象期間内で雲被覆が最も少ないシーンを自動選択するとともに、シーン分類レイヤによる雲・雲影・無効画素の除外、火災前NBRの閾値による非植生(裸地・都市)の除外を組み込み、農地の収穫などを焼失域と誤認する誤検出を抑制しています。
3. NASA FIRMS活火点による「いま燃えている場所」の重畳
Sentinel-2は熱赤外バンドを持たないため、燃焼中の地点そのものは検出できません。そこで熱赤外センサVIIRSによるNASA FIRMS(NASAの火災情報システム)の活火点データを取得し、点として地図に重畳します。延焼中のイベントには準リアルタイムデータを使用します。「焼失域=面」「活火点=点」と、光学・熱赤外の2種類の衛星データを役割分担させる構成です。
4. 火災前/火災中/火災後の3フェーズ切替と、実3D地形での俯瞰
トゥルーカラー画像で火災前後の景観を比較でき、火災中フェーズでは延焼時の煙の広がりも確認できます。地図エンジンは、2D(直上視)/3D(チルト)を切替可能です。3Dでは実標高の地形起伏と建物データを重ね、山岳地形に沿った延焼の広がりを俯瞰できます。
デモ:延焼中のスペインの火災を含む3事例を収録
デモでは以下の3事例を切り替えて確認できます。
-
スペイン アビラ県 ブルゴオンド(2026年7月・延焼中)
-
スペイン ラス・メドゥラス(2025年8月)
-
米カリフォルニア州 LNU火災(2020年8月)
ブルゴオンドの火災では、推定焼失面積479.1km²、活火点3,345点(いずれも取得時点の速報値)を検出しています。焼損程度の内訳は、軽度134.6km²/中程度(低)133.0km²/中程度(高)130.6km²/重度81.0km²です。延焼継続中のため「火災後」は取得可能な最新シーンによる暫定値であり、今後の観測により更新されます。
※本デモは機能・操作性の確認を目的としたデモンストレーション版です。焼失域はSentinel-2の火災前後比較による相対推定であり、実測値ではありません。定量的な被害判定には現地調査等との照合が必要です。また、光学衛星の再訪周期(約5日)と煙の影響により、延焼中の推定値には観測タイミングによる差が生じます。
想定される利用シーン
1. 被害全体像の早期把握(危機管理・防災・林野部門)
クラス別焼失面積をもとに、被害の深刻な区域から復旧・調査の優先度を検討できます。
2. 延焼状況の確認(消防・自治体)
活火点の分布と既焼失域を重ね、前線の位置関係と拡大方向を把握できます。
3. 状況の共有・発信(広報・教育・研究)
火災前後のビジュアル比較と3D俯瞰により、専門家以外にも伝わる形で状況を説明できます。
今後の展望
FIRMS準リアルタイムデータとの連携による延焼中の自動更新、複数時点のdNBR時系列化、建物・道路・土地被覆データとの重ね合わせによる被害の定量化、商用高解像度衛星との連携による焼失境界の精緻化、国内事例の拡充などを予定しています。SpaceBrainでは、浸水解析をはじめとするGeo-Resilience領域の機能群とあわせ、災害の発生前・発生中・発生後を一貫して支える地球観測AIの体系化を、プラネタリースケール(惑星規模)で進めていきます。
株式会社スペースデータについて
株式会社スペースデータは、「宇宙を誰もが活用できる社会へ」という思いのもと、宇宙とデジタル技術の融合によって新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。
地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン技術を活用して、宇宙から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。さらに、宇宙ロボット・宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。
スペースデータの公式サイトでは、「NEWS」にて最新の取り組みや発表をご紹介しています。
詳細は https://spacedata.jp/news をご覧ください。
社名:株式会社スペースデータ
代表:佐藤航陽
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
資本金:15億1300万円
事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究
NEWS:https://spacedata.jp/news
LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/spacedatajp/
採用情報:https://www.wantedly.com/companies/spacedata/projects
本件に関するお問い合わせ
下記のお問い合わせフォームからご連絡ください。
すべての画像
- 種類
- 商品サービス
- ビジネスカテゴリ
- システム・Webサイト・アプリ開発ネットサービス
- 関連リンク
- https://spacedata.jp
- ダウンロード
