【台湾情報】台湾金属加工用機械設備製造業の概況と2023年の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2023年5月第4週号発行>
〜台湾電子・半導体・EV自動車・工作機械業界の最新動向を分析する〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の2023年5月第4週号を発行しました。今週号では工作機械業界、製造業全般、電池業界、事務機器業界の動向を紹介します。
<最新刊目次>
- 台湾金属加工用機械設備製造業の概況と2023年の展望
- 台湾製造業の6直轄市における過去10年間の変化
- 格斯科技の桃園電池セル工場完成、台湾初の1GWh規模へ
- 台湾事務機器設備の現況と2023年の展望
一、産業概況
23年Q1の生産‧販売額は前年同期割れへ
台湾金属加工機械設備(工作機械)製造業の2022年の生産額は1268億7200万台湾元で前年比4.19%増、販売額は1274億8500万元で4.41%増だった。22年第1~3四半期(1~9月)は、前年第4四半期(10~12月)の受注が大幅に増加していたことに加え、▽電気自動車(EV)、▽低軌道(LEO)通信衛星などの航空宇宙、▽再生可能エネルギー、▽医療・ヘルスケア、▽半導体向けの需要増により、生産額、販売額ともに前年同期を上回った。ただ、22年第4四半期は、▽ロシアのウクライナ侵攻によるロシア向け輸出減、▽中国のゼロコロナ政策による中国向け輸出受注の減少、▽米利上げによる世界経済の減速の影響で、生産額、販売額ともに前年同期を下回った。
23年も世界経済の低迷が続き、景気見通しが悪化していることに加え、融資コストが高まっていることから、企業の設備投資意欲が減退している。また、台湾政府は23年1月、ロシアとベラルーシに対する輸出規制を強化し、工作機械を規制対象製品に追加した。さらに、外需の低迷で台湾製造業の設備投資も減少している。以上のことから、台湾当産業の23年第1四半期の生産額、販売額はいずれも前年同期を下回る見通しだ。
二、カテゴリー別の販売状況
マシニングセンタの23年1月販売額は34.27%減、NC旋盤は21.5%減
1.金属切削工作機械
金属切削工作機械のうち、「マシニングセンタ」の23年1月の販売額は15億6300万元で前年同月比34.27%減、「NC旋盤」は13億1100万元で21.5%減だった。自動車産業の調達規模が減少したほか、ロシア向けの輸出規制が響いた。
また、「切削工作機械部品」の23年1月の販売額は10億8600万元で、前年同月比36.81%減だった。切削工作機械メーカーの受注減と、中国向けの需要減が影響した。
2. 金属成形工作機械
金属成形工作機械のうち、「プレス機」の23年1月の販売額は1億7200万元で、前年同月比50.56%減だった。プレス機の販売額は長期的に減少傾向にある。
また、「液圧プレス機」の23年1月の販売額は5700万元で、前年同月比41.08%減だった。「表面処理設備」は1億8500万元で、47.36%減だった。鋼材価格の大幅上昇で金属製品メーカーが影響を受けたほか、高水準だった前年同月からの反動減も出た。
三、輸出入概況
23年1~2月の輸入額32.6%減、輸出額3.4%減
台湾当産業の23年1~2月の輸入額は34億2800万元で、前年同期比32.61%減だった。台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資拡大で内需の下支え効果はあったものの、米利上げによる世界経済の鈍化で台湾製造業の生産、輸出受注が落ち込み、設備需要が減少した。経済部統計処によると、台湾製造業の23年1月の生産指数は前年同月比21.82%低下し、23年1~2月の輸出受注は前年同期比18.84%減少した。また、台湾元安による輸入コスト上昇も響いた。(中略)
五、今後の展望
23年も各国で政情不安、金融引き締め、エネルギー危機などが続いていることから、米国、欧州、中国などの経済が減速し、工作機械の需要が鈍化している。各国の製造業の設備投資意欲は弱く、台湾当産業の輸出に影響する見通しだ。また、台湾域内の需要も低迷が続くと予想される。
一方、台湾当産業メーカーは風力発電や電気自動車(EV)などエネルギー分野の需要開拓を進めている。
以上のことから、台湾当産業の23年通年の生産額、販売額はいずれも前年比小幅減となる見通しだ。
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