筑波大学附属病院で陽子線治療システム2号機が治療開始
4社のコンソーシアムが陽子線治療施設を整備、20年にわたり運営をサポート


撮影/津布久 智(はなファクトリー)
株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)、戸田建設株式会社(以下、戸田建設)、株式会社ビケンテクノ(以下、ビケンテクノ)、三菱HCキャピタル株式会社(以下、三菱HCキャピタル)の4社が推進する筑波大学附属病院陽子線治療施設整備運営事業(以下、本事業)により納入した陽子線がん治療システムが、筑波大学附属病院陽子線治療センター(以下、筑波大学)で9月29日に治療を開始しました。
本事業は、日本で初めての陽子線治療施設の更新であり、スポットスキャニング照射技術などを搭載し、加速器と回転ガントリ治療室2室を備えた陽子線がん治療システム一式と、陽子線施設の設計・建設から運転・保守・維持管理などを整備するPFI方式*1による事業です。また、限られた敷地内での施設更新のモデルケースとなります。
4社は、今後もがん治療の革新をリードする筑波大学のパートナーとして、20年にわたる運営支援を行っていきます。
*1 PFI(Private Finance Initiative)方式:公共施設などの建設や運営、維持管理などを、民間の資金や経営能力、技術を活用して行う手法。
本事業の特徴
1.コンソーシアム4社の強みを生かした陽子線治療施設整備運営事業
陽子線治療の各分野の技術・運営ノウハウを有した4社がコンソーシアムを組み、PFI方式により施設整備と治療システムを納入しました。今後、筑波大学のパートナーとして20年にわたり施設の維持管理と治療システムの運転・保守管理を推進していきます。
2.限られた敷地の中で、診療を継続しながら陽子線治療装置の更新を実現
既存施設に隣接した敷地に、コンパクトな加速器室と治療室の配置を実現しました。これは、限られた敷地で陽子線治療システムを更新する際のモデルケースとなります。また、既存施設の一部を継続利用するための改修工事を新施設の建設中に行いました。改修中にも診察は通常通りに行えるような施工ステップとし、新施設への移行をスムーズにできるようにしました。
3.最適な資金調達スキームにより安定的かつ効率的な事業を推進
事業の特徴に合わせて、従来の資金調達方式にとらわれず、SPC*2を組成しない最適なファイナンススキームを構築しました。これにより、代表企業による一貫したマネジメント体制を確立し、迅速な意思決定と効率的な事業運営を実現しています。
*2 SPC(Special Purpose Company):特別目的会社
筑波大学附属病院陽子線治療センターについて
筑波大学では世界に先駆けて、1983年から陽子線加速器を用いたがん治療を実践しています。2001年に株式会社日立製作所の陽子線治療システムを導入し、これまでに約8,450名のがん患者へ陽子線治療を提供しています。
コンソーシアムの概要
本事業は、日立ハイテクを代表企業とし、戸田建設、ビケンテクノ、三菱HCキャピタルの4社によるコンソーシアムが、それぞれの専門性を生かして施設の整備・運営にあたります。
日立ハイテク:陽子線治療装置等の調達業務、陽子線治療装置等の運転・保守管理業務、業務全体の 管理調整業務
戸田建設:新陽子線棟の整備業務、既存陽子線棟の改修業務
ビケンテクノ:新陽子線棟の施設維持管理業務
三菱HCキャピタル:業務全体の管理調整業務(ファイナンシャルアドバイザリー業務)

日立ハイテクについて
日立ハイテクは、持続可能な地球環境、健康で安心・安全な暮らし、科学と産業の持続的発展に貢献するため、「知る力で、世界を、未来を変えていく」という企業ビジョンを掲げ、社会やお客さまに最先端の技術や製品・サービスを提供しています。ヘルスケア分野における医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体分野における半導体製造・検査装置のほか、環境分野や材料の研究などで用いられる分析装置、解析装置を製造・販売しています。また、電池、通信インフラ、鉄道検測、デジタルなどの産業・社会インフラ分野で高付加価値ソリューションを提供するなど、幅広い事業領域でグローバルに事業を展開しています。私たちは、社会やお客さまの真の課題を正しく知り、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)とドメインナレッジを生かし、AIで強化した「Lumada 3.0」を体現するデジタルサービスを提供することで、日立グループ新経営計画「Inspire 2027」で掲げる環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献していきます。(2025年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は7,565億円)
詳しくは、日立ハイテクのWebサイト(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/)をご覧ください。
戸田建設について
戸田建設は、「Build the Culture. 人がつくる。人でつくる。」というブランドスローガンのもと、建築・土木・都市開発・不動産など多岐にわたる事業を展開する総合建設会社です。1881年の創業以来、医療・福祉施設や超高層ビル建設、トンネルやシールド工事などの社会インフラ整備に貢献し、持続可能な社会の実現を目指しています。近年では、再生可能エネルギー事業にも取り組み、技術革新と環境配慮を両立した高付加価値ソリューションを提供しています。堅実な経営と強固な財務体質を背景に、国内外で信頼される企業として、社会とお客様の課題解決に貢献し続けています。(2025年3月期連結売上高:5,866億円)
詳しくは、戸田建設のWebサイト(https://www.toda.co.jp)をご覧ください。
ビケンテクノについて
ビケンテクノは、建物の総合サービス企業として、オフィスビル、商業施設、マンション、官公庁施設、競馬場、病院、ホテル、物流施設等の清掃・設備管理・保安警備、食品工場製造ラインの洗浄・殺菌業務、施設営繕リフォーム事業等 多岐にわたり、施設の総合管理業務を営んでおります。また「快適環境の創造」をキーワードに建築設計・施工、不動産管理事業等を行うとともに、医・食・住環境の分野でソリューションサプライヤーとなり、経営理念である「お客様第一主義」を実践してまいりました。(2025年3月期 連結売上高34,669百万円)
私たちはお客様第一主義を実践するソリューションプロバイダーとして最高品質の建物管理をご提案し、ファシリティマネジメント(FM)・プロパティマネジメント(PM)・ビルメンテナンス(BM)を通じて、社会に貢献します。
詳しくはビケンテクノのWebサイトをご覧ください。https://www.bikentechno.co.jp/
三菱HCキャピタルについて
三菱HCキャピタルグループは、“未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター”を「10年後のありたい姿」に掲げ、その実現に向けて、祖業のリースはもとより、有形無形のアセットの潜在価値を最大限に活用した サービスや事業経営などに取り組んでいます。「カスタマーソリューション」「海外カスタマー」「環境エネルギー」「航空」「ロジスティクス」「不動産」「モビリティ」の7つのセグメントのもと、連結総資産は11兆円超、連結従業員は約8,400人を擁し、世界20カ国以上で事業を展開しています(2025年3月末時点)。
わたしたちは、絶えず変化する社会や事業環境の変化を先取りし、お客さま・パートナーとともに新たな社会価値を創出することで、社会的課題の解決、ひいては持続可能で豊かな未来の実現に貢献していきます。
詳しくは、三菱HCキャピタルのウェブサイトをご覧ください。https://www.mitsubishi-hc-capital.com/
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