【基礎研究リリース】β-1,3-オリゴグルカンが、免疫細胞の一種であるT細胞の活性化を促進することを確認しました

株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)は、米国のカンザス州立大学Jeffrey Comer准教授、田村正明教授との共同研究により、β-1,3-オリゴグルカン※1が免疫受容体※2CD28に特異的に結合し、免疫細胞の一種であるT細胞の活性化を促進することを示唆する研究成果を確認しました。なお、今回の研究結果は、2021年3月18日に『International journal of Molecular Sciences』オンライン版に掲載されました(https://www.mdpi.com/1422-0067/22/6/3124)。
※1 β-1,3-オリゴグルカン:藻類やキノコ類、植物に含まれるグルコースが3~20個程度β-1,3結合した多糖体(グルカン)
※2 免疫受容体:免疫細胞の細胞膜、細胞質または核内にあるタンパク質で、特異的な物質(リガンド)と結合して免疫反応を開始させる
■研究の背景と目的
β-1,3-グルカンは、β-1,3-グリコシド結合※3にて連なったグルコースを構成糖とする多糖です。β-1,3-グルカンには、細菌や真菌、酵母そして大麦などさまざまな由来がありますが、微細藻類ユーグレナ特有の成分であるパラミロンもβ-1,3-グルカンの一種です。
これまでに、β-1,3-グルカンを含むβ-グルカンが、免疫受容体のCR3やDectin-1、TLR-2などを介して、自然免疫※4系によって認識され、免疫細胞の活性化を促進することが知られています。種々の免疫受容体がβ-1,3-グルカンと相互作用する可能性について、事前のシミュレーション結果で、β-グルカンのなかでも今回の研究目的に適していると想定されたβ-1,3-オリゴグルカンを対象として研究しました。
※3 グリコシド結合:炭水化物(糖)分子と別の有機化合物とが脱水縮合して形成する共有結合
※4 自然免疫:免疫受容体を介して、侵入してきた病原体や異常になった自己の細胞をいち早く感知し、それを排除する仕組み

■研究の内容と結果
Tリンパ芽球細胞※5にβ-1,3-オリゴグルカン(図1中ではOGと表記)を添加して培養したところ、特に抗CD3※6抗体の存在下(免疫系が攻撃すべき抗原を提示し、T細胞を活性化させる抗原提示細胞は、CD3とCD28を介してT細胞にシグナルを送るため、CD3を刺激する抗体をオリゴグルカンと合わせて添加している状態)で、T細胞の活性化を示すサイトカイン(IL-2、IFN-γ、TNF-α)のmRNA※7レベルが増加することがわかりました(図1)。
※5 リンパ芽球細胞:一般に成熟リンパ球に分化する未成熟な細胞
※6 CD3:免疫細胞の一種であるT細胞受容体の構成成分であり、T細胞のマーカー(目印)として最も多用される
※7 mRNA(messenger RNA):RNAポリメラーゼによって遺伝子(DNA)から 転写された、タンパク質の配列情報をコードするRNA

図1 サイトカインの活性化(CD3 antibody+CD28 antibodyをポジティブコントロールとして設定している)図1 サイトカインの活性化(CD3 antibody+CD28 antibodyをポジティブコントロールとして設定している)

さらに、分子メカニズムを明らかにするために、分子動力学シミュレーションによって、β-1,3-オリゴグルカンと免疫受容体との相互作用を調査しました。その結果、β-1,3-オリゴグルカンは、免疫受容体CD28と可逆的に結合することが観察されました(図2A)。その結合領域は、通常、T細胞を刺激する抗原提示細胞側の受容体であるCD80およびCD86が免疫受容体CD28に結合する領域と一致しています。
比較のために、β-グルカンのパターン認識受容体※8として知られているDectin-1とβ-1,3-オリゴグルカンの相互作用を確認したところ、β-1,3-オリゴグルカンとDectin-1の結合が観察されました(図2B)。
これらのシミュレーションは、今回新たにβ-1,3-オリゴグルカンとの結合が確認されたCD28が、β-1,3-オリゴグルカンに対してDectin-1と同様の親和性を持っていることを示唆しています。また、本シミュレーションでは、同じ部位に対するα-1,4-オリゴグルカン※9の親和性がはるかに低かったため、β-1,3-オリゴグルカンに特異的な結合であることが示されています。
※8 パターン認識受容体:自然免疫に関する細胞に存在し、病原体などの異物を認識する機能をもつ受容体
※9 α-1,4-オリゴグルカン:グルコース同士の結合様式にはα型とβ型の2種類があり、それぞれα-グルカン、β-グルカンと称す

図2 β-1,3-オリゴグルカンと免疫受容体CD28との相互作用(紫色の表面はグルカンの濃度が周囲の濃度の30倍を超える領域を表す 白色:水素、灰色:炭素、青色:窒素、赤色:酸素、黄色:硫黄を表す)図2 β-1,3-オリゴグルカンと免疫受容体CD28との相互作用(紫色の表面はグルカンの濃度が周囲の濃度の30倍を超える領域を表す 白色:水素、灰色:炭素、青色:窒素、赤色:酸素、黄色:硫黄を表す)

以上の結果から、β-1,3-グルカンが免疫受容体CD28に結合し、T細胞の活性化を促進して、免疫機能を刺激する可能性があることが新たに示唆されました。

 

今後も、このような基礎研究をはじめ、β-1,3-グルカンの一種であるパラミロンでの研究や、免疫メカニズムなどヒトの生体機能に関する研究を実施していく予定です。

 

<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>

ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。

<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の生産に向けた研究も行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大。2012年12月東証マザーズに上場。2014年12月に東証一部市場変更。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。
https://euglena.jp

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