高分解能と高スループットを両立した新型の超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「SU9600」を発売

フラッグシップモデル投入により、半導体分野を中心としたデジタライズドアセットの拡充とLumada 3.0の展開を加速

日立ハイテク

超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「SU9600」

 株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク)は、このたび、サブナノレベル*1の物質構造を高精度かつ効率的に観察可能な、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「SU9600」を発売しました。「SU9600」は、従来機種*2から継承した世界最高レベルの高分解能に加え、効率化・自動化機能の強化により、データ取得スループットの向上を実現しました。AI需要の増加を背景とした大量データによる解析ニーズに合わせ、高精度かつ高効率な観察業務の実現に貢献することで、次世代半導体・高機能材料の研究開発を支援します。

 日立グループでは、デジタライズドアセットから生成されたデータに、ドメインナレッジと先進AIを組み合わせたデジタルサービスを提供する、Lumada 3.0を推進しています。日立ハイテクは、データを取得・創出するデジタライズドアセットとして「SU9600」を提供することで、Lumada 3.0を体現するデジタルサービス「産業向けHMAX」を実現し、お客さまへのさらなる価値提供をめざしていきます。半導体をはじめとした成長産業に「産業向けHMAX」を水平展開する「Integrated Industry Automation」に注力することで、フロントラインワーカーの革新に貢献していきます。

*1 サブナノレベル:1ナノメートル(100万分の1ミリメートル)未満のサイズ

*2 超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡「SU9000II」

「SU9600」開発の背景 

 走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下、SEM)は、半導体デバイスやエレクトロニクス、高機能材料などの幅広い分野で活用されており、研究開発から生産現場のプロセス管理、故障解析に至るまで、微細構造の高精度な観察が求められる場面において不可欠な装置です。特に、半導体市場においては近年の旺盛なAI需要増加に伴い、開発スピードの加速や、微細化するデバイスの高精度な寸法管理が求められています。これに対してSEMを用いた大量データ解析による研究開発・製造プロセスに対するフィードバックへの期待が高まっています。 

 こうした中、日立ハイテクは、これまで提供してきた高分解能FE-SEM*3の特長である、高精度かつ安定性のある観察性能に加え、データ解析の自動化機能を強化し、スループット向上による観察業務効率化を支援する「SU9600」を開発しました。「SU9600」は、ユーザーニーズに合わせた多様な観察を可能にしており、アカデミアにおける基礎研究でも活用が期待されます。 

*3 Field Emission SEM (電界放出形走査電子顕微鏡)

「SU9600」の主な特長 

(1)日立独自技術を引き続き搭載し、高分解能かつ高精度な観察を実現 

 「SU9600」はコールド電子銃(冷陰極電界放出形電子銃)を搭載しています。コールドFE電子銃は、高い安定性と輝度のある電子ビームを放出できるため、装置の起動直後から待ち時間なく観察を開始でき、明るくS/N*4に優れた画像を長時間連続して取得可能です。「SU9600」では、カラム構造の改良により、明るさをさらに向上させ、より高精度な観察画像の取得を実現しました。 

*4 S/N(Signal to Noise Ratio):信号の強さをノイズの強さで割った比率。一般的にはS/Nは高いほうが良い。

 また、日立独自技術であるインレンズ形対物レンズにより、世界最高レベルの分解能を従来機から継続し、日立ハイテクのSEMラインアップのフラグシップモデルとして高精度な観察を実現します。

二次電子分解能

0.4nm(加速電圧:30kV)

二次電子分解能

1.0nm(加速電圧:1kV)

STEM分解能*5

0.34nm(加速電圧:30kV/走査透過電子像による格子像)

(2)効率性と高解像度を両立し、目的に合わせた画像取得を実現

 電子線の走査時間の設定自由度が拡大したことに加え、ユーザーが任意の視野範囲のみを選択して撮影できる「カスタムレデューススキャン機能」*5を搭載したことにより、関心領域のみにフォーカスして観察することができます。また、従来機種比5倍以上となる最大40kピクセルの高解像度の撮像が可能な「高精細キャプチャー機能」*5も搭載し、「カスタムレデューススキャン機能」と組み合わせることで、効率的に高精度な画像データの取得を実現します。

(3)自動観察により、大量データ取得時における負担軽減・省力化をサポート

 情報処理技術が進展した昨今は、多くの箇所をあらゆる倍率で観察した大量のデータをもとに解析します。「SU9600」は、大量データ取得時におけるユーザーの負荷を軽減する自動化支援ソフト 「EM Flow Creator」*5を搭載可能です。倍率やステージ位置などの条件設定、フォーカスやコントラストなどの調整機能をニーズに応じて組み合わせ、一連の観察レシピを作成することで、自動観察を連続して実行できます。これにより、従来手動で設定・調整していた作業を大幅に削減し、ユーザーの負担軽減と省力化をサポートします。

*5 「STEM分解能」、「カスタムレデューススキャン機能」、「高精細キャプチャー機能」、「EM Flow Creator」はオプション機能です。

 「SU9600」について 

https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/microscopes/sem-tem-stem/fe-sem/su9600.html

日立ハイテクについて

  日立ハイテクは、持続可能な地球環境、健康で安心・安全な暮らし、科学と産業の持続的発展に貢献するため、「知る力で、世界を、未来を変えていく」という企業ビジョンを掲げ、社会やお客さまに最先端の技術や製品・サービスを提供しています。ヘルスケア分野における医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体分野における半導体製造・検査装置のほか、環境分野や材料の研究などで用いられる分析装置、解析装置を製造・販売しています。また、電池、通信インフラ、鉄道検測、デジタルなどの産業・社会インフラ分野で高付加価値ソリューションを提供するなど、幅広い事業領域でグローバルに事業を展開しています。私たちは、社会やお客さまの真の課題を正しく知り、解決策を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。(2025年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は7,565億円)

  詳しくは、日立ハイテクのWebサイト(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/)をご覧ください。

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会社概要

株式会社日立ハイテク

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URL
https://www.hitachi-hightech.com/jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー
電話番号
03-3504-7111
代表者名
高木 由充
上場
未上場
資本金
79億3848万円
設立
1947年04月