【慶應義塾】筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の体液由来細胞外小胞におけるタンパク質組成の特徴とロピニロール塩酸塩投与による変化
-ALS病態と治療メカニズムの探索と解明-
加えて、人工多能性幹細胞(iPSC)由来アストロサイト(iPast)を用いた研究により、ROPIがD2R-CRYAB経路という神経炎症を抑制する経路を活性化している可能性が示唆されました。さらに、機械学習モデルを用いたバイオマーカー探索によって、予後予測ならびに診断において有用と推定されるタンパク質群をそれぞれ同定しました。
EVsは、ほとんどの細胞種から血液やCSFなどの体液中に分泌され、タンパク質や核酸などを内包していることから、細胞間の生体物質伝達に関わっているとされており、悪性腫瘍やSALSなどの神経変性疾患において疾患への寄与やバイオマーカーとしての有用性が推定されています。しかし、SALSにおける経時的かつ網羅的なEVタンパク質組成や、予後予測において有用なバイオマーカーはよく分かっていませんでした。また、ROPALS試験にて病態進行抑制効果が示唆されたROPIによるEVタンパク質組成変化は不明でした。今回、共同研究グループは、ROPALS試験のリバーストランスレーショナル研究(reverse translational research, rTR)として本研究を行い、経時的な患者由来体液を用いた網羅的なEVタンパク質組成を調べ、これらを明らかにしました。
この研究成果は、SALS病態とROPIによる治療メカニズムの一端を明らかにし、SALSの疾患理解や治療戦略において重要な知見であると考えます。本研究成果は、2024年7月12日午後7時(日本時間)に、日本炎症・再生医学会(Japanese Society of Inflammation and Regeneration [JSIR])の公式国際誌『Inflammation and Regeneration』誌に掲載されました。
▼全文は本学のプレスリリースをご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2024/7/22/240722-1.pdf
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