夏休み特別企画「びん牛乳の今と未来」レポート小学生親子22名が、猛暑の酪農現場で体験学習
西日本を中心に全国16の生協で構成されている一般社団法人グリーンコープ共同体(本部:福岡市博多区、代表理事:日高 容子、以下グリーンコープ)は、2025年8月23日(土)、体験型学習イベント「びん牛乳の今と未来」を開催しました。
酷暑の牛舎で挑戦する子どもたち
当日は快晴で、大分県中津市耶馬渓町の最高気温は36度に達しました。農場の牛舎では大型扇風機が回り続け、牛の体調管理が行われるなか、参加した小学生と家族22名は搾乳を行いました。暑さのなかで作業を進める子どもたちに対し、農場の責任者・伊原忍さんからは「なぜ扇風機が欠かせないのか」「飼槽を清掃することが牛の健康にどうつながるのか」といった説明が行われ、参加者は実際に作業を体験しながら、現場の工夫とその背景を学びました。

続いて行われた子牛へのミルクやり、親牛への餌やりでは、親子や兄弟が声を掛け合いながら作業を進めました。親が手を添えてミルクの入ったバケツを支え、子牛の口へ飲み口を近づけ、飲ませます。農場スタッフからは、作業の意味や飼育管理の工夫についての説明も添えられました。子どもからは「最初はこわかったけど、エサをいっぱい食べてくれて楽しかった」との感想がありました。保護者からは「普段飲む牛乳が違って見える」との声も寄せられ、体験を通じて牛乳が生産さ
れる背景を親子で理解する時間となりました。

循環型社会を学ぶ工場体験
牧場体験の後はグリーンコープミルクのびん牛乳工場へ移動。リユースびんの投入や、出来上がった牛乳をクレート(運搬用ケース)ごと冷蔵庫に保管する作業を体験しました。「びんを洗って繰り返し使うことが環境負荷の低減につながる」「最後の工程を担う責任感が品質を守る」といった解説があり、参加者は作業と学びを結びつけて理解を深めました。
その後、実際に軍手をはめてびんを仕分け、クレートを扱う子どもたちの真剣な表情からは、「牛乳を食卓に届ける最後のひと手間」を担う責任感が伝わってきました。

背景にある「酪農危機」とびん牛乳の現状
今回の企画の背景には、日本の酪農を取り巻く厳しい状況があります。
帝国データバンクによると、2023年度の酪農業者の約4割が赤字経営。飼料高騰や電気代・人件費の上昇に対し、牛乳価格の引き上げが追いつかず、経営を断念する生産者も少なくありません。特に乳用牛の配合飼料は2020年比で1.4倍まで高騰しました。
一方で、びん入り牛乳は学校給食や宅配で長く親しまれてきましたが、大手メーカーによる販売終了が相次いでいます。明治や森永乳業、小岩井乳業などがびん商品の終売を発表し、びん牛乳の存続自体が危機にあります。
びんの回収・洗浄・乾燥といったリユースには大規模な設備と人件費が必要ですが、環境負荷の低さや「味を損ねない品質保持」といったびんならではのメリットは、他に代えがたい価値です。
次世代と描く循環型社会の未来
グリーンコープはこうした状況を背景に、「共生・循環型酪農プロジェクト」を推進。安心・安全・安価でおいしいびん牛乳を安定供給する体制を整えています。
来春には、耶馬渓町に1,000頭規模の乳牛を飼育する「耶馬渓ファーム」が開業予定であり、餌、牧場、工場、流通が一体となった循環型農業の体制が整います。

共生・循環型酪農プロジェクト
組織概要
一般社団法人グリーンコープ共同体
福岡市博多区博多駅前一丁目5番1号
代表理事 日高 容子
2018年、グリーンコープ生活協同組合連合会や、社会福祉法人グリーンコープ、労働協同組合など、九州(福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島)、近畿(大阪、兵庫、滋賀)、中国(鳥取、岡山、島根、広島、山口)、そして福島の16の生協、各種団体とともに「一般社団法人グリーンコープ共同体」を設立。ひとつのグリーンコープのように持てるものを共有・連帯しながら、それぞれの地域に根ざした生活協同組合として活動してきました。「安心・安全な食べものを子どもたちに食べさせたい」という母親の想いからはじまって、それぞれの地域を豊かにしていくことを目指しています。
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