AOSデータ社、「法務DXフォーラム」12/8開催、デジタル法務分野の最新課題解決事例
クラウドデータ、システムデータ、リーガルデータ、AIデータなどのデータアセットマネジメント事業を展開するAOSデータ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 春山 洋、以下AOSデータ社)は、法務分野における様々なDXソリューションや、データ保全と共有を通したDX推進を目的に、第5回産業DXフォーラム「法務DXフォーラム」を、2022年12月8日(木)に開催いたしました。当日の動画はこちらより https://www.aoswebinar.com/@legaldx ご視聴ください。
KPMGコンサルティング、モリソン・フォースター、BOD、リーガルテックが最新法務事例紹介
紙による情報交換が多く、海外と比較してデジタル化が遅れていた法務分野においても、コロナ禍によるテレワーク推進や、グローバルの法規格への準拠の要請などから、法務分野のDXの推進が加速化しています。
産業DXフォーラム第5回目となる「法務DXフォーラム」では、『デジタル法務が実現する企業の競争力強化』と題し、法務分野で最新ソリューションを提供しているリーディング企業より、デジタル法務分野の各種事例やソリューションを解説いただきました。AOSデータは、“データ”を切り口に企業や組織のDX推進を支援する立場から、データプラットフォームの実現に向けた大容量データ管理機能や、AI活用を見据えたメタデータ検索機能等を備える、法務部門の安全なデータ共有と保存のソリューション「AOS LegalDX」を紹介しました。本レポートでは、各セッションの要約を紹介します。
■第5回産業DXフォーラム「法務DXフォーラム」講演概要
法務DXフォーラムが2022年12月8日(木)に日経ホール&カンファレンスルームで開催されました。
AOSデータ社は、日本のDX推進の課題解決に貢献するため、各業種の業界動向や先進企業のデータ活用事例やDXビジネスモデルをご紹介し、DX推進の一助としていただくことを目的に、産業DXフォーラムを開催しています。
AOSデータの代表取締役社長 春山洋は、『デジタル法務が実現する企業の競争力強化』と題して開催する「法務DXフォーラム」の趣旨および、法務DXを共に推進するDXコラボパートナー募集について紹介し、「AOS LegalDX」の提供を通して、パートナー様と日本の法務DX推進に貢献すると挨拶しました。
(2)「DX/SX時代に求められる法務・コンプライアンス機能の改善」
KPMGコンサルティング株式会社 Sustainability Transformation アソシエイトパートナー 水戸 貴之氏
売上高400億円以上の大企業や上場企業向けに行った、日本企業の法務やコンプライアンス組織の課題についてのサーベイでは、法務・コンプライアンスの人材について、76.9%の企業が人材不足と回答しており、業界全体で人材が不足しています。そのような状況で、人権対応等のESGの要請から、業務は変化・増大し続けており、DXの必要性が著しく高まっています。
法務機能・業務におけるリーガルテックの導入状況は、64%の企業がリーガルテックを導入済み、もしくは導入を検討しています。電子署名や電子契約は、40.5%の企業が導入済みです。一方、ナレッジマネジメントツールの導入は10.9%、案件管理(マターマネジメント)の導入企業は16.8%となり、これらのツールの導入率は低い状況です。
海外では人材の流動性が高く、DXを進め、人に依存しない仕組みを作ることで事業継続性を確保している事情もあり、日本企業に比べるとこれらのツールの導入率が高い傾向にあります。マターマネジメントシステムは、当該案件に係る契約・関連文書やノウハウ、コミュニケーション内容を、ひとまとめにして蓄積・管理できるツールです。また弁護士管理や訴訟管理ツール等の導入も進んでいます。
先に述べたとおり、法務・コンプライアンス分野は人材不足である一方、仕事は増えています。ESG/SDGsに関する取組みとして、法務・コンプライアンス部門が特に重視しているテーマは、労働環境(ハラスメント、労働時間)が55.2%、腐敗防止が42.9%と高く、さらにESG/SDGsに関する外部環境の変化を受け、業務が増えたと回答する企業が44.8%にのぼります。
テックは手段であり、テックから始めるのではなく、戦略からスタートし、全体像をとらえ、目指す姿を描き、人的資本の充実に向け、目指す姿とその実現の道筋の明示を行ったうえで、適切な目的・目標を設定して進めることが大事です。
法務担当者は、契約をチェックすることにフォーカスしていることが多いように見受けられますが、契約審査を行っても利益が上がるわけではなく、それがミッションではありません。自社にとって有利な条件で契約を締結する・ESG等の文脈による各ステークホルダーからの要請に対応するなど、会社の利益につながる業務を行うところまでを目指す必要があります。法務部門のミッションを言語化し、業務の意味づけを法務・コンプライアンス部門の内外で明確化することをお勧めします。
(3)「デジタル法務のファイル共有&ストレージ「AOS LegalDX」のご紹介」
AOSデータ株式会社 取締役 志田 大輔
経営法務の役割は守りの法務と攻めの法務の2つがあります。事例をご紹介すると、DeNAのカーシェアのサービスは、車に乗りたい人とシェアしたい人をマッチングする新しい個人間カーシェアリングサービスという事業構想です。本サービスの具現化にあたっては、自家用自動車有償貸渡事業の道路運送法の許可の要否が論点となり、同法の共同使用の項目が廃止された経緯を踏まえて検討されました。
経営法務による解決としては、「提供者の法令遵守」を確保するリーガルデザインを行い、官庁クリアランス、消費者の安全安心を担保する保険を1パッケージで提案することで、リスクを回避しました。結果として、個人カーシェアのビジネス領域を創造し、100億円以上の価値を創出しました。
Airbnbの民泊ビジネスも、旅館業法において法的な位置づけがグレーという法務上の課題がありました。事業構想としては、個人が自宅を貸出し、ホームシェアリング事業を行うというものですが、経営法務による解決としては、住宅宿泊事業法の成立という新法が設立されたことで、日本でホームシェアリングを実現し、全国800万戸の空き家活用の展開が可能になりました。
法務チーム、システム管理者、社内外の専門家という3つの役割をデジタルデータとして解釈したところ、ナビゲーション機能、クリエーション機能、ガーディアン機能により、ビジネスコラボレーションを加速したいというニーズがありました。ナビゲーション機能、クリエーション機能は、攻めの法務となります。ガーディアン機能は、セキュリティマネジメントとなり、守りの法務です。
3つの機能を最大化し、法務チーム、システム管理者、社内外の専門家などの関係者の三角関係をリーガルテックを活用し、効率を上げ、生産性を向上させることが重要です。データを安全に管理する仕組みを作り、ビジネスを創造し、法務の課題を解決するため、「AOS LegalDX」というプラットフォームを開発しました。
法務データの管理と、法務データのやりとりにおいて重要なことは、安全です。データが漏洩すると、信用失墜、ブランドイメージの低下、風評被害などのダメージを企業は被ります。AOSデータは、データの専門企業として、絶対にデータを失くさないという価値を実現するため、方針を4つ定めました。このように高い基準でデータ保護を最優先にした製品は、他にはありません。
安全性を高めるためのキーワードは、VDRという技術です。M&Aの際、機密データを扱うためのVDR(バーチャルデータルーム)という技術がありますが、VDRの技術をベースにしてDXプラットフォームの開発を進めている唯一の企業がAOSデータです。
データを安全に扱うためには、ファイルの権限管理が重要です。データ送受信共に安全に行なうためには、データを格納する器を安全に用意する必要があり、大容量のデータを長期で安価に保管するための技術も必要です。法令や判例を高速で検索するための検索技術も法務DXを支援するために必要となります。
こちらが「AOS LegalDX」の画面です。個人ドライブには、個人のデータが格納されています。相手先のメールアドレスを入力するだけで、データの共有を行なうことができます。世代バックアップ機能があるため、万が一時も、データを過去に遡って回復させることができます。ファイルを受け取る場合には、アップロードリクエスト機能を使うことで、安全にデータを受け取ることが可能です。
相手にアクセス権限を付与することで、安全にファイルを共有することができます。重要な機密ファイルを扱う場合は、二段階認証機能を使うことで安全にデータのやり取りを行ない、電子透かしの機能を使うことで、画面キャプチャを取られた場合のセキュリティ対策を行ないます。契約書の検索には、簡単にタグ検索を行うことができます。紙の契約書のファイルをスキャンして格納した場合も、OCRがかかり、検索可能となります。特許の検索も検索キーワードを入れて、簡単に検索することができます。これらの作業は、全て、ログとして保存されています。デジタル法務データを使ってDXを進めるためには、全てのデータをクラウドにバックアップして、安全に管理する必要があります。
これからの時代は、データ産業として、AIとデータドリブン経営のためのワンストップサービスが必要となります。AOSデータでは、DXを3つのステップに分けて、製品・サービスを提供しています。AIデータアノテーションは、大量のデータをAIで処理しするための、データのタグ付作業を支援するサービスです。
(4)「次世代電子契約ソリューション「Keiyaku CLM」のご紹介」
Tokkyo.Ai株式会社 取締役 平井 智之
契約資産を管理するには、ワンストップ型の電子契約システムをお勧めします。CLM(Contract Lifecycle Management)は、契約書の作成から締結、その後の管理までの全ての契約プロセスをマネジメントすることです。契約業務にはスピードが求められますが、見える化が不十分、という課題もあります。文書管理の一貫性がなく、契約書の管理が標準化されていないと、毎回読み直しが必要となります。情報のサイロ化という課題もあり、担当者にしか分からないという状況を改善する必要があります。契約変更の管理がきちんとされていないと、どれが最新版か分からないという状況になります。これらの課題は、非効率な契約書の管理に起因しており、課題を解決するためには、契約書の作成プロセス、締結プロセス、管理プロセスをそれぞれ、適切に管理する必要があります。
契約書の作成では、効率を保ちながら、リスク管理をしっかりする必要があります。テンプレートの編集、全文検索が可能、AI-OCR、コメント機能などが「Keiyaku Studios」で利用できます。「Keiyaku Sign」では、承認の段階で承認完了までをスピード管理することができ、権限管理機能により、誰が担当して、誰が承認するかという権限を設定し、効率よく管理することができます。「Keiyaku Drive」は、目当ての契約書を即座に見つけて、締約締結の過程を保存し、契約期間などを管理することができます。契約書の保管先としては、クラウドとブロックチェーンを選択することができます。また、コンプライアンスを強化するための監査追跡証明書を発行する機能もあります。
「Keiyaku CLM」の背景となっている基盤技術は、全てのデータをAIで活用できる独自のデータテック基盤技術です。リーガルテックは、独自技術で法務のDXをサポートいたします。
(5)「不祥事案件の実情・対策とDXの活用~海外贈収賄事例を中心に」
モリソン・フォースター法律事務所 パートナー弁護士 野中 高広氏
例えば、海外子会社管理の視点では、現地法人とどのようにデータを共有し、どのようなガバナンス体制を築くか、いわゆる情報ガバナンス体制の構築が必要となります。また、海外子会社の内部監査を実施する際にも、万遍なく、システマティックに行なうことが重要です。
平時においては、電子文書の管理ポリシー、それに基づく文書等の適切な廃棄・処分、データ保護法制も意識した内部通報などのプラットフォームづくり、テクノロジーを活用したメール等のモニタリング、過去事例のデータ管理、eラーニング、アクションラーニングによる研修などが挙げられます。その他には、贈収賄ポリシーを定める際に、過去事例のデータがきちんと収集・保管されることや、接待・承認金額を検討する前提として、会計記録のモニタリングが必要となります。
一方、緊急時の対応としては、訴訟対応の観点からデータの置き場所にも配慮した情報の一元管理、VDRの活用、デジタル証拠による客観性の確保、効率的なドキュメントレビュー、再発防止策としての日常的なモニタリングなどにおいてDXが活用されることになります。また、インタビューを実施する際には、機械学習を活用し、関連ドキュメントを効率良く見つけ出したり、関係者間のつながりやキーワードを把握することもあります。
関係当局とのやりとりにおいては、いかに迅速に的確な電子証拠を提出するかにより、当局の印象も変わってきますし、当局との信頼関係を築くうえでも重要となります。その際に、AI翻訳により効率的な証拠提出をすることも必須となります。また、メールの削除などは司法妨害とみられる可能性もありますし、秘匿特権のかかる文書かどうかのチェックについてもテクノロジーが活用されています。
実際の海外贈収賄のケースにおいては、現地のコンサルタント起用時などに、契約審査・レビューが活用されますし、頻出するファシリテーション・ペイメント事例においては、会計記録のデータ化、モニタリングがセットとなります。また、海外の不祥事事案が内部通報により発覚することもありますが、ローカルの法制度も意識した適切なプラットフォームを活用した内部通報制度の整備、明確かつ乱れのない情報ルートの整備が大切となります。さらに、長期間にわたる現地企業とのJV関係を精査する場合に、不透明な支出が発覚することもありますので、テクノロジーによる、会計記録の精査、契約書のチェックが不可欠となります。
今後の方向性として、効率性、有用性の観点から、デジタル、テクノロジー環境の整備・対応は、各企業にとって不可欠となります。また、内部調査、訴訟対応、契約審査に加え、経済安保におけるサイバー対応、制裁対象のバックグラウンド調査、サプライチェーンのモニタリングなど、あらゆる側面でデジタル、テクノロジーの活用が求められていくと思います。一方で、AIやテクノロジーの倫理問題や、EU法、ガイドライン等の方向性など海外の動向についても注視が必要です。交渉スキルや様々な経験、感情の把握など人の手でしかできない部分、技術もあり、それらの重要性も再認識されていくと思います。人の手とテクノロジーは相反するものではなく、コラボレーションしていくことが大事になると思っています。
■「スキャントゥデイ、クラウド書庫トゥデイによる法務DX」
株式会社BOD 商品企画部 顧問 入江田 翔太氏
本日は、「スキャントゥデイ」と、「クラウド書庫トゥデイ」という2つのサービスを紹介します。法務DXの考え方として、法務業務の効率化と、電子帳簿保存法の改正など法改正に伴い企業に求められる対応、という2つの視点で話をします。
「スキャントゥデイ」というサービスは、紙の文書を電子化するサービスです。各種申請書、法的書類、検査証、仕様書、作業手順など一般文書だけでも様々な文書がありますが、それらの電子化が可能なサービスです。電子契約導入後も、過去の契約書が紙のまま残っている企業がたくさんあります。
DXの第一歩は、紙の文書の電子化です。書類が会社にあるので出社が必要、探すのに時間がかかる、二次利用がしにくい、経年劣化で書類が汚損し、読めない、などが現場の悩みです。書類を探す時間は、1年で約80時間くらいです。スキャンしてデータ化するだけでもこれらの課題が解決されます。
「クラウド書庫トゥデイ」というサービスでは、テレワークでもリモートで文書にアクセスしたり、モバイルからデータにアクセスしたり、クラウド上でのセキュリティリスクを回避して、安全に文書にアクセスできる環境を用意しました。これにより、コラボレーションの加速化というメリットが生まれ、社員だけでなく、外部の関係者とのコラボレーションも加速します。「クラウド書庫トゥデイ」では、LegalSearchという法律検索エンジンや、Tokkyo.Aiという知財検索エンジンもシームレスに利用でき、契約書管理機能で法務業務の効率化や、法務文書の作成、共有、管理の効率化が実現できます。
さらに、端末1台数百円で利用できる「端末管理トゥデイ」というサービスやマニュアルの運営をサポートする「マニュアルトゥデイ」、クラウド上のカメラの画像をAIで検知する「AI検知トゥデイ」などのサービスも提供しています。
<過去に開催された「産業DXフォーラム」はこちらからご覧ください>
■産業DXフォーラム 第4回 会計・経理・財務DXフォーラム:
動画: https://www.aoswebinar.com/@findx
■産業DXフォーラム 第3回 医療DXフォ―ラム:
動画:https://www.aoswebinar.com/@meddx2210
■産業DXフォーラム 第2回 製造業DXと産業用メタバース:
動画:https://www.aoswebinar.com/@industrydx2209
■産業DXフォーラム 第1回 クリエイティブ産業向け次世代メタデータクラウドストレージ「AOS MediaDX」
動画:https://www.aoswebinar.com/@mediadx2207
【AOSデータ株式会社について】
代表者:春山 洋|設 立:2015年4月
所在地:東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町ビル4F
資本金:1億円(資本準備金15億2500万円)
URL:https://www.aosdata.co.jp/
紙による情報交換が多く、海外と比較してデジタル化が遅れていた法務分野においても、コロナ禍によるテレワーク推進や、グローバルの法規格への準拠の要請などから、法務分野のDXの推進が加速化しています。
産業DXフォーラム第5回目となる「法務DXフォーラム」では、『デジタル法務が実現する企業の競争力強化』と題し、法務分野で最新ソリューションを提供しているリーディング企業より、デジタル法務分野の各種事例やソリューションを解説いただきました。AOSデータは、“データ”を切り口に企業や組織のDX推進を支援する立場から、データプラットフォームの実現に向けた大容量データ管理機能や、AI活用を見据えたメタデータ検索機能等を備える、法務部門の安全なデータ共有と保存のソリューション「AOS LegalDX」を紹介しました。本レポートでは、各セッションの要約を紹介します。
■第5回産業DXフォーラム「法務DXフォーラム」講演概要
法務DXフォーラムが2022年12月8日(木)に日経ホール&カンファレンスルームで開催されました。
1)冒頭挨拶 AOSデータ株式会社 代表取締役社長 春山 洋
AOSデータ社は、日本のDX推進の課題解決に貢献するため、各業種の業界動向や先進企業のデータ活用事例やDXビジネスモデルをご紹介し、DX推進の一助としていただくことを目的に、産業DXフォーラムを開催しています。
AOSデータの代表取締役社長 春山洋は、『デジタル法務が実現する企業の競争力強化』と題して開催する「法務DXフォーラム」の趣旨および、法務DXを共に推進するDXコラボパートナー募集について紹介し、「AOS LegalDX」の提供を通して、パートナー様と日本の法務DX推進に貢献すると挨拶しました。
(2)「DX/SX時代に求められる法務・コンプライアンス機能の改善」
KPMGコンサルティング株式会社 Sustainability Transformation アソシエイトパートナー 水戸 貴之氏
ESG/SDGsの潮流やデジタルテクノロジーの進展で、企業にはDXが求められており、さらにサステナビリティトランスフォーメーション(SX)の面からも、法務・コンプライアンス機能の大きな見直しが必要となっています。
売上高400億円以上の大企業や上場企業向けに行った、日本企業の法務やコンプライアンス組織の課題についてのサーベイでは、法務・コンプライアンスの人材について、76.9%の企業が人材不足と回答しており、業界全体で人材が不足しています。そのような状況で、人権対応等のESGの要請から、業務は変化・増大し続けており、DXの必要性が著しく高まっています。
法務機能・業務におけるリーガルテックの導入状況は、64%の企業がリーガルテックを導入済み、もしくは導入を検討しています。電子署名や電子契約は、40.5%の企業が導入済みです。一方、ナレッジマネジメントツールの導入は10.9%、案件管理(マターマネジメント)の導入企業は16.8%となり、これらのツールの導入率は低い状況です。
海外では人材の流動性が高く、DXを進め、人に依存しない仕組みを作ることで事業継続性を確保している事情もあり、日本企業に比べるとこれらのツールの導入率が高い傾向にあります。マターマネジメントシステムは、当該案件に係る契約・関連文書やノウハウ、コミュニケーション内容を、ひとまとめにして蓄積・管理できるツールです。また弁護士管理や訴訟管理ツール等の導入も進んでいます。
先に述べたとおり、法務・コンプライアンス分野は人材不足である一方、仕事は増えています。ESG/SDGsに関する取組みとして、法務・コンプライアンス部門が特に重視しているテーマは、労働環境(ハラスメント、労働時間)が55.2%、腐敗防止が42.9%と高く、さらにESG/SDGsに関する外部環境の変化を受け、業務が増えたと回答する企業が44.8%にのぼります。
テックは手段であり、テックから始めるのではなく、戦略からスタートし、全体像をとらえ、目指す姿を描き、人的資本の充実に向け、目指す姿とその実現の道筋の明示を行ったうえで、適切な目的・目標を設定して進めることが大事です。
法務担当者は、契約をチェックすることにフォーカスしていることが多いように見受けられますが、契約審査を行っても利益が上がるわけではなく、それがミッションではありません。自社にとって有利な条件で契約を締結する・ESG等の文脈による各ステークホルダーからの要請に対応するなど、会社の利益につながる業務を行うところまでを目指す必要があります。法務部門のミッションを言語化し、業務の意味づけを法務・コンプライアンス部門の内外で明確化することをお勧めします。
(3)「デジタル法務のファイル共有&ストレージ「AOS LegalDX」のご紹介」
AOSデータ株式会社 取締役 志田 大輔
デジタル法務には、コンプライアンス、リスクマネジメントなど様々な領域があり、アナログからデジタル法務への変革により、経営力の向上につながります。ビジネスのグローバル化、イノベーションの加速が進み、デジタル化により法務の分野も大きな転換期を迎え、一方コンプライアンスの強化も求められています。
経営法務の役割は守りの法務と攻めの法務の2つがあります。事例をご紹介すると、DeNAのカーシェアのサービスは、車に乗りたい人とシェアしたい人をマッチングする新しい個人間カーシェアリングサービスという事業構想です。本サービスの具現化にあたっては、自家用自動車有償貸渡事業の道路運送法の許可の要否が論点となり、同法の共同使用の項目が廃止された経緯を踏まえて検討されました。
経営法務による解決としては、「提供者の法令遵守」を確保するリーガルデザインを行い、官庁クリアランス、消費者の安全安心を担保する保険を1パッケージで提案することで、リスクを回避しました。結果として、個人カーシェアのビジネス領域を創造し、100億円以上の価値を創出しました。
Airbnbの民泊ビジネスも、旅館業法において法的な位置づけがグレーという法務上の課題がありました。事業構想としては、個人が自宅を貸出し、ホームシェアリング事業を行うというものですが、経営法務による解決としては、住宅宿泊事業法の成立という新法が設立されたことで、日本でホームシェアリングを実現し、全国800万戸の空き家活用の展開が可能になりました。
法務チーム、システム管理者、社内外の専門家という3つの役割をデジタルデータとして解釈したところ、ナビゲーション機能、クリエーション機能、ガーディアン機能により、ビジネスコラボレーションを加速したいというニーズがありました。ナビゲーション機能、クリエーション機能は、攻めの法務となります。ガーディアン機能は、セキュリティマネジメントとなり、守りの法務です。
3つの機能を最大化し、法務チーム、システム管理者、社内外の専門家などの関係者の三角関係をリーガルテックを活用し、効率を上げ、生産性を向上させることが重要です。データを安全に管理する仕組みを作り、ビジネスを創造し、法務の課題を解決するため、「AOS LegalDX」というプラットフォームを開発しました。
法務データの管理と、法務データのやりとりにおいて重要なことは、安全です。データが漏洩すると、信用失墜、ブランドイメージの低下、風評被害などのダメージを企業は被ります。AOSデータは、データの専門企業として、絶対にデータを失くさないという価値を実現するため、方針を4つ定めました。このように高い基準でデータ保護を最優先にした製品は、他にはありません。
安全性を高めるためのキーワードは、VDRという技術です。M&Aの際、機密データを扱うためのVDR(バーチャルデータルーム)という技術がありますが、VDRの技術をベースにしてDXプラットフォームの開発を進めている唯一の企業がAOSデータです。
データを安全に扱うためには、ファイルの権限管理が重要です。データ送受信共に安全に行なうためには、データを格納する器を安全に用意する必要があり、大容量のデータを長期で安価に保管するための技術も必要です。法令や判例を高速で検索するための検索技術も法務DXを支援するために必要となります。
こちらが「AOS LegalDX」の画面です。個人ドライブには、個人のデータが格納されています。相手先のメールアドレスを入力するだけで、データの共有を行なうことができます。世代バックアップ機能があるため、万が一時も、データを過去に遡って回復させることができます。ファイルを受け取る場合には、アップロードリクエスト機能を使うことで、安全にデータを受け取ることが可能です。
相手にアクセス権限を付与することで、安全にファイルを共有することができます。重要な機密ファイルを扱う場合は、二段階認証機能を使うことで安全にデータのやり取りを行ない、電子透かしの機能を使うことで、画面キャプチャを取られた場合のセキュリティ対策を行ないます。契約書の検索には、簡単にタグ検索を行うことができます。紙の契約書のファイルをスキャンして格納した場合も、OCRがかかり、検索可能となります。特許の検索も検索キーワードを入れて、簡単に検索することができます。これらの作業は、全て、ログとして保存されています。デジタル法務データを使ってDXを進めるためには、全てのデータをクラウドにバックアップして、安全に管理する必要があります。
これからの時代は、データ産業として、AIとデータドリブン経営のためのワンストップサービスが必要となります。AOSデータでは、DXを3つのステップに分けて、製品・サービスを提供しています。AIデータアノテーションは、大量のデータをAIで処理しするための、データのタグ付作業を支援するサービスです。
(4)「次世代電子契約ソリューション「Keiyaku CLM」のご紹介」
Tokkyo.Ai株式会社 取締役 平井 智之
ドキュサインの調査によると、電子契約をすでに導入している企業は29%です。電子契約には、スポット型とワンストップ型の2種類があります。会社の取引が生み出す価値の80%は、契約管理で決まります。契約管理を最適化することで企業価値を向上させることが可能です。
契約資産を管理するには、ワンストップ型の電子契約システムをお勧めします。CLM(Contract Lifecycle Management)は、契約書の作成から締結、その後の管理までの全ての契約プロセスをマネジメントすることです。契約業務にはスピードが求められますが、見える化が不十分、という課題もあります。文書管理の一貫性がなく、契約書の管理が標準化されていないと、毎回読み直しが必要となります。情報のサイロ化という課題もあり、担当者にしか分からないという状況を改善する必要があります。契約変更の管理がきちんとされていないと、どれが最新版か分からないという状況になります。これらの課題は、非効率な契約書の管理に起因しており、課題を解決するためには、契約書の作成プロセス、締結プロセス、管理プロセスをそれぞれ、適切に管理する必要があります。
契約書の作成では、効率を保ちながら、リスク管理をしっかりする必要があります。テンプレートの編集、全文検索が可能、AI-OCR、コメント機能などが「Keiyaku Studios」で利用できます。「Keiyaku Sign」では、承認の段階で承認完了までをスピード管理することができ、権限管理機能により、誰が担当して、誰が承認するかという権限を設定し、効率よく管理することができます。「Keiyaku Drive」は、目当ての契約書を即座に見つけて、締約締結の過程を保存し、契約期間などを管理することができます。契約書の保管先としては、クラウドとブロックチェーンを選択することができます。また、コンプライアンスを強化するための監査追跡証明書を発行する機能もあります。
「Keiyaku CLM」の背景となっている基盤技術は、全てのデータをAIで活用できる独自のデータテック基盤技術です。リーガルテックは、独自技術で法務のDXをサポートいたします。
(5)「不祥事案件の実情・対策とDXの活用~海外贈収賄事例を中心に」
モリソン・フォースター法律事務所 パートナー弁護士 野中 高広氏
日本企業が抱えるコンプライアンス・リスクの1つとして、本日取り上げる海外の贈収賄がありますが、贈収賄に関わる調査だけでなく、人権問題、財務・会計、情報セキュリティ、品質・安全性、環境問題などあらゆるコンプライアンス分野にDXが深く関わっています。
例えば、海外子会社管理の視点では、現地法人とどのようにデータを共有し、どのようなガバナンス体制を築くか、いわゆる情報ガバナンス体制の構築が必要となります。また、海外子会社の内部監査を実施する際にも、万遍なく、システマティックに行なうことが重要です。
平時においては、電子文書の管理ポリシー、それに基づく文書等の適切な廃棄・処分、データ保護法制も意識した内部通報などのプラットフォームづくり、テクノロジーを活用したメール等のモニタリング、過去事例のデータ管理、eラーニング、アクションラーニングによる研修などが挙げられます。その他には、贈収賄ポリシーを定める際に、過去事例のデータがきちんと収集・保管されることや、接待・承認金額を検討する前提として、会計記録のモニタリングが必要となります。
一方、緊急時の対応としては、訴訟対応の観点からデータの置き場所にも配慮した情報の一元管理、VDRの活用、デジタル証拠による客観性の確保、効率的なドキュメントレビュー、再発防止策としての日常的なモニタリングなどにおいてDXが活用されることになります。また、インタビューを実施する際には、機械学習を活用し、関連ドキュメントを効率良く見つけ出したり、関係者間のつながりやキーワードを把握することもあります。
関係当局とのやりとりにおいては、いかに迅速に的確な電子証拠を提出するかにより、当局の印象も変わってきますし、当局との信頼関係を築くうえでも重要となります。その際に、AI翻訳により効率的な証拠提出をすることも必須となります。また、メールの削除などは司法妨害とみられる可能性もありますし、秘匿特権のかかる文書かどうかのチェックについてもテクノロジーが活用されています。
実際の海外贈収賄のケースにおいては、現地のコンサルタント起用時などに、契約審査・レビューが活用されますし、頻出するファシリテーション・ペイメント事例においては、会計記録のデータ化、モニタリングがセットとなります。また、海外の不祥事事案が内部通報により発覚することもありますが、ローカルの法制度も意識した適切なプラットフォームを活用した内部通報制度の整備、明確かつ乱れのない情報ルートの整備が大切となります。さらに、長期間にわたる現地企業とのJV関係を精査する場合に、不透明な支出が発覚することもありますので、テクノロジーによる、会計記録の精査、契約書のチェックが不可欠となります。
今後の方向性として、効率性、有用性の観点から、デジタル、テクノロジー環境の整備・対応は、各企業にとって不可欠となります。また、内部調査、訴訟対応、契約審査に加え、経済安保におけるサイバー対応、制裁対象のバックグラウンド調査、サプライチェーンのモニタリングなど、あらゆる側面でデジタル、テクノロジーの活用が求められていくと思います。一方で、AIやテクノロジーの倫理問題や、EU法、ガイドライン等の方向性など海外の動向についても注視が必要です。交渉スキルや様々な経験、感情の把握など人の手でしかできない部分、技術もあり、それらの重要性も再認識されていくと思います。人の手とテクノロジーは相反するものではなく、コラボレーションしていくことが大事になると思っています。
■「スキャントゥデイ、クラウド書庫トゥデイによる法務DX」
株式会社BOD 商品企画部 顧問 入江田 翔太氏
BODは、様々な領域のアウトソーシングを行なっており、人とツールの両輪によるDX推進を掲げています。
本日は、「スキャントゥデイ」と、「クラウド書庫トゥデイ」という2つのサービスを紹介します。法務DXの考え方として、法務業務の効率化と、電子帳簿保存法の改正など法改正に伴い企業に求められる対応、という2つの視点で話をします。
「スキャントゥデイ」というサービスは、紙の文書を電子化するサービスです。各種申請書、法的書類、検査証、仕様書、作業手順など一般文書だけでも様々な文書がありますが、それらの電子化が可能なサービスです。電子契約導入後も、過去の契約書が紙のまま残っている企業がたくさんあります。
DXの第一歩は、紙の文書の電子化です。書類が会社にあるので出社が必要、探すのに時間がかかる、二次利用がしにくい、経年劣化で書類が汚損し、読めない、などが現場の悩みです。書類を探す時間は、1年で約80時間くらいです。スキャンしてデータ化するだけでもこれらの課題が解決されます。
「クラウド書庫トゥデイ」というサービスでは、テレワークでもリモートで文書にアクセスしたり、モバイルからデータにアクセスしたり、クラウド上でのセキュリティリスクを回避して、安全に文書にアクセスできる環境を用意しました。これにより、コラボレーションの加速化というメリットが生まれ、社員だけでなく、外部の関係者とのコラボレーションも加速します。「クラウド書庫トゥデイ」では、LegalSearchという法律検索エンジンや、Tokkyo.Aiという知財検索エンジンもシームレスに利用でき、契約書管理機能で法務業務の効率化や、法務文書の作成、共有、管理の効率化が実現できます。
さらに、端末1台数百円で利用できる「端末管理トゥデイ」というサービスやマニュアルの運営をサポートする「マニュアルトゥデイ」、クラウド上のカメラの画像をAIで検知する「AI検知トゥデイ」などのサービスも提供しています。
<過去に開催された「産業DXフォーラム」はこちらからご覧ください>
■産業DXフォーラム 第4回 会計・経理・財務DXフォーラム:
動画: https://www.aoswebinar.com/@findx
■産業DXフォーラム 第3回 医療DXフォ―ラム:
動画:https://www.aoswebinar.com/@meddx2210
■産業DXフォーラム 第2回 製造業DXと産業用メタバース:
動画:https://www.aoswebinar.com/@industrydx2209
■産業DXフォーラム 第1回 クリエイティブ産業向け次世代メタデータクラウドストレージ「AOS MediaDX」
動画:https://www.aoswebinar.com/@mediadx2207
【AOSデータ株式会社について】
代表者:春山 洋|設 立:2015年4月
所在地:東京都港区虎ノ門5-1-5 メトロシティ神谷町ビル4F
資本金:1億円(資本準備金15億2500万円)
URL:https://www.aosdata.co.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
- 種類
- 商品サービス
- ビジネスカテゴリ
- システム・Webサイト・アプリ開発法務・特許・知的財産
- ダウンロード