【台湾情報】台湾メーカーの第3世代半導体参入状況と産業政策<ワイズ機械業界ジャーナル2023年7月第1週号発行>
〜台湾機械・電子・半導体・自動車・エネルギー業界の最新動向を分析する〜
<最新刊目次>
台湾メーカーの第3世代半導体参入状況と政府の産業政策
台湾汎用機械製造業の生産販売と輸出入の現状及び2023年Q2の展望
ワイヤーハーネスの貿聯国際(ビズリンク)、独レオニ産業用事業の買収で成長
台湾工作機械産業の対メキシコ輸出現状と提言
<今週のフォーカス記事>
台湾メーカーの第3世代半導体参入状況と政府の産業政策
第5世代移動通信(5G)、モノのインターネット(IoT)インフラの整備が進み、▽スマートシティー、▽電気自動車(EV)、▽再生可能エネルギー、▽宇宙技術が普及する中、高周波通信や電子機器の高効率化を主な用途とする第3世代半導体の需要が急増している。第3世代半導体市場は40%以上の成長率が見込まれており、世界中で企業の参入が相次いでいる。
半導体産業チェーンが世界で最も整備されている台湾は第3世代半導体の分野を強化する上で有利な条件を備えている。台湾の第3世代半導体産業(発光ダイオード=LEDを除く)の2021年の生産額は835億台湾元だった。
企業では▽ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)、▽ガリウムヒ素(GaAs)ファウンドリー世界最大手、穏懋半導体(ウィン・セミコンダクターズ)、▽太陽電池や太陽電池用シリコンウエハー大手、中美矽晶製品(シノアメリカン・シリコン・プロダクツ、SAS)、▽半導体設備メーカー、漢民科技(エルメス・エピテック)、▽鴻海科技集団(フォックスコン)などが第3世代半導体関連の技術開発や生産を強化している。また、▽発光ダイオード(LED)最大手、富采投資控股(エノスター)傘下の晶成半導体(ユニコーン・セミコンダクター)、▽ファウンドリー大手、聯華電子(UMC)傘下の聯穎光電(ウェーブテック・マイクロエレクトロニクス)、▽力晶積成電子製造(パワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング、PSMC)なども第3世代半導体の受託生産に参入した。
1.台湾メーカーの参入状況
TSMCと傘下の世界先進積体電路(VIS)はSTマイクロエレクトロニクスや米ナビタス・セミコンダクター、カナダのGaNシステムズといった海外のIC設計会社向けに、シリコン基板上に窒化ガリウム(GaN)を形成させた「ガン・オン・シリコン(GaN on Si)パワー半導体の生産を開始した。
SASは傘下の半導体用シリコンウエハー世界3位、環球晶円(グローバルウェーハズ、GWC)が12年から炭化ケイ素(SiC)、GaNの研究に取り組んでいるほか、傘下の車載用ダイオード最大手、朋程科技(アクトロン・テクノロジー)やファウンドリーの宏捷科技(アドバンスト・ワイヤレス・セミコンダクター、AWSC)が車載、通信用半導体に注力している。また、SASはGaNパワー半導体大手、米トランスフォームに1500万米ドルを出資しており、グループ全体で垂直統合を強化している。(中略)
2.台湾政府の産業政策
台湾が第3世代半導体の生産設備や検査技術を強化する上で、特に重要なのが基板の検査技術だ。技術面で優位性のある台湾のエピタキシャルウエハーメーカーと連携しながら基板検査装置を開発する必要がある。また、台湾政府は8インチ以上のSiCウエハー向け結晶育成炉の台湾生産化を推進している。工業技術研究院(工研院、ITRI)は21年9月、工研院南分院と工研院量測技術発展中心などがSiCウエハーのレーザー切断技術を研究開発すると発表した。
このほか、台湾政府は将来性のある半導体材料、部品、製造プロセス、検査技術などの開発を強化する「A世代前瞻半導体専案計画」や、▽電動バイクや電動バス、▽風力発電、▽第5世代移動通信(5G)以降のビヨンド5G(B5G)、▽低軌道(LEO)衛星通信向け8インチSiCウエハーやSiC粉末の開発を強化する「化合物半導体計画」を推進している。
3.まとめ
国家科学および技術委員会(国科会、NSTC)は学術界における第3世代半導体技術の研究開発と基礎材料、部品、システム関連の人材育成を強化するため、▽国家実験研究院(国研院)台湾半導体研究中心(TSRI)、▽中央大学、▽陽明交通大学、▽台湾大学などの研究チームがプロジェクトを担う「次世代化合物半導体前瞻研発専案計画」を推進している。海外の半導体研究チームとの連携を促し、技術移転、スタートアップ設立につなげたい考えだ。
台湾政府は25年までに第3世代半導体材料、設備の域内自給とサプライチェーン(供給網)の構築を目指している。また、30年までに次世代化合物半導体の重要技術を開発し、台湾半導体産業の高付加価値化につなげる方針だ。
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