トビラシステムズ「特殊詐欺・トレンド詐欺手口レポート2025」を公開

特殊詐欺被害は過去最悪、2025年のトレンドは電話やSNSを組み合わせた複合型詐欺

特殊詐欺やフィッシング詐欺の対策サービスを提供するトビラシステムズ株式会社（本社：愛知県名古屋市、代表取締役社長：明田 篤、証券コード：4441、以下「トビラシステムズ」）は、独自の迷惑情報データベースや調査情報をもとに、特殊詐欺や2025年に新たに急増した詐欺手口の傾向をまとめた「特殊詐欺・トレンド詐欺手口レポート2025」を公開します。

＜調査サマリー＞

◉ 2025年の特殊詐欺トレンドは複数チャネルを組み合わせた“複合型詐欺”

◉ 複合型詐欺3大トレンド：ニセ警察詐欺、SNS型投資・ロマンス詐欺、ボイスフィッシング

◉ ニセ警察詐欺は若年層への被害も拡大、携帯電話への架電増加やSNS利用手口が要因か

◉ 地方銀行をかたり法人を狙うボイスフィッシングが急増

◉ 国際電話詐欺に使われた国番号ランキング、1位はアメリカなどの北米番号「＋1」

■2025年のトレンドは複数チャネルを組み合わせた“複合型詐欺”

2025年の特殊詐欺の大きな特徴として、電話だけでは完結しない“複合型詐欺”の増加が挙げられます。主に電話を使った単一チャネルで完結する従来の手口から、電話・SNS・メッセージアプリ・ビデオ通話・メール・偽サイトなど複数のチャネルを組み合わせるハイブリッド型へと変化しています。

犯行側はこうした複数チャネルを連携させ、手口を複雑化させて被害者に混乱を生じさせたり、リアリティのある“劇場型詐欺”を演出したりすることで、被害者が詐欺と見抜きにくくなる状況が生まれています。

さらに2025年は、生成AIの進化も詐欺の巧妙化の一因となりました。ディープフェイク映像や自然な文章を生成するAIツールの普及により、偽物と本物の判別が一段と難しくなっています。

このように手口が進化する中で、2025年の特殊詐欺被害額は10月末時点で1,096.7億円に達し、過去最悪を記録しました。社会全体のコミュニケーション手段やテクノロジーの進化とともに手口が複雑化・巧妙化したことが、被害拡大の一因となっています。

■2025年のトレンド“複合型詐欺”三大手口

2025年に流行した、複合型詐欺のトレンド手口を3つ解説します。

（1）ニセ警察詐欺

◯2025年最も流行した手口

2025年最も流行した特殊詐欺の手口の一つが、ニセ警察詐欺です。

ニセ警察詐欺は、警察官をかたる人物から電話がかかってきて、「あなたに犯罪の容疑がかかっている」「身の潔白を証明するためには資産の調査が必要」などと不安を煽り、金銭などをだまし取る手口です。かつてのオレオレ詐欺では、子や孫など親族をかたる手口が主流でしたが、現在は警察官を名乗る手口へと変容し、さらに複数チャネルを使う高度な詐欺へと進化しています。

近年の特徴として、電話で接触したのちにLINEなどのメッセージアプリへ誘導し、“事情聴取”と称してビデオ通話を求める流れが増えています。ビデオ通話では、警察官の服装をした人物が登場し、偽物の警察手帳や逮捕状を提示するなど、公的機関の“権威性”を悪用し、被害者に強い心理的圧力を与える手法が確認されています。

◯若年層にも広がる被害

固定電話ではなく、携帯電話にかかってくるケースが急増している点も大きな変化です。メッセージアプリでの連絡やインターネットバンキングによる送金など、一連の犯行が携帯電話で完結するため、スマホ操作に慣れている20〜30代の若年層がターゲットになりやすいのが特徴です。

◯国際電話や偽装番号の悪用でなりすまし

ニセ警察詐欺の犯行に利用される電話番号として、国際電話番号が増加している点も大きな特徴です。最初の接触時に「+1」などで始まる国際電話番号を悪用するケースが増加しているほか、日本の警察署の番号に見せかけるため、番号の末尾を「0110」に偽装した国際電話番号が使われる事例も確認されています。また、実在の電話番号になりすますスプーフィングにより、番号表示だけで不審な着信を見抜くのが極めて困難なケースも発生しました。

（2）SNS型投資・ロマンス詐欺

◯SNSを利用した詐欺手口が流行　

SNSを利用した詐欺が急増する中、特にSNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺の被害が目立っています。どちらの手口も複数チャネルを用いた“複合型詐欺”であり、2025年の特殊詐欺の特徴を象徴しています。

警察庁の発表によると、2025年10月末時点の被害額は1,370.8億円に達し、前年の被害額（1,271.9億円）を既に上回っています。

◯SNS型投資詐欺の手口

投資に関する偽のインターネット広告を入口に、LINEなどの投資グループへ誘導し、架空の株式投資や暗号資産取引などを持ちかけ、投資金や出金手数料などの名目で金銭等をだまし取る手口です。

LINEの投資グループでは、「先生」や「アシスタント」と呼ばれる投資の指南役や、多数のサクラが利益を保証する内容の投稿を繰り返しますが、実際に利益が出ることはなく、入金した金銭が戻ることはありません。

近年は生成AIによるディープフェイクを使い、著名人が投資を勧めているように見せるケースも発生しています。

◯SNS型ロマンス詐欺の手口

SNSやマッチングアプリで出会い、メッセージのやり取りで信頼関係を深めたのちに投資話に誘導し、金銭をだまし取る手口です。

「結婚したい」「一緒に暮らしたい」など、甘い言葉で恋愛感情を抱かせ、強い信頼関係を獲得した上で、投資等の名目で金銭を要求します。恋愛感情や孤独感を悪用するため、家族や周りの人に相談しないまま何度も金銭を支払ってしまうケースもあります。

メッセージのやり取りでは、日常生活に関する画像や動画を頻繁に送って実在の人物を演出するほか、ディープフェイクを利用したビデオ通話を行って信頼を強化するケースもあります。

（3）ボイスフィッシング

◯自動音声と偽サイトを組み合わせたボイスフィッシングの増加

金融機関や宅配事業者などを名乗る自動音声電話を入り口に、メールやSMSで偽サイトへ誘導し、銀行口座情報や認証コードなどを盗み取る手口です。

電話、メール、偽サイトなどを組み合わせ、手口のハイブリッド化が進み、被害が拡大しています。

◯地方銀行をかたり法人を狙う攻撃が増加

近年は法人を狙うボイスフィッシングが増えており、「口座情報の更新手続きが必要」などの自動音声電話を入り口に、偽のログイン画面へ誘導してインターネットバンキングの情報を盗み取る手口が発生しています。盗み取られた情報をもとに、法人の口座へ不正アクセスされ、多額の資金が不正送金されるケースもあり、被害額が数億円規模に及ぶ深刻な被害が確認されています。さらに、地方銀行をかたるケースも各地で増加しており、北陸での発生を起点に南下するような広がりも見られます。

■国際電話詐欺に使われた国番号ランキング、1位は「＋1」北米番号

トビラシステムズの調査で、2025年に国内への着信件数が最も多かった国際電話は、国番号が「＋1」で始まるアメリカ合衆国やカナダなどの北米地域の番号でした。

＜参考資料＞

警察庁「令和7年10月末における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について（暫定値）」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/251202/01.html

警察庁「特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の　認知・検挙状況等について」

https://www.npa.go.jp/publications/statistics/sousa/sagi.html

■詐欺被害にあわないための対策

特殊詐欺などの被害にあわないために、日頃から対策を徹底してください。また、年末年始に家族や知人など周囲の方への注意喚起や、対策方法の見直しを行ってください。

迷惑電話対策サービスで、詐欺の可能性がある電話のフィルタリングが可能です。日頃の対策とあわせてご活用ください。

＜詐欺電話の対策＞

◉電話で「お金」や「キャッシュカード」の話が出たら、まず詐欺を疑う

◉あやしいと感じたらすぐに電話を切り、家族や信頼できる人、最寄りの警察署、警察相談専用電話（#9110）などに相談する

◉迷惑電話対策サービスを活用し、特殊詐欺や悪質商法などの電話を自動で遮断

トビラシステムズの迷惑電話対策サービス（固定電話向け）

https://tobilaphone.com/landline/

トビラシステムズの迷惑電話対策サービス（モバイル向け）

https://tobilaphone.com/mobile/

■トビラシステムズについて

テクノロジーで社会課題の解決を目指し、特殊詐欺やフィッシング詐欺、グレーゾーン犯罪撲滅のためのサービスを提供しています。詐欺電話・詐欺SMS等の情報を収集・調査してデータベースを構築し、自動でフィルタリングする「迷惑情報フィルタサービス」は、固定電話、モバイル、ビジネス向けに展開し月間約1,500万人にご利用いただいています。

＜会社概要＞

会社名　　：トビラシステムズ株式会社
代表者　　：代表取締役社長　明田 篤
証券コード：4441（東証スタンダード市場）
設立　　　：2006年12月
所在地　　：愛知県名古屋市中区錦2-5-12 パシフィックスクエア名古屋錦7F
公式サイト：https://tobila.com/