高品質なデータ取得と操作効率を両立した透過電子顕微鏡 「HT7800Ⅱ」 を発売
さまざまな分野の効率的なデータ取得を支えるデジタライズドアセットの拡充によりLumada 3.0の展開を加速

株式会社日立ハイテク(以下、日立ハイテク、株式会社日立製作所のコネクティブインダストリーズ(CI)セクター所属)は、幅広い分野において高品質で再現性のあるデータ取得と観察業務の効率化を両立した120 kV透過電子顕微鏡 (Transmission Electron Microscope、以下、TEM) 「HT7800Ⅱ」を発売しました。「HT7800Ⅱ」は、従来機種「HT7800シリーズ」の特長である高分解能・高コントラスト性能・優れた操作性に加え、自動化機能を充実させています。日常的な調整・設定作業や画像取得などの自動化により、お客さまの多様な観察環境やニーズにおいても高品質で高効率な観察業務の実現をサポートします。
日立ハイテクが所属する日立のCIセクターでは、プロダクトの豊富なインストールベース(デジタライズドアセット)のデータにドメインナレッジと先進AIを組み合わせたデジタルサービス「HMAX Industry」の提供に取り組んでいます。日立ハイテクはCIセクターの一員として、データを取得・創出するデジタライズドアセットとして「HT7800Ⅱ」を提供することで、Lumada 3.0を体現するデジタルサービス「HMAX Industry」をヘルスケア分野の研究や材料開発などをはじめとした成長産業へ水平展開する「Integrated Industry Automation」に注力し、フロントラインワーカーの革新に貢献していきます。
「HT7800Ⅱ」開発の背景
TEMは物質の内部構造を観察する装置として幅広い分野において活用されており、120 kV TEMは、特に医学・生物学分野での研究・診断や高機能材料の研究・開発などを中心に活用されています。近年は、アカデミアや医療・検査機関などに応用領域が拡大しており、ユーザー層もTEMの操作を熟知した方から初心者の方まで多様化しています。さらに、AIやデータ駆動型の研究・解析の進展に伴って大量データの取得・解析ニーズも高まっており、観察性能だけでなく簡便かつ効率的な観察業務の実現が求められています。
このたびリリースした「HT7800Ⅱ」は、日常の観察業務負担を軽減する自動化機能を強化しました。ユーザーのTEM操作に関わる専門知識の有無に関わらず、効率的かつ安定的に高品質なデータを取得でき、幅広い分野での研究・検査業務における生産性向上に貢献します。
「HT7800Ⅱ」の主な特長
(1)高コントラスト観察と高分解能観察を1台で両立
日立独自の複合対物レンズを従来機種から引き続き搭載し、1つの対物レンズで高コントラストモード(長焦点)と高分解能モード(短焦点)を設定可能です。高コントラストモードでは、生物組織や高分子など広視野・高コントラスト観察が求められる解析に適しており、高分解能モードでは、ナノ粒子やカーボン材料、ウイルスなどの高倍率・高分解能観察に適しています。観察試料の特長や観察目的に応じて、モードをワンクリックで簡単に切り替えることができ、「HT7800Ⅱ」1台で幅広い解析ニーズに柔軟に対応します。
(2) 直感的操作と各種自動化支援機能による安定性と業務効率化を実現
視野探しから撮影まで一連の操作をモニターに一元化し、カメラ切り替えや倍率設定など必要な操作を直感的かつスムーズに実施できるGUIを採用したことで、誰でも簡単に観察業務を実施できます。また、照射する電子ビームの調整作業を支援する「自動ビーム調整機能」を本シリーズとして初めて標準搭載しました。電子ビームの調整は取得データの品質に直結する重要な工程であり、従来は試料や条件に応じてユーザーの知識や経験をもとに、時間をかけて手作業で行う必要がありました。今回、ワンクリックで調整可能な自動機能の搭載により、調整作業の効率化と取得データの安定化を実現し、TEMに関する専門知識がないユーザーでも高品質なデータ取得が可能となります。さらに、観察ワークフロー*1に応じた設定や調整など一連のレシピを条件に応じて柔軟に構築できる自動化支援ソフト「EM Flow Creator」*2も搭載可能です。これらの自動化機能・簡単操作によって、あらゆるユーザーの負担を軽減するとともに安定した観察業務をサポートします。
*1 視野探し→観察→分析→データ解析までのTEMの基本的な観察ワークフローを指す。
*2 「EM Flow Creator」はオプション機能
(3)さまざまな機能を組み合わせることで幅広い⽤途に対応
TEM の連続傾斜像から試料の3次元構造解析を行う電子線トモグラフィーに対応する機能を標準搭載しています。また、光学顕微鏡との相関解析を行う「CLEM(Correlative Light and Electron Microscopy)システム」、氷包埋試料*3をはじめとした冷却試料を観察するための「クライオシステム」、元素分析に用いる「走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)」「EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)元素分析」など、さまざまなオプション機能を用意しています。お客さまの研究目的や解析ニーズに応じて幅広くご活用いただける装置を提供します。
*3 含水試料を液体ごと急速凍結し、非晶質の薄い氷中に包埋して観察する方法。真空状態や電子線照射による損傷を最低限に抑え、自然状態に近い構造観察が可能。
日立ハイテクは今後も、解析・分析のコア技術をベースとした高品質で高信頼性な解析・分析装置などのデジタライズドアセットを提供し、社会やお客さまの課題解決に貢献していきます。
「HT7800Ⅱ」製品紹介ウェブサイト
https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/products/microscopes/sem-tem-stem/tem-stem/ht7800.html
日立ハイテクについて
日立ハイテクは、持続可能な地球環境、健康で安心・安全な暮らし、科学と産業の持続的発展に貢献するため、「知る力で、世界を、未来を変えていく」という企業ビジョンを掲げ、社会やお客さまに最先端の技術や製品・サービスを提供しています。ヘルスケア分野における医用分析装置、バイオ関連製品、放射線治療システム、半導体分野における半導体製造・検査装置のほか、環境分野や材料の研究などで用いられる分析装置、解析装置を製造・販売しています。また、電池、通信インフラ、鉄道検測、デジタルなどの産業・社会インフラ分野で高付加価値ソリューションを提供するなど、幅広い事業領域でグローバルに事業を展開しています。私たちは、社会やお客さまの真の課題を正しく知り、解決策を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。(2025年3月期日立ハイテクグループ連結売上収益は7,565億円)
詳しくは、日立ハイテクのWebサイト(https://www.hitachi-hightech.com/jp/ja/)をご覧ください。
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