関税・為替・国際情勢の変化に、輸出入企業の約8割が「把握・対応で後手」

7割が“見えない損失”を経験、不確実性が常態化するなか“現状維持”は経営リスクに

株式会社Shippio

貿易DXを推進する株式会社Shippio(本社:東京都港区、代表取締役CEO:佐藤 孝徳、以下Shippio)は、製造業・卸売業・商社・小売業のサプライチェーン担当者300名を対象に、国際物流に関する実態調査を実施いたしました。本調査の結果、関税や為替など外部環境の急激な変化に対し、約8割の企業が対応の遅れ(後手)を感じていることや、7割超が物流コストの管理不足による“見えない損失”を経験している実態が明らかになりました。

はじめに

関税の見直し、為替の急変動、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡などの地政学リスク──国際情勢の不確実性により、輸出入のコスト変動やスケジュールの停滞リスクの生じる状況が常態化しています。サプライチェーンの強靭化が経営の重要テーマとなるなか、こうした不確実性のもとでは、迅速な状況の可視化とデータドリブンな業務・物流コスト(※)管理が企業の競争力に直結します。
しかし本調査で浮かび上がったのは、変化をリアルタイムで把握・対応できている企業は、わずか約2割で約8割は対応が後手であること、さらには、対応不足により生じたコスト損失を金額で捉えられている企業も2割にとどまること── 痛みは広いのに“見えていない”という構図です。その背景には、デジタル化を重要と認識しながらも、アナログで属人的な管理体制が色濃く残る実態があります。

※本リリースで「物流コスト」とは、貿易・国際物流に関わるコストを指します。

調査結果サマリー

  • 関税・為替・国際情勢の変化をリアルタイムで把握・対応できる企業は22.0%、約8割は対応が後手。国際情勢が経営に与える影響が増している、と感じる企業は73.3%。

  • 物流コストの管理不足による“見えない損失”を経験した企業は72.0%。一方損失を金額で把握できている企業は21.3%。

  • 貿易・輸出入業務の76.3%にアナログ手段が残存。

  • 可視化・データ活用を「重要」と認識する企業は約7割も、リソース・ノウハウ不足など“自力の限界”を感じる企業が44.7%。外部ツールの活用・検討に前向きな企業は80.7%。

主な調査結果

1. 現状維持はリスク ── 国際情勢を考慮した経営判断の重みは増す一方、対応後手が約8割

コロナ以降、関税・為替・国際情勢をはじめとするサプライチェーンを取り巻く外部環境の不確実性は高まり、変動リスクそのものが常態化しています。本調査では、こうした外部環境の変化を「リアルタイムで把握・対応できている」企業は22.0%にとどまり、約8割(78.0%)は対応が後手に回っていることがわかりました。

国際情勢を考慮した経営判断は、この1年で「増えた」と回答した企業が61.3%。さらに、その判断が経営に与える影響が「大きくなっている」と感じる企業は73.3%に達します。外部環境の不確実性に即したアップデートをせず、現在の業務フロー・体制を変えずに続けること自体が、経営リスクになりつつあります。

2. 見えない損失 ── 痛みは7割超、一方で約3割が金額を把握できていない

物流コストの管理が十分でないことで、過去1年間に何らかの影響(割高な運賃の見逃し、過剰請求・請求誤りの見逃し、デマレージ等の追加費用、予算超過の原因不明など)を受けた企業は72.0%にのぼりました。さらに、その損失の規模を金額で「把握できていない」企業は約3割にのぼり、痛みは広く生じているのに、その規模が見えていないことがわかりました。物流コストの可視化が十分に進んでいない実態がうかがえます。

3. コスト可視化・データ活用の重要性を認識するのは約7割、一方で半数近くがリソース・ノウハウ不足で「自力の限界」

物流コストの可視化・データ活用を「重要」と認識する企業は70.4%にのぼります。一方、推進する上での課題として「社内リソースの不足(34.3%)」「複数システム・担当者への分散(26.3%)」「ノウハウ・知見の不足(22.3%)」が挙がりました。リソースやノウハウの不足といった「自力の限界」を感じる企業は44.7%となるなど、重要性を理解しつつも自力での前進には課題が残る実態がうかがえます。このような現実と理想のギャップを抱える企業も少なくないなか、可視化や改善に向けた外部ツールの活用・検討については、8割を超える80.7%の企業が前向きな姿勢を示しています。

4. 背景に共通するデジタル化の遅れ ── 約8割の企業で電話・紙の手入力などアナログ管理

貿易・輸出入業務では、76.3%が電話での個別問い合わせや貿易書類の手入力といったアナログ手段に依存しています(専用システムでの一元管理は28.3%)。手作業・属人的な管理から脱却し、デジタルを活用した状況の可視化・共有・データ構造化を進めなければ、損失の把握や分析が進まない状態が続きます。

総括

本調査によって、関税・為替・国際情勢の急変動が経営に与える影響が増す一方で、多くの輸出入企業がリアルタイムな対応やコストの正確な把握に課題を抱え、構造的な“見えない損失”を生み出している実態が浮き彫りになりました。背景には、必要性を認識しながらも手作業や属人的な管理から脱却しきれない、アナログな業務体制があります。 
経営判断の根拠となる情報が見えないまま、現在の業務フロー・体制を変えずに続けること自体が、見えない損失を膨らませる経営リスクになりつつあります。デジタル活用で外部環境の変化を素早く経営判断に結びつけられるか否かは、サプライチェーンの競争力格差に直結しかねません。
今回の調査で課題が浮き彫りとなったデジタル化については、政府も「貿易DX」を標榜し後押ししています。経済産業省は「貿易手続デジタル化の取組について」(2025年6月)で、令和10年度までにデジタル化率10%・年間約3,000億円のコスト削減を掲げ、省庁横断で貿易DXを推進中です。輸送・在庫・納期・コストを一体で可視化・検証できる体制づくりが、企業の競争力を左右する焦点となります。

Shippioエバンジェリストによる解説

関税や為替、地政学リスクといった外部環境の変動はもはや、一過性の事象ではなく常に起こりうる前提として備えるべき局面に入っています。今回の調査でも、国際情勢が経営に与える影響が増していると感じる企業が7割を超える一方、変化をリアルタイムで把握・対応できている企業は2割にとどまりました。
重要なのは「外部環境の変化は企業努力でコントロールできない」という点です。企業がコントロールできるのは、変化をいかに早く把握し自社の輸送・コスト・納期への影響を見極め、対応を判断するまでのプロセスです。しかし、その前提となる情報が紙や電話、属人的な管理のもとに分散したままでは、影響の把握にも判断にも時間がかかります。約8割は対応が後手に回っているという結果は、意識の問題ではなく、体制・仕組みの問題として捉えるべきだと考えます。
コスト面でも構図は同じです。割高な運賃の見逃しや過剰請求、デマレージ等の追加費用は、案件単位・費目単位でデータが蓄積されていれば抑制できる可能性があります。上昇するコストのすべてを削ることはできないからこそ、「削れないコスト」と「削るべきコスト」を切り分ける材料としてのデータが不可欠です。

今後求められるのは、輸送実績・費用・遅延要因をデータとして蓄積し、外部環境の変化と突き合わせて継続的に検証できる体制です。国際物流を、"後から集計する業務"ではなく"経営判断を支えるデータ基盤"へと変えていくことが、不確実性が常態化する時代のサプライチェーン競争力を左右すると考えています。

川嶋 章義(Shippio エバンジェリスト)

総合物流会社・大手電機メーカーでの物流企画を経て株式会社Shippioに参画。貿易領域の業務効率化・標準化プロジェクトを多数経験。毎月500名超が参加するセミナーを主宰し、最新の国際物流情勢をリサーチ・発信中。
 X(旧Twitter):@AkiyoshiKawash1

調査概要

調査名:物流コスト管理(※1)に関する実態調査

調査対象:年間売上高100億円以上の製造業・卸売業/商社・小売業/ECに所属し、輸出入・国際物流に関わるSCM/物流/貿易/輸出入/生産管理/調達・購買部門の担当者(※2)

有効回答数:300名

調査方法:インターネットアンケート調査(調査会社パネル)

調査期間:2026年6月12日〜6月13日

調査主体:株式会社Shippio

※1 本調査における「物流コスト」とは、貿易・国際物流に関わるコストを指します。主な内訳は海上運賃・航空運賃、通関・関税費用、フォワーダー手数料・付帯費用、デマレージ(コンテナの港での超過保管料)・ディテンション(コンテナの返却遅延料)、国内輸送費(輸出入に伴う集荷・配送)等です。
※2 回答企業は製造業が約9割を占め、相対的にデジタル化・コスト管理が進んだ層を含みます。比率は小数第1位を四捨五入。複数回答(MA)設問は合計が100%を超えます。

Shippioについて https://www.shippio.io/

Shippioは「国際物流を、アドバンストに」をビジョンに掲げ、貿易プラットフォームを構築しています。Shippioの提供するクラウド上では、貨物船トラッキングや見積もり・発注、貿易書類の一元管理・関係者間での情報共有、チャットコミュニケーション等が可能となり、デジタルを活用したビジネスプロセスの構築とオペレーションの提供を通じて貿易DXを推進しています。

Shippio会社概要

会社名 :株式会社Shippio(英語名: Shippio, Inc.)
所在地 :東京都港区芝浦1-1-1 BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S 9階
代表者 :代表取締役 佐藤 孝徳
設立  :2016年6月
事業内容:国際物流プラットフォームの企画・開発・運営
URL  :https://www.shippio.io/corp/ 
取得ライセンス等:第一種 貨物利用運送事業者(関自貨第1714号)、第二種 貨物利用運送事業者(国総国物第107号)、第二種 貨物利用運送事業者(国自貨第386号)、IATA公認代理店認可取得 一般社団法人 国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)正会員、国際複合一貫輸送約款(2013)、WAYBILL約款(2013)(国総国物第107号の2)

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会社概要

株式会社Shippio

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URL
https://www.shippio.io
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区芝浦一丁目1番1号 浜松町ビルディング 15階
電話番号
03-6812-9065
代表者名
佐藤孝徳
上場
未上場
資本金
21億9000万円
設立
2016年06月