数学と工学を融合しZenmuTechがデータセキュリティの未来を拓く。瀧本篤志氏の指導で秘密計算「QueryAhead」を世界展開。4年連続でTechCrunch Disrupt 2025へ出展

データはもっと自由になれる―。従来の「データを保護する」概念から解放され、「守らないセキュリティ」という画期的な概念で、データ保護ビジネスを展開しています。今年で創設40周年を迎え、会員企業は800社以上いる一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)の会員である株式会社ZenmuTech。従来のセキュリティの限界を超える秘密分散技術を核に、データ活用の未来を担っています。
その最前線で、技術開発と研究をリードするのが、エンジニアの瀧本篤志氏。新卒でデータサイエンティストとしてキャリアをスタートし、金融機関を経て、現在はZenmuTechの秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」の開発に従事しています。
一方で業務の一環として大学院の博士課程に在籍し、最先端の量子情報理論を研究する研究者としての顔も持つ。理論と実践を融合させ、未来のセキュリティ基盤を構築する瀧本氏の軌跡とビジョンに迫りました。
ZenmuTechの「守らないセキュリティ」とは?
ZenmuTechの事業の中心にあるのは、まずデータを無意味な形に分割し、複数の場所に分散保存するという「秘密分散技術」と呼ばれているものです。
「鍵が解かれると全て漏洩する」という従来の暗号化の弱点を克服した技術は一般的なセキュリティの概念からは一線を画しております。それぞれの分散ファイルは個別にはまったく無意味なため、「どこかに持っていかれても一切漏洩しない、"守らないセキュリティ"が実現できる」と言います。
そして、同社が今、最も注力し、瀧本氏が研究開発を担うのが秘密計算。
「こちらはこれから作っていこうというフェーズにあります。今は製品の開発というより研究開発に近い感じです」と瀧本氏は語りました。
秘密計算は、データを暗号化・秘匿化したまま演算できる技術であり、情報漏洩リスクをゼロにした上でのデータ分析・活用を可能にします。瀧本氏は、この先端領域において、お客様との仕様検討や提案、実際にコードを書いて機能を追加実装する開発まで、事業創出の初期段階から幅広くコミットしています。
「QueryAhead®」のグローバル展開と北米市場での成長
ZenmuTechの秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」は、秘匿化したデータを一切復元することなく計算処理を実行できる革新的なソリューション。クラウドや社内サーバー、環境を問わず安全なデータの受け渡しと加工・分析が可能で、これまで難しかった機密データの積極的な利活用を推進しています。
背景として、AI・機械学習を駆使したデータの利活用が進む北米市場では、プライバシー保護技術(PETs)に対する期待も高く、秘密計算技術の具体的な活用シーンが現れます。
同社は2022年にサンノゼに事業開発拠点を開設し、以来、西海岸を中心に北米におけるネットワークならびに事業機会の創出を積極的に図っており、その成果の一つとして、2025年10月27日~10月29日に米国・サンフランシスコで開催された「TechCrunch Disrupt 2025」に、「QueryAhead®」を出展しました。
これは、2022年にJETRO(日本貿易振興機構)の支援プログラムを受け初出展して以来、翌2023年から毎年単独出展を重ね、本年で4回目の出展となる実績となります。
<自社のデータ分析をアウトソースしたい>
データ分析の需要の高まりに伴い、自社のデータの分析をアウトソースする機会も増えました。しかし、機密性の高いデータを分析する現場では、データの外部持ち出し禁止といったセキュリティ制約を課されることが多くあります。作業場所を選ばず、スケーラビリティがあるクラウドサービスを利用できれば、大幅な時間とコストの削減を期待できますが、実際にはオンサイトでネットワーク接続も禁止される環境での作業を強いられることもあります。
秘密計算技術を活用すれば、外部のクラウド上にデータを配置したとしても、一切復号せずにデータの加工・分析ができます。その結果、外部でのデータ復元ポイントを排除することで、安全なデータの持ち出しとその利活用が可能となり、分析作業の効率化が期待できるのです。
QueryAhead®は、Pythonとデータ操作の一般知識があればすぐに使用可能です。秘密計算技術は暗号技術ですが、暗号に関する専門知識は不要。そこは全てQueryAhead®がバックエンドで秘密計算として実行します。
■ 経営陣の発信力強化とメディア露出の拡大
こうしたグローバル展開と並行して、ZenmuTechは経営陣の発信力強化にも注力しています。
2026年1月8日、代表取締役社長CEO・阿部泰久氏が、ラジオNIKKEI「櫻井英明が迫る、経営トップの素顔」にゲスト出演した。同番組では、ZenmuTechの技術的な強みや今後のビジョンが語られ、投資家やビジネスパートナーに向けた情報発信の重要な機会となりました。
このようなメディア露出の拡大は、同社の技術力と成長性を広く認知させる上で、重要な役割を果たしています。
国産秘密分散技術「ZENMU-AONT」で日本のサイバー防衛を牽引
2025年12月9日、日本のセキュリティ製品・サービスを開発・支える企業が連携する「日本サイバーセキュリティ産業振興コミュニティ(NCPC)」を設立し、官民連携の強化や知見・技術の共有を通じて、日本のサイバー防衛力および産業競争力の強化を目指しています。株式会社ZenmuTechも一般会員として参画しており、自社開発の国産技術である秘密分散「ZENMU-AONT」を軸に、国内のセキュリティ関連企業との協力を推進してまいります。
■ 数学的探求心が出発点
瀧本氏のキャリアの背景について尋ねたところ、常に数学的なバックグラウンドを活かせる場所で進化してきたようです。
数学や科学に興味を持ったきっかけには、技術者であった父親の影響や中学生時代の読書体験が深く関わっているといいます。
子どもの頃、家には自然科学や数学の解説書が多数置かれていた。はじめは「進化論」に関する書籍、そして徐々に興味の対象は物理や数学の方へ移っていきました。特に数学に面白さを感じたのは、その完結性と論理的な組み立てができる点だったと語りました。
大学で数学を専攻した後、新卒でデータサイエンスブームの黎明期にデータ分析コンサルティング会社に入社。その後、外資系金融機関に転職し、デリバティブ商品の数理モデル開発やリスク分析などの業務に携わっています。
■ 純粋な興味から「人の役に立つもの」へのターニングポイント
転機となったのは、より「技術的な仕事がしたい」という思いから転職を考えた時である。求人情報で「秘密計算」という珍しいワードに目が留まり、数学的知識が活かせると感じてZenmuTechに入社しました。
入社後、すぐに直面したのが、秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」の設計思想と、機械学習のニーズとのギャップです。
「当時のクエリアヘッドが前提としているプログラミングのスタイルと、機械学習で広く受け入れられて使いやすいと思われてるプログラミングのスタイルは違うものだった」と言います。
データベースへのSQLクエリをモデルとしていたQueryAhead®に対し、行列演算が主体の機械学習を実装する際の使いにくさを解消するため、瀧本氏は自らNumPyに似た独自フレームワークを構築・実装しました。
後にこの工夫が他のお客様から「欲しかったものだった」と高く評価されることになります。
この経験は、瀧本氏の仕事への動機を決定づけたと言います。学生時代は「純粋に楽しいからやっていた」数学が、この経験を通して「お客様の役に立つものを作りたい」という動機に変化したのです。
セキュリティ企業として研究開発をリードする存在に
瀧本氏が目指すのは、ZenmuTechがセキュリティ企業として、研究開発の領域でリードを確立することです。
「当社はセキュリティの製品を売ってるわけですが、製品の安全性を保証、担保する最終的な責任というのは、もちろん開発者である当社にあり、自社で安全だと言えなきゃいけないと思うんです」。
現在の先端技術開発は外部の研究機関に頼る部分が大きいが、真に自信を持って製品を世に出すには、自社で安全性を数学的に証明する能力が不可欠だと瀧本氏は考えています。
この能力を獲得するため、瀧本氏は会社の業務として、大学院の博士課程へ進学。セキュリティにとっても欠くことのできない最先端の量子情報理論を研究し、理論と実践の融合を図っています。
研究を通じて現代の「知の巨人」と繋がる
目標とする人物について尋ねたところ、理想とするのは、抽象的でありながら工学的にも美しい研究を成し遂げたイゴール・デベターク氏だと言います。そして、研究が人類の知識の発展につながるという点で、現代計算機の父であるジョン・フォン・ノイマンといった偉大な先人との繋がりにも意義を感じているようです。
また、趣味で取り組んでいたCTF(ハッキングコンテスト)の経験があり、攻撃者側の視点を持つことで、「もしかしてこういう穴があるんじゃないかと気づけたりする」と、製品の品質向上につなげています。
SAJへの期待は知の交流から生まれるイノベーション
SAJは、約700〜800社のIT企業が集まるソフトウェア業界の一大コミュニティ。瀧本氏は、SAJという場に他社の技術者や研究者との交流から、新しい開発やコラボレーションが生まれる可能性を感じています。
「もしかしたら他の企業の技術者とかとの交流とか、あるいはそれから新しい開発とかもあり得るのかなと」
瀧本氏が目指すのは、自社がセキュリティの基礎理論においても、その応用においても、最先端で活躍できる体制を築くことです。SAJという広範なコミュニティを通じて、知の交流を深め、異業種のエンジニアや研究者と連携することで、ZenmuTechの、そして日本社会のデータセキュリティの未来はさらに大きく拓かれることでしょう。
瀧本氏の新たな挑戦は、SAJの会員企業のみならずIT業界全体にとって、技術が社会に貢献する無限の可能性を示す、刺激的なモデルとなるに違いありません。
【プロフィール】
瀧本篤志(たきもとあつし)株式会社ZenmuTech 秘密計算エンジニア
2022年11月入社。大学で数学を専攻し、博士課程まで進みます。新卒でデータサイエンティスト、その後金融機関でクオンツとして数理モデル開発に従事したキャリアを持つ。現在は、同社の秘密計算プラットフォーム「QueryAhead®」の開発をリード。業務の一環として大学院の博士課程に在籍し、量子情報理論の研究を行っています。数学的な視点から、データを秘匿化したまま活用する次世代セキュリティ技術の開発を推進しています。
【一般社団法人ソフトウェア協会】
一般社団法人ソフトウェア協会(略称:SAJ)は、ソフトウェアに関わるあらゆる企業、団体、個人を繋ぎ、デジタル社会の実現を推進する業界団体で、800社以上にご加入いただき、創立40周年を迎えることができました。これからもソフトウェアの未来を創造し、国内外のデジタル化推進に貢献してまいります。
現在会員でない企業様も入会後、本インタビュー企画に応募することが可能です。
入会お問い合わせ・詳細は以下ページよりご連絡ください。
一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)事務局お問い合わせページ:https://www.saj.or.jp/contact/
※ご応募いただいた企業様の中から、本企画の趣旨に沿って選定させていただきます。応募多数の場合は、ご希望に添えない場合がございますので予めご了承ください。
【関連リンク】
インタビュー記事全文:https://www.saj.or.jp/40th_branding/heroes_zenmutech
本企画のインタビュー記事一覧: https://www.saj.or.jp/40th_brandin
SAJ 40周年記念サイト: https://40th.saj.or.jp/
一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ):https://www.saj.or.jp/
株式会社ZenmuTech様 公式サイト:https://zenmutech.com/
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