ノバルティスのinclisiran(Leqvio®)の新たな長期データにより、4年間にわたる持続的な有効性及び安全性を示す

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年11月7日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。
  • 非盲検試験であるORION-3の結果から、スタチン療法を補完するinclisiranを年2回*投与したところ、4年間にわたり低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)を確実かつ持続的に低下させることが示された1,2
  • 試験期間中のいずれかの時点でLDL-C値が70 mg/dL未満に達した患者は約80%であった2
  • これまでに実施されたinclisiranの臨床試験のうち、ORION-3の安全性フォローアップは最長であり、過去に実施した18カ月間の複数の第III相試験の結果1-4と安全性-ベネフィットプロファイルが一致することが示された
  • LDL-Cは、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の最も容易に介入可能なリスク因子の1つであるが5-8、スタチンが広く使用されているにもかかわらず、患者の5人に4人はガイドラインが推奨するLDL-C目標値に達していない9,10
2022年117日、スイス・バーゼル発 本日、ノバルティスは第II相非盲検継続投与試験であるORION-3の結果を発表しました。同試験では、ASCVD又はASCVDと同等のリスクのいずれかを有し、かつ、最大耐用量のスタチン療法を受けたにもかかわらずLDL-C高値の患者にinclisiranを投与した結果、4年間にわたりLDL-Cを効果的に低下させることが示されました1,2。Inclisiranは、LDL-Cを低下させる最初で唯一の低分子干渉RNA(siRNA)治療薬であり、年2回*投与されます。ORION-3の結果は2022年米国心臓協会学術集会(AHA22)で発表されました1,2。

「4年間の治療を受けた後の患者さんの結果から、inclisiranの忍容性は良好であり、同薬が患者さんのLDL-C低下を達成するのを助けると同時に、その低下を維持することが示されています」 と、インペリアル・カレッジ・ロンドンの公衆衛生・プライマリーケア科の公衆衛生学の教授であり、インペリアルカレッジNHSトラスト(Imperial College Healthcare NHS Trust ※病院や地域の医療サービスの運営母体の1つ)の名誉顧問心臓専門医でもあるコーシキ・レイ(Kausik Ray, M.D)は述べています。「依然として多くの患者さんがLDL-C目標値を達成するのに苦労しています。年2回の維持投与スケジュールによりLDL-Cの持続的な低下をもたらす治療法は、ASCVD治療における転機となるかもしれません。」

第II相試験であるORION-1の非盲検継続投与試験であるORION-3において、LDL-C値の低下は4年間の試験期間にわたり持続しました。すなわち、inclisiranによる治療を受けた患者では、4年間にわたる年2回の投与により、Day 210のLDL-Cのベースライン(ORION-1のDay 1)からの変化率は平均47.5%(95%信頼区間[Cl]: -50.69、-44.27)の低下、LDL-Cの4年間の期間平均変化率は44.2%の低下を達成しました1,2。

ロサンゼルスを拠点とする心臓専門医であり米国国立心臓研究所の所長でもあるノーマン・レポール(Norman Lepor, M.D.)は、 「ASCVD患者は米国の大規模な高リスク集団ですが、その大半はLDL-C目標値を達成していません。年2回の治療による持続的なベネフィットは、これらの患者さんのニーズを満たす上で大きな進歩です。」 と述べています。

ORION-3では、これまでのinclisiran試験の中で最長の安全性追跡調査データが得られています。4年間の治療後のinclisiranの忍容性は良好であり、安全性プロファイルは過去に実施した18カ月間の複数の第III相LDL-C低下試験1,4と一致していました。最も多く認められた治験薬と関連のある有害事象は一般・全身障害および投与部位反応であり、その大部分は軽度から中等度で、これは過去の複数の試験の結果1-4と一致していました。AHAで発表されたORION-3のデータに加え、 「Inclisiran and cardiovascular events: a patient-level analysis of Phase III trials」 と題した複数の第III相ORION試験の探索的な安全性併合解析結果が11月4日にEuropean Heart Journalに発表され、inclisiran の安全性に関するエビデンスに加わりました11。

ノバルティスの循環器・腎・代謝領域開発部門統括責任者であるデビッド・スーゲル(David Soergel, M.D.)は、 「ORION-3試験の結果は、inclisiranは患者さんのLDL-Cを低下させるのに一貫して役立ち、安全性プロファイルも忍容性も優れていることを示しています。年2回の維持投与をすればよいことから、inclisiranは、他のコレステロール低下薬の服用にもかかわらず推奨されているLDL-C目標値に達していないASCVD患者さんの重要な選択肢となるでしょう。」と述べています。
最新のエビデンスは、LDL-C高値がASCVDの最も容易に修飾可能なリスク因子であることを示唆しています5-8。
*初回投与後、3カ月後に1回投与します。

Inclisiran(Leqvio) について
Inclisiranは、LDL-Cを低下させることを目的として、食事療法及び最大耐用量のスタチン療法を補完する、原発性脂質異常症(家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体を含む)の治療薬として承認されています。ただし、適応症は国によって異なる場合があります。Inclisiranは、初回投与、初回投与3カ月後、それ以降は6カ月ごとに医療提供者によって投与される皮下注射です。この方法は、投与頻度が高い自己投与薬を続けることが困難な患者の助けとなると考えられます3,4。 Inclisiranは、米国及びEUを含む世界60カ国以上で承認されています。
ノバルティスは、RNAi治療薬のリーディングカンパニーであるAlnylam Pharmaceuticals社とのライセンス・提携契約の下で、inclisiranの開発、製造及び商品化の世界的な権利を取得しています。

ORION-3試験について
ORION-3(NCT03060577)試験は、ASCVDまたはASCVDと同等のリスクを有し、最大耐用量の脂質低下療法にもかかわらずLDL-C値が高い患者233例(約1,210患者/年)を対象に、inclisiranの長期安全性及び有効性を評価した非盲検、非ランダム化、第II相であるORION-1試験の継続投与です1,2,12。 本試験の主要評価項目は、ORION-3のDay 210までのベースライン(ORION-1のDay 1)からのLDL-Cの変化率でした。LDL-C値はDay 1,440(4年後)まで評価されました。この試験では、患者はインクリシランナトリウム300 mgの年2回投与を受けました1,2。

VictORIONについて
ノバルティスは、患者さんがより長く健康に生きられるようにASCVDが存在しない世界を思い描いています。 ORION-3は、inclisiranの革新的かつ頑健な臨床プログラムであるVictORIONの一部であり、VictORION は27本の試験から構成され、世界50カ国以上で47,000例が登録されています。本プログラムは、多様な患者集団におけるinclisiranによるLDL-C低下のエビデンスを拡大するようデザインされており、実装研究、リアルワールドエビデンス、心血管アウトカムに対するベネフィットを確立する試験が含まれています。ORION-4、V(VictORION)-2-PREVENT、V-INITIATE、V-INCEPTION、V-REAL、V-DIFFERENCE、V-PLAQUEなど、大規模試験による広範囲のデータを得るために、さらに多くの試験が計画されています。VictORIONプログラムは、心血管疾患による早期死亡を防ぎ、心血管疾患の罹患率及び死亡率の減少を導く当社のコミットメントを強化するものです。

動脈硬化性心血管疾患(ASCVD:Atherosclerotic cardiovascular disease)について
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)は、時間の経過に伴い脂質(主に動脈内壁の低比重リポ蛋白コレステロール[LDL-C])が蓄積することに関連します。動脈硬化性プラークの予期せぬ破裂は、心臓発作や脳卒中などの動脈硬化性心血管イベントを引き起こす可能性があります5。心臓発作や脳卒中などのASCVDに起因するイベントは、全心血管疾患死の85%以上を占めています13。ASCVDは欧州連合(EU)における主要な死因であり、米国ではASCVDによる負担は他の慢性疾患に比べて大きなものとなっています14,15。ASCVDと同等のリスクとは、ASCVDイベントと同様のリスクをもたらす疾患(例:糖尿病、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体など)を指します3,16。

心血管領域におけるノバルティスについて
心血管(CV)疾患は、世界的な健康危機です13,17。
また、CV疾患は全世界で死因の第1位です13,17。CV疾患による死亡者数は、すべてのがんによる死亡者を合わせた数よりも多く、世界で3人に1人がCV疾患により死亡しています13,17。すべての心血管イベントのうち、80%は予防可能です18。患者さんやその家族の暮らしをより良いものに、私たちの社会もより良いものにすべきです。
ノバルティスは、これまで受け継がれてきた歴史、世界的な生産拠点、そして最先端の科学を統合することで、この状況を変えられる独自の立場にあります。ノバルティスでは、生涯を通してCV疾患を管理する方法についての考え方に変革をもたらそうとしています。早期介入の導入、CV疾患の予防から管理まで対処する先駆的な治療薬の開発、革新的な医療アクセスモデルの作成などに取り組んでいます。ノバルティスは、社会との協働の方法を変えていくことで、健康アウトカムを改善し、CV死の危機を脱するための世界的な取り組みを主導します。
ノバルティスは、CV疾患による早期死亡を減らし、阻止することにより、人々の寿命曲線を改善することを目指しています。 

免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上

参考文献 :別紙参照
 

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会社概要

URL
https://www.novartis.co.jp
業種
製造業
本社所在地
東京都港区虎ノ門1丁目23番1号 虎ノ門ヒルズ森タワー
電話番号
03-6899-8000
代表者名
ジョンポール・プリシーノ
上場
未上場
資本金
60億円
設立
1997年04月