韓国・延世大学校医療院に納入した重粒子線治療装置における治療開始について
~当社製装置では初の海外での治療~
当社が大韓民国(以下、韓国)の大手医療企業DKメディカルソリューションとコンソーシアムを組み、延世大学校医療院(Yonsei University Health System、以下、延世大学)に納入した重粒子線治療(注1)装置による治療が、本日開始されました。当社が納入した装置では初の海外における治療開始となります。
今回納入した装置は、固定ポート式の治療室が1室と回転ガントリー式(注2)の治療室が2室で構成される重粒子線治療装置で、本日、固定ポート式治療室での治療が開始されました。回転ガントリー式治療室は2023年後半に治療の開始が予定されています。
本装置は、国立大学法人山形大学に納入したモデルと同様に、省エネルギー、省スペース・小型化、イージーオペレーション(運転・管理の容易化)、廃棄物低減(注3)等の特長を有しています。また、当社の最新技術を駆使することで、高速スキャニング照射や呼吸同期照射も実現しております。2021年から据付を開始し、韓国食品医薬品安全処(注4)の許認可を取得し、本日の治療開始を迎えました。延世大学は、韓国で初の重粒子線治療を開始します。
当社は、重粒子線治療装置を国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構とともに開発し、2016年に同研究所新治療研究棟に世界で初めて超伝導電磁石を採用することで小型化・軽量化に成功した重粒子線回転ガントリーを納入しました。
海外においてもこれまでの実績や技術力が評価され、延世大学に加え、韓国のソウル大学病院からも同装置を受注しており、ニーズの高い米国や中国などでも積極的な受注活動を進めています。
今後も重粒子線治療装置の普及を目指して、国内外で積極的な受注活動を展開し、質の高いがん治療の実現に貢献してまいります。
(注1):炭素イオンを光の速さの約70%まで加速して炭素イオン線(=重粒子線)とし、がん腫瘍に対して体の外から照射する外部放射線治療の一種。重粒子線は体内で広がりにくく、がん腫瘍にピンポイントで集中させることができるため、周囲の正常な細胞を傷つけにくい。加えて他の放射線に比べて「がん細胞の遺伝子」を破壊する能力が高いという特長がある。患者の身体的負担が少なく早期の社会復帰を可能とする治療方法と言われている。
(注2):照射角度を360度自由に設定できるため、患者は楽な姿勢のままで最適な角度から”がん腫瘍”を狙える。また、重粒子線の低散乱特性とスキャニング照射技術と組み合わせることにより中枢神経や保護臓器を避けて、がん腫瘍への線量集中性をさらに高めることが可能。
(注3):従来方式で必要とされていた補償フィルターや患者コリメータを必要としないため、治療期間の短縮と放射化廃棄物の低減を両立できる。
(注4):食品医薬品安全処(Ministry of Food and Drug Safety、MFDS)は、安全な食品及び医薬品体系の構築・運営を通じて、関連産業の競争力向上という国民の期待に応じるために設立された、韓国の国家行政機関です。
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※東芝エネルギーシステムズの重粒子線治療装置の取り組みについてはこちらをご覧ください。
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