ポストコロナ、値上げ、猛暑影響「2023年、売れたものランキング」

1位・強心剤、2位・口紅復活も、マスクは減少。インバウンド、行動変容など要因は?

株式会社インテージ

株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)は、全国約6,000店舗より収集している小売店販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)をもとに、日用消費財の中で何がより売れたかを、推定販売金額の伸びから振り返る「2023年、売れたものランキング」を発表しました。(データは10月分まで使用)

[ポイント]

◆ 1位・強心剤、4位・ビタミンB1剤とインバウンド系復活。2位・口紅、7位・ほほべにと化粧品も復調

◆ 3位・検査薬はコロナ抗原検査キットの伸び中心。行動変容で5位・総合感冒薬などコロナ前上回る

◆ 猛暑の押し上げで好調商品も。9位・日焼け・日焼け止め、22位・ミネラルウォーター類など飲料系

◆ 値上げも影響。23位・キャットフード、26位・育児用ミルクなどの他に、紙製品なども2ケタ増

◆ 販売苦戦ランキングは1位・体温計、2位・殺菌消毒剤。マスクは3位で夏場以降は前年比6割台


図表1


1位・強心剤は前年1.8倍、2位・口紅は1.6倍。コロナで苦戦した商品が復調
今年5月に新型コロナが5類に移行され、人々の行動は更に活発になってきました。その中で1位となったのは強心剤(図表1)。動悸、息切れ、気付けなどへの効用をうたう医薬品が、前年比183%でトップとなりました。コロナ禍の時期には販売苦戦ランキングの上位にも入っていた商品ですが、外国人旅行客の増加とともに売り上げが急回復しています。同じく訪日客に人気のビタミンB1剤も4位(148%)、インバウンドに加えて国内需要も強かった13位・ビタミンC剤(132%)、14位・整腸薬(131%)などもランクインしました。

2位に入ったのは口紅(164%)。外出減に加えマスクで隠れる部分の化粧品ということもあり、2021年にはコロナ前の約3分の1まで販売金額が激減していましたが、2019年と比べても8割超まで復活。マスクがかかるほほべにも7位(139%)となるなど、力強さが見えてきました。口紅同様に唇に塗るものでは11位・リップクリーム(135%)でランクイン。脱マスクの流れを感じさせる結果となっています。

感染症関連の市販薬は大幅増。抗原検査キットには10月から新たな動きが
人々が行動的になり、マスクの着用率も下がる中、増えてきたのが感染症でした。夏場にコロナ患者が増加したこともあり、3位に入ったのが検査薬※1(159%)です。その主因はコロナ用の抗原検査キット※1で、唾液で判定できるタイプが人気になっていますが、10月に入り販売金額が前年割れするなど、脱コロナのような動きも見えてきました(図表2)。
一方で風邪やインフルエンザなども広がりを見せる中、市販薬は好調でした。5位・総合感冒薬(143%)、6位・鎮咳去痰剤(139%)、10位・口腔用薬(137%)などは、今年に入ってから前年を大きく上回り、コロナ前も上回っています。
※1:検査薬に含まれる「コロナ用の抗原検査キット」は、医療用・一般用(OTC)で、弊社で判明できた製品のみ(研究用の抗原検査キットは除く)

図表2


猛暑と値上げ。今年の日本列島を騒がせた2大要素で売れたものは?

図表3


今年、話題になったこととして挙げられるのが猛暑と物価高でした。この2つの影響がどのように出ているか、ランキングを30位まで広げて見てみましょう(図表3)。
まずは猛暑。統計史上最も暑い夏になったなどと報道されていましたが、大きく数字を伸ばしたのが9位の日焼け・日焼け止め(138%)でした。特に高温が続いた7月以降は、強い日差しや例年以上に汗をかくことで外出先での利用もあったのか売り上げも伸び、特にミストタイプのものなどが人気でした。18位・果汁飲料(123%)、21位・美容・健康ドリンク(121%)、22位・ミネラルウォーター類(119%)などの飲料も大幅増。熱中症対策の需要が高まる中、ビタミンや食物繊維を豊富に含むといった健康に訴求するものなどが伸びました。
そして値上げ。広範な商品に影響を及ぼしますが、今回のランキングでは価格が高騰しても販売数量が底堅かったものが入っています。23位・キャットフード(117%)の他に26位・育児用ミルク(115%)、そして今年初めからジワリと値上がりしてきた紙関係から、29位・ティッシュペーパー(114%)、30位・大人紙おむつ(114%)も入ってきました。

毎年目まぐるしく変化したコロナ禍の売れ筋。どのような変遷が?
コロナ禍以降、前年比較で見ると、毎年のように売れたものの傾向は大きく変わりました。それでは、その変遷を見てみましょう。コロナ1年目の2020年は「1位・マスク、2位・殺菌消毒剤、3位・体温計」とコロナ時代の3種の神器ともいえる衛生系商品が爆発的に数字を伸ばしました。日本中の店頭からマスクが蒸発したかのようになくなったことは、多くの方が記憶しているかと思います。これが2021年になると長引く外出規制と巣ごもり需要などもあり「1位・オートミール、2位・麦芽飲料、3位・玩具メーカー菓子」と健康に訴求した食品や、お家時間を充実させる商品などが上位に来ました。そして昨年は「1位・検査薬、2位・オートミール、3位・鎮暈剤(酔い止め)」と、コロナ対策から旅行に使う乗り物酔い止めまでWithコロナとも言うべき多様な商品が入ってきています。さらに今年はインバウンドの影響なども入り、更に多様な印象となっています。

図表4


販売苦戦は1位・体温計、2位・殺菌消毒剤、3位・マスクなど衛生系用品が上位
最後に、今年販売苦戦したランキングも見てみましょう(図表5)。1位・体温計(61%)、2位・殺菌消毒剤(72%)、3位・マスク(75%)、7位・うがい薬(87%)など、コロナ禍に大きく伸長した衛生用品が上位に入りました。特にマスクは猛暑で気温が跳ね上がった夏場以降は6割台まで低下。街中でもマスクをしている人は少なく、大きな変化が感じられました。それでも上記の商品はコロナ前の販売金額を大きく上回っています。

図表5


同じくコロナの時期に大きく売り上げを伸ばした、5位・麦芽飲料(82%)と6位・オートミール(83%)も数字を落としていました。ただ2019年に比べると麦芽飲料は187%、オートミールは驚異の1,067%となっていて、人々の生活に定着している様子がうかがえます。
コロナ禍で話題になった巣ごもり需要関連も不調となっています。8位・家庭用手袋(90%)、9位・住居用ワックス(90%)などは、外出が増えた生活者の行動変化が影響しました。
また長期的に減少が続いている12位・洗濯のり、15位・海藻サラダなども入ってきています。

コロナ、猛暑、値上げなどの国内要因に加え、海外での戦争など、人々の生活や行動に大きな変化を与える事象が続いています。その結果、どのような影響が出ているかを広く多くの人に知らせるためにも、インテージでは今後も「売れたものランキング」を発表していく予定です。

「2023年、上半期売れたものランキング」をあわせてご参照ください。
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2023/20230627.html
「2022年、売れたものランキング」もあわせてご参照ください。
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2022/20221207.html

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使用したデータ/関連プラットフォーム
【SRI+®(全国小売店パネル調査)】 https://www.intage.co.jp/service/platform/sriplus/
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2023年12月現在
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株式会社インテージは1960年に創業。世界9か国に拠点を持ちマーケティングリサーチ/インサイト事業でアジアNo.1*のインテージグループを牽引し、国内外の企業・団体のマーケティング活動をトータルサポートしています。
「生活者理解の深化」と「データ活用の高度化」により顧客ビジネスの未来創造を支え、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」という事業ビジョンの実現を目指しています。
*​​​​​​​「ESOMAR's Global Top-50 Insights Companies 2023」に基づく(グループ連結売上高ベース)

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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区神田練塀町3番地 インテージ秋葉原ビル
電話番号
03-5294-0111
代表者名
檜垣 歩
上場
未上場
資本金
4億5000万円
設立
2013年04月