森トラストグループ 2023年3月期業績報告
[森トラストグループ 連結業績] (2022年4月1日~2023年3月31日)
2023年3月期は、営業収益2,666億円(前期比:3.0%増)、営業利益655億円(前期比:4.3%増)となりました。米国における複数の不動産取得のほか、新型コロナウイルスによる水際対策が緩和されたことを受け、ホテル関係収益の増加が寄与し、営業収益、営業利益ともに増収増益となりました。なお、賃貸関係収益・ホテル関係収益ともに過去最高となります。
経常利益は693億円(前期比:0.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は530億円(前期比:31.4%増)と、増益となりました。
2024年3月期の予測では、賃貸関係収益とホテル関係収益ともに2期連続の増収のため、営業収益全体でも2,720億円(前期比:2.0%増)と増収を見込んでおります。また、営業利益は550億円(前期比:16.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は380億円(前期比:28.3%減)と、分譲計画を縮小させたこと等により、減益となる見込みです。
<営業収益内訳>
<総資産および純資産>
(金額の単位は百万円、表記は百万円未満切り捨て)
2023年3月期の業績ハイライト
「賃貸関係事業」は、2021年7月に売却した米国シリコンバレーエリアの不動産「HQ @ First」の賃貸収益剥落の影響があったものの、米国バージニア州北部、および、ワシントンD.C.に所在するオフィスビルの取得による賃貸収益増加により、前期比4.6%増の過去最高となる853億円の営業収益となりました。
「ホテル関係事業」は、2020年より日本国内で続く新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたものの、2022年9月まで断続的に続いた緊急事態宣言等の感染防止対策が終了し、同年10月より水際対策措置の緩和により、シティホテルを中心に稼働率が回復しました。これにより、前期比51.5%増の過去最高となる445億円の営業収益となりました。
「不動産販売事業」は、エスリード株式会社によるマンション分譲が好調だったものの、前期販売していた都心の高級分譲マンション「ザ・レジデンス六本木」「フォレセーヌ渋谷富ヶ谷」の販売収益の剥落により、前期比6.6%減となる1,180億円の営業収益を計上し、「その他事業」はテナント入居工事等の請負工事受注減により、前期比13.1%減となる186億円の営業収益となりました。
上記の結果、営業収益は2,666億円、営業利益は655億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は530億円となりました。また、中長期ビジョン「Advance2027」で定めた、営業収益2,300億円、営業利益550億円という最終年度の数値目標を、2020年3月期、2021年3月期、2022年3月期に続き4期連続で達成いたしました。
2024年3月期の業績予測
「賃貸関係事業」は、2022年に取得した米国不動産2物件による賃貸収益の通期寄与や、既存オフィスビルの稼働率上昇により、増収となる900億円の営業収益を見込んでいます。
「ホテル関係事業」は、2023年5月より新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行の影響を受け、国内観光客・訪日外国人観光客による観光需要の回復がさらに進むことで、既存ホテルの稼働率の大幅改善が見込まれるほか、東京銀座・奈良の2ホテル開業により3期連続増収、かつ、2期連続過去最高となる600億円の営業収益を見込んでいます。
「不動産販売事業」は住宅分譲事業中心に1,020億円を、「その他事業」は200億円の営業収益をそれぞれ見込んでいます。
上記の結果、2024年3月期の業績は、営業収益は2,720億円、営業利益は550億円、親会社株主に帰属する当期純利益は380億円となる見込みです。
※本資料に記載の業績予測は、本資料の発表日現在において入手可能な情報から得られた判断に基づいています。実際の業績は、今後の様々な要因によって異なる結果となる可能性があります。
森トラストグループの財務状況の推移
自己資本および自己資本比率の推移
2023年3月期においては、自己資本5,284億円、自己資本比率42.1%となりました。(単位:百万円)
賃貸関係事業およびホテル関係事業の推移
2023年3月期において、ホテル関係収益が2020年3月期の収益を上回り、賃貸関係収益とともに過去最高となりました。(単位:百万円)
事業トピック
不動産事業
東京都心部のプロジェクト「東京ワールドゲート赤坂」では、2024年の竣工に向けて開発を進めています。そして、中長期ビジョン「Advance2027」で掲げた重点戦略である海外投資では、米国ワシントンD.C.において不動産取得したことにより投資目標の2,000億円を達成しています。加えて進行期である2024年3月期においてはマサチューセッツ州ボストン市において、森トラストとして初めて海外不動産開発事業に参画しました。また、当社は東京ワールドゲート 神谷町トラストタワーに24年ぶりとなる本社移転を実施しました。
<東京ワールドゲート赤坂 / 赤坂トラストタワー>
街区コンセプト「Next Destination ~もう一度、街で会おう~」のもと、ニューノーマルのその先の未来で多様な人々が再び出会い、交流するための目的地となる街の実現を目指し開発を推進しています。
<米国ワシントンD.C.における不動産取得>
米国子会社の森アメリカ社(MORI America LLC)を通じ、米国ワシントンD.C.に所在するオフィスビルを2022年8月に取得しました。
本物件は、2002 年以降官民一体で再開発された「Mount Vernon Triangle」と呼ばれる区画に位置しており、全米有数の不動産会社によって開発されたオフィスビルです。国際的な建築物の環境性能評価指標「LEED」のゴールド認証を取得しており、環境性能にも優れています。
<米国マサチューセッツ州ボストン市における開発参画>
森アメリカ社(MORI America LLC)を通じて、米国ボストンに所在するラボ&オフィスの開発事業に参画、2023年11月に竣工を目指しています。
本物件は世界的なパンデミックの経験や先端治療薬科学の急速な発展に伴い、ライフサイエンス分野への関心と研究施設への需要の高まりに対応する、ラボ&オフィスです。 本物件が所在するボストン市シーポート地区は市が主導するイノベーション地区に指定され、今後も成長が見込まれるエリアです。
<森トラスト 新オフィス(東京ワールドゲート/神谷町トラストタワー)>
森トラストは新本社にて、私たちのオフィス事業のビジョンである「DESTINATION OFFICE」によって社員のエンゲージメントを高めるとともに、可変性のあるオフィスという考えを足し合わせ、目的地であり続ける新たなオフィスを実現しました。
ホテル&リゾート事業
森トラストグループの中核事業であるホテル&リゾート事業では、2023年3月時点で日本全国に28のホテル施設を展開しているほか、東京都心部で2件、地方で15件の新規ホテル計画を推進しています。「ラグジュアリー・デスティネーション・ネットワーク」構想※のもと、インバウンド需要の受け皿拡大や旅行者一人当たりの消費単価向上を見据えた取り組みを推進していくなど、国内外の旅行者に日本各地の魅力ある観光資源を活かした快適な滞在を提供しています。
既存ホテルと新規ホテルプロジェクト一覧
※「ラグジュアリー・デスティネーション・ネットワーク」構想:森トラストでは、訪日外国人数を増やすことに加え、消費額単価を増加させるほか、個々の観光地のみならず、広域で連携させることで回遊に繋げ、歴史や文化、自然といった観光資源をもつ地域を世界にアピールしていくことが必要だと考えています。その受け皿として、日本各地で「インターナショナルホテル」の整備・拡充を行っていく構想を「ラグジュアリー・デスティネーション・ネットワーク」と冠し、推進しています。
【参考】 今後開業予定のホテル
<東京エディション銀座>
周辺の世界的ハイブランドの顧客層との親和性が高く、トレンドセッターや富裕層をはじめとした世界の旅行者を呼び込み、銀座エリアの持続的な発展に貢献することを目指しています。
<紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良>
奈良県の官民連携事業「吉城園周辺地区保存管理・活用事業」において推進中のプロジェクトです。ラグジュアリーホテルブランド「翠 SUI」並びに「ラグジュアリーコレクション」を冠した国内3軒目のダブルブランドホテルとして2023年8月29日(火)に開業を予定しています。
<万平ホテル 大規模改修・改築事業>
2024年に創業130周年を迎える万平ホテルの大規模改修・改築事業です。本事業では、日本ホテル史上における貴重な歴史的建造物としての伝統を守り、長く未来にわたりクラシックホテルとしての格式ある滞在をお届けすることを目指してまいります。
<長崎南山手計画>
本物件は、長崎の中でも異国情緒溢れる南山手地区の南端で、 近隣の重要文化財「旧グラバー住宅」、国宝「大浦天主堂」などが至近の文化・観光の集積地です。長崎市内でも希少な赤レンガ造りの外観を保存・復原・活用しながら、インターナショナルホテルの開業を目指し、計画を推進中です。
新領域事業
既存事業の枠組みにとらわれない発想で新たな価値の創出を目指す中で、新領域の事業に取り組んでいます。
昨年は東京ワールドゲート内にある産業育成施設「TOKYO WORLD GATE CoCo Lounge」にて、日本各地のものづくり産業の発信・育成のサポートを行う事業「CoCo JAPAN」を本格始動させました。
また、ワークスペースの様々な課題への解決策としてSaaS事業を開始し、ワークスペース管理ツール「WORK AGILE」を開発しました。今後も変化し続ける、企業のあらゆる働き方への課題解決に取り組んでまいります。
<CoCo JAPAN 本格始動>
森トラストがこれまでに培った知見や、自治体、地元企業とのネットワークを活かして、日本のものづくり産業の育成をサポートすることで地方創生に一層寄与するべく、産業支援プロジェクト「CoCo JAPAN」を推進しています。
当プロジェクトは「発掘」「育成」「交流促進」「発信」の4つの産業支援機能を通じて、各地の自治体や事業者に対して、日本各地の逸品を国内外へPRするための支援を実施します。
<WORK AGILE開発・販売開始>
ハイブリッドワーク時代における、ワーカーとスペースのパフォーマンスの最大化を目的としたワークスペース管理ツール「WORK AGILE」を開発しました。
座席予約機能や社員の居場所の把握機能を備え、リアルな場所でのコミュニケーションを誘発するオフィス環境づくりをサポートします。また、座席の利用状況などのオフィス空間に関するデータの収集・分析機能も兼ね備えています。
サスティナビリティ活動報告
森トラスト サステナビリティ推進ビジョン
私たちはコーポレートスローガン「Create the Future」のもとわくわくするような未来の創造を目指しています。
かつて私たちのミッションがビルづくりからまちづくりへ変わったように新しい社会を作ることで、私たちもまた社会と共に変わります。
2023年3月期における取組実績(抜粋)
<安心・安全なまちづくりとコミュニティ活性化>
〇地域に開かれたラウンジ空間の提供
TOKYO WORLD GATE CoCo Loungeの利用実績:125,030人
〇エリアマネジメント活動による地域のコミュニティ形成
神谷町・御殿山・丸の内エリアにおけるイベント実績:15回
〇災害訓練の実施による安全への備え
災害訓練の実施件数:4件
<サステナブルな環境・社会の実現>
〇賃貸ビルへの再生可能エネルギー電力の導入
丸の内トラストタワーや神谷町トラストタワーなど、計8棟への賃貸ビルに導入:進捗率44.5%(2025年度までの賃貸ビルへの導入率目標:100%)
〇サステナブルな環境の実現に繋がるスタートアップ・ファンドへの投資や連携
投資件数:2件(株式会社パワーエックス、株式会社Luup)
〇賃貸ビルにおける環境認証取得
取得件数:3軒(10 St. James:LEEDゴールド、75 Arlington:LEED(申請中)、601Massachusetts Avenue:LEEDゴールド)
<東京ワールドゲート“葺城の森”が「第42回 緑の都市賞 都市緑化機構会長賞」を受賞>
東京ワールドゲートの外構には約5,500 ㎡の緑地空間「葺城の森」を整備しており、古くから敷地内に位置していた大クスノキの移植保全や、雨水循環利用によるビオトープの整備といった生物多様性の維持に取り組んでいます。
また、緑豊かな広場や園路にはテラスやベンチを設置するなど、自然の中で誰もが安全で快適に過ごせる環境を整えており、住まう人、訪れる人、働く人の往来とにぎわいを創出しています。
<ホテルアメニティのプラスチック使用量を約15トン削減>
森トラスト・ホテルズ&リゾーツは、運営18ホテルで使われているホテルアメニティに含有する年間16トンプラスチックを、2024年度を目途に15トン削減する取り組みを行っています。
① 木製や竹製、減プラスチック製品などに変更。
② アメニティをご持参いただく取り組みを実施。
③ 一部ホテルアメニティの無料設置を廃止。
<新たなワーク・ライフスタイルの提案>
〇職場環境に関する認証の取得
健康優良法人を4年連続で取得、プラチナくるみん取得
<新時代の創造と産業育成>
〇文化・産業発信に寄与する展示・販売
TOKYO WORLD GATE CoCo Loungeにおける展示・販売活動実績:常設展示36週、企画展示10週
〇DXアナリストの育成
育成人数:27名
<ウェルネス・健康促進>
〇ウェルネス領域における事業の推進
健康や環境に配慮したランチボックスの開発・販売
自社農園のハーブティー販売
Pure wellness roomの導入:20施設
〇育児休業取得率
取得率:合算71.4%、女性100.0%、男性55.6%(2025年度までの目標:100%)
ダイバーシティへの取り組み
〇生活コンシェルジュによる外国人居住者サポート
TOKYO WORLD GATE CoCo Loungeにおけるコンシェルジュ対応:1099件
〇女性従業員比率の向上
森トラスト株式会社における女性従業員比率:27.1%(2025年度までの目標:25%)
〇多様性を意識した採用活動の実施
新卒採用における留学生枠・イノベーション採用枠を用意、キャリア採用においてカムバック採用・リファラル採用を用意
<コンプライアンス・ガバナンスの継続的向上>
〇森トラストグループとしての法務機能強化
グループ法務ミーティングの開催:4回
〇情報漏洩に対する管理意識向上
危機管理対応シミュレーションを実施
森トラストグループ 賃貸・運営施設
<賃貸・運営施設(2023年3月31日時点)>
○ ビル・住宅・商業施設:66棟
○ ホテル・リゾート施設:31ヶ所(客室数:約4,500室)
森トラストグループ 主な連結対象会社
森トラストグループ 持分法適用会社
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