「物流不動産」と「自己託送制度」を活用した自社でできるカーボンニュートラルの仕組みが日本不動産学会「国土交通大臣賞」を受賞
「国土交通大臣賞」は、学際的な学術研究分野である不動産学の観点から見て優れたもので、かつ、特に不動産政策の発展に寄与する優れた業績を表彰するものです。なお、昨年も当社は、“豊島区池袋エリアにおける2つの再開発事業(「としまエコミューゼタウン」および「Hareza(ハレザ)池袋」)を通じた社会課題解決に繋がるまちづくり”において、「日本不動産学会長賞」を受賞しています。
当社は、当社で開発する物流不動産「T-LOGI」の屋根に太陽光パネルを設置し、太陽光(再生可能エネルギー)にて発電した電力(以下「再エネ電力」)を創出しています。当該物流不動産での消費量を上回る再エネ電力を余剰電力として意識的に創りだし、2022年1月より、その余剰電力を他の当社保有施設に自己託送する取り組みを行っています。現在は、群馬県伊勢崎市所在の商業施設「スマーク伊勢崎」に融通しており、今後この仕組みを活用し、郊外の物流不動産で創出した余剰電力を都心のビルなどにも直接融通する予定です。これにより、燃料調達などを外部に頼らないエネルギーの確保とエネルギーコストの安定、都心部のカーボンニュートラル化に繋げていく予定です。
都心部は、様々な施設が高度に集積しており、エネルギー需要が大きい反面、日影の相互干渉を生じやすく、再エネ電力を創出する空間は限られています。また、現在、再エネ電力を都心部に融通する仕組みは、実質的に再エネとみなされる電気※2を使用することが主流となっています。このような状況下、当社は複数の物流不動産で創出した余剰電力を他の保有施設に直接融通する自己託送事業モデルを、不動産業界でいち早く取り入れました。再エネ電力を創出するための追加的な開発を伴わず、既定の事業資源を最大限に活用した仕組みです。
当社はこれからもこの仕組みを活用し、都心部のカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。
※1 自家用発電設備を設置する者が、発電した電気を一般送配電事業者が維持し、及び運用する送配電ネットワー
クを介して、別の場所にある施設等に送電すること
※2 電力会社が通常販売する電気(火力、FIT(固定価格買取制度)電気、再エネ、卸電力取引所、水力等で構
成)に非化石証書(再エネ指定)を使用する電力メニュー
【受賞理由要旨】
下記の高い評価により、今回の受賞となっています。
・本取り組みが、デベロッパーが開発した多くのアセット間において、余剰電力の融通につき群管理を行うこと
で、カーボンニュートラルを実現しようとするパイロットプロジェクトであること。
・一次エネルギー平均削減率について『ZEB』※3基準以上の物流不動産を開発し、そこで創出した余剰電力を、
「自己託送制度」の活用により、保有他物件へ直接融通する仕組みを構築していること。
・デべロッパー自らの取り組みとしてカーボンニュートラルを実現しようとする姿勢、それを可能とするパイロッ
トプロジェクトとしての先進性。
併せて、本取り組みが進展することで、再エネ電力の供給余地が限られる都心の不動産アセットのカーボンニュートラル化などが期待できることも高い評価を受けています。
※3 ZEB(Net Zero Energy Building)とは、先進的な技術の採用による大幅な省エネ化、再エネ
を導入することにより、エネルギーの自立度を極力高めた建築物。『ZEB』は年間の一次エネルギー消費量
の収支が正味ゼロまたはマイナスの建築物
【本仕組みのポイント】
① 物流不動産「T-LOGI」の特性を最大限に活用し、『ZEB』基準以上の「T-LOGI」を 開発
物流不動産の特性(屋根面積が広い、採光条件が良い、相対的にエネルギー消費が少ない、など)を活 かし、屋根に太陽光パネルを設置。当該物流不動産での消費量を上回る再エネ電力を余剰電力として創出するなど、一次エネルギー平均削減率が138%(2023年3月時点の竣工済み8施設の平均値)となる『ZEB』基準以上の物流不動産を開発。竣工後1年経過の3施設(久喜、習志野、横浜青葉)では、合計で年間約2,400メガWhを発電。
② 自己託送制度を活用して、余剰電力を当社保有の他物件へ直接融通
物流不動産で創出した余剰電力につき、「自己託送制度」を活用して当社保有の他物件へ直接融通する仕組みを構築。竣工済物流8施設における総発電量約3,820メガWh/年の約58%にあたる余剰電力2,210メガWhを、当社保有の他物件へ直接融通。なお、この仕組みは不動産会社における国内初の取り組み。
③ 独自の「バランシング・グループ」を組成、遠隔立地・異用途の複数施設を群管理
余剰電力の直接融通にあたっては、東京建物独自の「バランシング・グループ」を組成し、遠隔立地・異用途の複数施設を群管理。2023年度内には、「八重洲・日本橋・京橋エリア」(YNK※4エリア)の都心ビル群への融通を予定。計画中を含めた18の物流不動産「T-LOGI」全体で約16,500メガWh/年の再エネ電力を創出。うち、約9,500メガWh/年の余剰電力を自己託送により当社保有の他物件へ直接融通する予定。
※4 八重洲、日本橋、京橋の各英語表記の頭文字を取って、YNKと呼ばれています
【当社のSDGsへの貢献】
当社グループは2020年に長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立させることを目指しています。2021年には「CO2 排出量を2030 年度までに40%削減(2019 年度比)し、2050 年度までにネットゼロを実現する」という温室効果ガス排出量削減に関する中長期目標を策定しています。中長期目標に沿って脱炭素社会実現に向けた取り組みを積極的に推進するなか、ビル事業における保有不動産の消費電力再エネ化達成目標を20年前倒し、2030年度までに100%再生可能エネルギー化を目指すなど、カーボンニュートラル実現に向けた様々な施策に取り組んでいます。
<具体的な取り組み例>
・ビル事業における保有不動産の消費電力再エネ化達成目標を 20 年前倒し
2030 年度までに 100%再生可能エネルギー化へ
~ZEB・ZEH 開発、グリーンビルディング認証取得の取り組みも加速~
https://pdf.irpocket.com/C8804/WYlc/E1oo/Fq0F.pdf
・物流施設「T-LOGI」久喜・横浜青葉・習志野 再生可能エネルギーを有効活用する自己託送開始
『ZEB』認証取得を今後全「T-LOGI」に拡大、環境に配慮した開発を推進
https://pdf.irpocket.com/C8804/urNP/tY7f/r2ev.pdf
・「としまエコミューゼタウン」「Hareza 池袋」
2つの再開発事業を通じた“社会課題解決に繋がるまちづくり” 日本不動産学会長賞を受賞
https://pdf.irpocket.com/C8804/ZIyd/lC6L/FeCA.pdf
※本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における下記目標に貢献しています。
目標7 :エネルギーをみんなにそしてクリーンに
目標9 :産業と技術革新の基盤をつくろう
目標11 :住み続けられるまちづくりを
目標13 :気候変動に具体的な対策を
目標17 :パートナーシップで目標を達成しよう
以上
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