「制度整備の"次"が難しい」両立支援の共通課題と実践のヒントを企業22社が発表
ビジネスケアラーカンファレンス 2025開催レポート ~参加企業22社の提言から見えた「仕事と介護の両立支援」実践の課題~
仕事と介護を両立する「ビジネスケアラー」の課題解決に取り組む業界横断型コンソーシアム「エクセレント・ケア・カンパニー・クラブ(Excellent Care Company Club(以下、ECC Club)/事務局:株式会社チェンジウェーブグループ」は、2025年11月7日(金)に「ビジネスケアラー*¹カンファレンス2025」を開催しました。

今年の育児介護休業法改正を受け、企業では両立支援制度の整備が大きく進みました。
その一方で「運用や浸透に課題がある」「継続的に施策を打ち続けることが難しい」といった“制度の次にある壁”も多く聞かれます。
本カンファレンスは、ECC Club第4期として活動した企業22社 が会し、ロールストーリー*²の共有・分科会発表・参加型ディスカッション等を通じて、両立支援の壁を乗り越えるためのヒントや次の打ち手を共創する場として開催されました。
参加企業に加えて、企業人事・ダイバーシティ推進担当者など320名(会場・オンライン)が参加し、アンケート結果からは「明日から役立つヒントを得られた」などの高い満足度が示されました。企業でのアクションを促す内容となったことも確認されています。
*1働きながら介護をする人のことをさす
*2ビジネスケアラーは家庭・職場環境も異なり、両立のために必要となる支援は様々です。ECC Clubでは当事者の様々な体験やエピソードを集め、「ロールストーリー(経験から学ぶ物語)」からの学びを試みています。
<プログラム概要>
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基調講演 「リスク・マネジメントとしての仕事と介護の両立支援」(登壇:佐藤 博樹 氏)
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ECC Clubで調査した両立当事者の体験談「ロールストーリー」(登壇:佐々木 裕子/木場 猛)
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第4期 ECC Club参加企業22社による分科会発表
▶ “まだ大丈夫”から“備えよう”へ―介護前層に届く情報発信と職域での働きかけー
▶ 両立支援に対する“周囲理解”―対応に困らないための工夫―
▶ 制度だけで終わらせない職域の両立支援とは
~支援設計のポイント/コミュニティ/グループ企業横断イニシアチブ~
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参加型ディスカッション
<参加(来場)者アンケート結果 概要>
◆自社の「仕事と介護の両立支援」はどんな段階にあるか?
回答者の7割が「両立支援制度や施策はあるが、理解・活用はまだ十分でない」と回答しました。
法改正を機に制度整備を進めた一方で「社員に情報が届いていない」「就業支援のための制度であることが理解されていない」といった運用面の課題が挙げられています。

◆ 現場で感じる課題は「"まだ大丈夫"という意識」
課題として最も多く挙げられたのは「未介護層、潜在層の関心が高まりにくい」でした。
高齢化が進む中、介護との両立はすべての従業員が直面しうる課題ですが「“まだ大丈夫”と考え、備えを後回しにしがちである」など、“情報が届かない・届いても行動につながっていないように感じる”という両立支援担当者の悩みが浮き彫りになっています。
その他、「管理職が対応に迷う」「従業員のニーズを把握できていない」といった共通課題もありました。
これらは、ECC Clubの分科会テーマとも一致し、多くの企業で「従業員の理解につながる情報発信」「事前の備えへの意識向上」「両立を可能にするための働き方・職場づくり」に課題を感じていることも示されました。

◆ 今後取り組みたいのは「情報発信」と「社員の理解促進」
今後、重点的に取り組みたいアクションとしては、情報提供、当事者支援の充実といった施策のほか、両立支援制度を利用しやすくするための風土づくりなど、継続的な取り組みに対する前向きな姿勢が挙げられました。

カンファレンス参加者のコメント(抜粋)
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具体的なツール提案から「考え方」「スタンス」まで網羅性高く満足度の高い時間だった。仕事と介護の両立の重要さやニーズの高さに触れ、企業課題としての重要性を強く学べた。
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介護に正面から向き合うことは希望を持つことなのだと実感しました。勇気が持てるセッションでした。人事の役割の大きさも改めて認識しました。
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弊社はまだ介護については現場任せなので、大変参考になりました。
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人的資本経営というけれど、どう進めるか悩むことが多い。今回の話で様々な視点を持つことができきた。
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悩みは共通だな、と思いました。やらねばと思いながら推進できていない中、きっかけをいただけたと思います。
企業22社の実践から見えた“共通課題”と“実践のヒント”
今回のカンファレンスでは、企業が向き合うべき課題として、
制度を整えるだけでは不十分であり、職場での日常的なコミュニケーションや、“備える意識”をどう持ってもらうのかといった、実務に近い部分の重要性が高いことが示されました。
これに対し参加企業の実践からは、具体的な工夫が多数共有されました。
当事者の体験談を可視化する「ロールストーリー」の活用、介護が顕在化する前から従業員がリーチしやすくするための情報提供、管理職が迷わず対応できるようにするための仕組みづくり、グループ企業間で知見を共有し合う横断的な連携など、どの企業でも応用可能な“再現性のあるアクション”が多く示されました。
ECC Clubは、今後も企業横断の知見を集積し、組織を超えて学び合えるコミュニティとして、仕事と介護の両立支援の未来を共に創り出してまいります。

<第4期 ECC Club参加企業>
ANAホールディングス株式会社/アフラック生命保険株式会社/インフロニア・ホールディングス株式会社/前田建設工業株式会社/前田道路株式会社/SCSK株式会社/シスメックス株式会社/住友商事株式会社/ソニーピープルソリューションズ株式会社/中外製薬株式会社/株式会社電通コーポレートワン/東京海上ホールディングス株式会社/株式会社ドコモCS/パナソニック株式会社/パナソニックコネクト株式会社/株式会社日立ソリューションズ/
株式会社三井住友フィナンシャルグループ/明治ホールディングス株式会社/株式会社明治/Meiji Seika ファルマ株式会社/KMバイオロジクス株式会社/ロート製薬株式会社(※順不同)
■エクセレント・ケア・カンパニー・クラブとは
Excellent Care Company Club (略称:ECC Club)は、超高齢社会の課題解決に取り組む業界横断型コンソーシアムです。2022年に設立し、これまでにのべ43の企業・団体が参加・運営に携わっています。

【データの取り扱いに関するお願い】
本リリースに記載されているデータを引用する場合、必ず下記文面をデータに記載した上でご使用ください。また、ご使用の際は、ECC Club広報担当までご連絡をお願いいたします。
「ビジネスケアラーカンファレンス2025参加者アンケート」
【事務局】
会社名 :株式会社チェンジウェーブグループ
代 表 :代表取締役社長 CEO 佐々木裕子
所在地 :東京都港区南青山2-26-32 セイザンⅠ1202
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