「メード・イン・ジャパン」品質で復権 国産タオル、2019年の売上規模は過去10年で最高を更新
「ブランド化」など日本製タオルの高付加価値化で業績拡大目指す
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国内タオル専業メーカーの売上規模(事業者売上高ベース)は、2019年は677億円に達し過去10年で最高となった
- 背景にあるのは、安価な輸入品など汎用品との差別化と輸出の拡大がある。今治タオルなどに代表される産地のブランド化をはじめ、高品質な日本製タオル市場を確立。中国や台湾などアジア市場など、高価格でも人気の高い日本製タオルが受け入れられ、販売が伸びていることも大きい
- 今後も高級タオル市場でのシェア獲得は進むとみられるが、コロナ禍で贈答品向けやインバウンドなどの需要が消失するなど厳しさもある。そのため2020年の国内タオルメーカーの売上規模は一時的に前年比減と予想
国内タオルメーカーの売上規模 推移
かつて国内のタオル業界は、バスタオルなど家庭向けの汎用品を中心に、中国をはじめ外国製の安価な輸入製品が流入。国内消費の低迷も背景に、割高な国産タオルが市場から押し出され苦戦が続いていた。しかし、近年は高付加価値・高品質タオルによるブランド戦略が進み、「今治タオル」「泉州タオル」などの産地ブランドも定着。SPA(製造小売)化や輸出の増加など、販売チャネルの多様化も進んでいる。海外製品と競合しやすい低価格帯の汎用品から脱却し、高付加価値化で「量より質」に転換、高い技術力と品質、販売力を手にした国産タオル復活の道のりが見えている。
国産輸出タオルの単価は輸入品の約5倍、ブランド化と海外販売で業績拡大に寄与
タオルの国内生産量 推移
一方で、品質面で優れていても価格競争で対抗できない国産品が市場から押し出されたことで、国内タオルメーカーは生き残りを図るため様々な変革や差別化に迫られてきた。その中の一つが、タオル産地の「ブランド化」など高付加価値路線への転換だ。価格競争に巻き込まれやすい汎用品から脱却し、今治タオルや泉州タオルなどに代表される、各生産地が独自の品質基準を設けたタオルブランドを創造。贈答品用などを中心とした国産高級タオル市場を形成したことで、価格競争に左右されない収益の確保に成功した。産地のブランド化以外にも、ベビー用品などでニーズが高いオーガニック原料を多用した環境配慮型のタオルや、手触りや吸水性に優れた高機能商品の開発など、各社の技術力を生かした高付加価値商品が登場。こうしたタオル業界の一連の取り組みが、国産タオルの安心・安全・高品質という評価に繋がり、高価格帯でも売れる要因となっている。
販売チャネルの多角化も各社が積極的に取り組んでいる。自社で製造から販売まで手掛けるSPA業態への転換、EC市場への参入などで消費者がより高品質なタオルに接する機会を増やし、新規顧客やリピート客の確保に成功した企業もある。
タオル製品1kg当たり単価の推移
コロナ禍で贈答用など中心に受注減も発生、年間売上規模は一時的に縮小と予想
日本製ならではの高品質を武器に、高級タオル市場でのシェア獲得は当面続く (写真はイメージ)
業務用でも、稼働率の低迷が続くホテル向けなどでは大幅な需要減がみられ、回復にはしばらく時間を要するとみられる。衛生面の意識変化を追い風に、タオルの使い捨てといったニーズの変化や、エステサロンなど業務用の高付加価値タオル需要が底堅いメーカーもあるが、タオル需要全体の減少分を補うことは難しいとみられる。そのため、2020年の国内タオルメーカーの売上規模は一時的に前年を下回る傾向で推移すると予想される。
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