旭化成、EAS Batteries社と超イオン伝導性電解液技術のライセンス契約を締結

~超高出力リチウムイオン電池の販売開始に向けた実用化フェーズへ~

旭化成株式会社

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:工藤 幸四郎、以下「旭化成」)は、ドイツの電池メーカーEAS Batteries社(本社:ドイツ テューリンゲン州、以下「EAS社」)と、旭化成が開発した超イオン伝導性電解液技術(以下「本技術」)に関するライセンス契約を締結しました。本技術は、EAS社が新たに開発したリン酸鉄(LFP)を正極に用いた円筒型の超高出力リチウムイオン電池(以下、「本電池」)に採用され、2026年3月に販売開始される予定です。本取り組みは、旭化成が推進する無形資産を活用した新規事業創出の取り組み「TBC(Technology-value Business Creation)」に基づくものです。

EAS社の超高出力リチウムイオン電池

共同開発の背景

旭化成とEAS社は、両社の技術を融合し、ドイツ連邦教育研究省の「HEADLINE」プロジェクト※1の支援も受け、次世代電池の開発を進めてきました。両社は本技術を世界中の自動車メーカーや電池メーカーへサブライセンスする取り組みにも合意しており、モビリティ分野への展開も目指しています。

製品性能と用途

 旭化成とEAS社は、高出力で長寿命の新型リチウムイオン電池を開発しました。本電池(容量22Ah)は、同じ容量でも従来の約1.6倍の出力を実現しています。加速時や重機の立ち上げ時など、瞬間的に大電力が必要な場面(2秒間の高負荷放電)でも安定して高いパワーを発揮します。

また、電池の寿命(充放電を繰り返せる回数)も優れており、長期間の使用でも性能が落ちにくくなりました。さらに、急速充電・急速放電に対応し、内部抵抗が低いため電池の発熱(エネルギーロス)を抑え、エネルギー効率が向上しました。

製品性能まとめ

・従来比約1.6倍の出力を達成

・瞬間的な高負荷放電にも安定して対応

・優れた電池寿命

・急速充電、急速放電に対応

・発熱やエネルギーロスを抑えた高効率設計

旭化成が長年の知見と技術力を活かして開発した高いイオン電導性を持つ電解液により、電池内部の抵抗が低減され、パワーが必要な場面でも安定した出力を維持します。これにより、船舶、鉄道、建設機械など、過酷な環境で高い信頼性が求められる分野での活用が期待されます。

本技術の特長

旭化成は、30年以上にわたりリチウムイオン電池の研究開発を続けてきました。2010年から超イオン伝導性電解液の開発を進め、名誉フェローの吉野彰※2がアセトニトリルの有用性に着目しました。2024年6月には、超イオン伝導性電解液を用いたリチウムイオン電池のコンセプト実証(PoC)に成功※3しています。本技術は、溶媒にアセトニトリルを含むことで既存の電解液では実現困難な高いイオン伝導性を有しており、当社独自の電解液組成調合技術※4と電極/電解液の界面制御技術※5 により、現行LIBの課題である「低温下での出力向上」と「高温下での耐久性向上」の両立を実現しました。また、これらは、出力向上・急速充電などを可能とし、電動自動車等における搭載電池の削減や電極の厚膜化による電池の容量アップおよび低コスト化に貢献します。

代表者コメント

EAS Batteries GmbH マネージングディレクター Michael Deutmeyer氏

「旭化成との協業は、特に高出力セルにおけるセルの品質と性能を向上させるための強固な基盤を築くものです。電解液の堅牢性は、EAS製品にとってだけでなく、当社の技術をさまざまな市場に展開していく上でも重要な鍵となります。このような戦略的パートナーシップは、将来のニーズに応じたソリューションを実現するために不可欠です。」

旭化成株式会社 常務執行役員 研究・開発本部長 研究開発・知財担当 松崎 修

「旭化成は、高出力セルの実現に貢献する超イオン伝導性電解液技術を提供することを誇りに思います。EAS社の知見と当社の電解液の開発技術とを融合することで、先進的なセル設計を可能とし、これまでにない優れた電池性能を実現することに成功しました。旭化成の先進技術の活用によって、世界的に変革を遂げるエネルギーシステムの中で、明確な競争優位性をもたらす高性能の電池の開発を可能にすると信じております。」

旭化成の無形資産の活用について

旭化成は2025年4月に発表した『中期経営計画2027 ~Trailblaze Together~』※6のもと、研究開発においては「変わる未来のはじまりを。」を理念に掲げ、特許やノウハウ、データ、アルゴリズムなどの無形資産を活用した「TBC」を推進しています。これは旭化成が保有する豊富な無形資産を多様な形態やライセンスとして提供・活用し、収益化を図る取り組みです。このアプローチにより、スピード感と資産効率を両立した新規事業創出が可能となり、顧客やパートナーに最大限の価値を提供します。こうしたライセンス活用によるビジネスを、2025~2027年度で10 件以上生み出し、2030年頃までの累積利益貢献で100億円以上を目指しています 。

※1 「HEADLINE」プロジェクト関連のBatterie 2020公式サイト:https://batterie-2020.de/english/

※2 吉野 彰の研究に関するウェブサイト:https://www.asahi-kasei.com/jp/asahikasei-brands/yoshino/

※3 2024年6月7日プレスリリース:https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2024/ze240607.html

※4 電解液組成調合技術:さまざまな機能を有する電解液成分を調合し、リチウムイオン電池用電解液と

して、狙った機能を発現させる技術

※5 界面制御技術:リチウムイオン電池において充電・放電の繰り返しを可能にするために、活物質と電解液との界面における電解液の電気分解反応により、電子絶縁性かつリチウムイオン伝導性の不働態被膜を均一に形成する技術

※6 中期経営計画に関するプレスリリース:https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2025/ze250410.html

【ご参考】

モビリティ関連情報サイト:https://asahi-kasei-mobility.com/products/acn_electrolyte/

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ビジネスカテゴリ
化学自動車・カー用品
キーワード
LIBLFP電解液
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会社概要

旭化成株式会社

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URL
https://www.asahi-kasei.com
業種
製造業
本社所在地
東京都千代田区有楽町1-1-2 日比谷三井タワー
電話番号
03-6699-3000
代表者名
工藤 幸四郎
上場
東証1部
資本金
1033億8900万円
設立
1922年05月