天地人・アイシン・磐田市、インフラ管理の高度化に向けた実証実験に関する基本合意書締結式を開催。日本初の道路・水道管理連携に関する実証を開始へ
JAXA認定の宇宙ベンチャー 株式会社天地人(東京都中央区 代表取締役 櫻庭康人)と、株式会社アイシン、静岡県磐田市は、「インフラ管理の高度化に向けた実証実験」に関して、2025年8月19日(火)に磐田市役所にて基本合意書締結式を開催いたしました。本実証実験は、衛星データで漏水リスクを診断する「宇宙水道局」と車載カメラ+AIで路面異常を検知する「みちログ」を連携させ、日本初の道路・水道管理連携による新たなインフラDXの実現を目指します。

天地人・宇宙技術×車載AI技術で挑む、インフラDXの新標準
株式会社天地人 樋口宣人 コメント

「天地人は、衛星データを活用して社会課題の解決に貢献することを使命としています。磐田市様には2年前から先駆的に『宇宙水道局』をご導入いただき、現在は3年目に入っています。市内全域を漏水リスクに応じてカラーリングし、高リスク箇所に資源を重点配分する運用により、音聴調査の効率化が確実に進みました。
一方で、どれほど優れた技術でも、実証というプロセスを経なければ実装には至りません。本実証では、まず磐田市様の現場価値を最大化し、その成果を全国に広げていくことを目指します。水道と道路は『地表の表裏一体』であり、データを相互乗り入れ(クロスオーバー)させ、部門横断のデータ連携×業務連携によって、より良い予測と保全につなげてまいります。
全国では漏水事故が年間約2万件、40年以上経過した管路は約17万km、対策費は30兆円規模とも言われ、対応は待ったなしです。路面のひび割れやポットホールが交通振動などを通じて配管に物理的ストレスを与える可能性がある一方、漏水が土砂の巻き込み等によって空洞を生み、路面異常を誘発する場合もあります。今回の連携により、こうした因果関係や相関を現場データで見極め、予測精度の継続的な向上に挑みます。」
アイシン・車載技術とAI画像解析で道路管理を革新
株式会社アイシン 山下隆二氏 コメント

「アイシンのLBS製品本部は、30年来のカーナビ開発で培った技術・データを基盤に、移動・交通に関わる社会課題の解決に取り組んでいます。車載カメラとAIで、ひび割れ・ポットホール・平坦性などを検知する『みちログ』も、その一つです。
本実証では、磐田市様の公用車2台と遠鉄タクシー様の車両1台(計3台)に専用機器を搭載し、走行しながら継続的に路面データを取得します。取得データは『みちログ』で解析したうえで『宇宙水道局』に提供し、相互フィードバックにより高リスク地点の定点観察と予測精度の向上を図ります。結果として、道路補修の効率化と安全性の確保に貢献できるよう、磐田市様からの大きな機会に結果でお応えしてまいります。磐田発のモデルを全国へ広げるべく、全力で取り組みます。」
磐田市・先進的な取り組みで全国自治体のモデルケースを目指す
磐田市長 草地博昭氏 コメント

「老朽管による漏水は、今後、全国でさらに大きな課題になると考えています。『宇宙(衛星)』と『地上(車載AI)』という二つの側面から解析し、効果的かつ効率的に漏水を発見できるようになれば、日本全体のインフラ維持コストは確実に変わっていきます。社会的インパクトは非常に大きいはずです。
これまで事後対応が中心だったものを予防へ転換できれば、計画的な対応が可能となり、市民の税金もより効率的に使えます。デジタルの力で部局横断の連携がここまで具体化したことは新しい発見で、現場主導の取り組みは全国的にも評価されると期待しています。実証の過程でも相互に提案を交わし、マイナーチェンジを重ねて精度を高め、実装に近づけていきます。磐田から、日本、そして世界に役立つイノベーションが生まれることを願っています。」

本実証実験の背景

国内の上水道では、法定耐用年数を超えた管路が約17.6万km(地球約4周分)を超え、年間約2万件以上の漏水事故が発生しています。一方、道路では老朽化による陥没やポットホールが増加し、住民の安全と交通インフラに深刻な影響を及ぼしています。
この課題に対し、国土交通省は施設別管理から転換し、地域単位で複数インフラを最適化する「群マネ」(地域インフラ群再生戦略マネジメント)を推進しています。本実証実験は、この群マネの理念を具体的に実装する先駆的な取り組みとして、公民連携による民間主導のソリューションを提示し、水道・道路のデータ統合による新たなインフラ管理モデルの確立を目指します。
具体的な技術連携については、「宇宙水道局」が提供する漏水リスク診断情報を「みちログ」のダッシュボードに統合し、漏水リスクの高いエリアを重点的に車両が走行することで効率的なデータ収集を実現。収集した道路表面データを「宇宙水道局」にフィードバックし、過去の漏水履歴と路面異常の相関を検証することで、両システムの予測精度向上を図ります。
この相互連携により、漏水起点の陥没や路面沈下の予兆を高精度で把握し、従来では発見困難だった複合的リスクの早期発見が可能になります。
今後のスケジュールと全国展開への道筋
2025年9月~2026年2月:磐田市での本格実証
締結式を経て、2025年9月から本格的な実証実験を開始いたします。
実証期間は2026年2月末までの約6ヶ月間を予定しており、以下の体制で実施いたします。
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磐田市:実証フィールドの提供、行政業務の指導(道路パトロールカー2台を含む)
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天地人:衛星データ・AIを用いた漏水リスクの評価・分析(宇宙水道局)
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アイシン:AIを用いた道路異常の検知と路面点検(みちログ)
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遠鉄タクシー:専用機器搭載車両(1台)による走行データ収集
全国展開可能なソリューションへの発展
本実証で確立した技術連携モデルとデータ解析手法を、全国の自治体で活用可能な標準的ソリューションとして発展させることを目指します。特に、人口規模や地域特性の異なる自治体での適用可能性を検証し、汎用性の高いインフラDXソリューションとして完成させる計画です。
将来的には、国内での標準化を経て、同様のインフラ課題を抱える海外都市への展開も視野に入れており、日本発のインフラDX技術として世界市場での競争力確保を目指してまいります。
「基本合意書 締結式」開催概要
【開催日時】2025年8月19日(火)11:30~12:00
【会場】磐田市役所
【登壇者】
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静岡県磐田市長 草地 博昭
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株式会社アイシン 製品開発センターLBS製品本部 本部長 山下 隆二
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株式会社天地人 執行役員 COO/「宇宙水道局」事業責任者 樋口 宣人
「天地人コンパス 宇宙水道局」について
「天地人コンパス 宇宙水道局」は、衛星データを活用し持続可能な水道事業の実現を支援する水道DXソリューションです。
1. 漏水リスク診断に基づく音聴調査支援
衛星データを活用した数メートル単位での管路のリスク診断により、高い解像度で現在・近未来の漏水のリスクの把握が可能です。また用途に応じて、メッシュ単位での漏水リスク診断にも対応します。漏水する可能性が高いエリアを絞り込むことで、優先的に調査すべき場所を簡単に見つけられ、効率的な維持管理を実現します。
2. 地域特性に応じた水道管の管路の更新計画策定支援
管路診断結果に基づく「健全度」(漏水リスク診断結果)と、一般住宅から重要給水施設(病院、学校、避難所など)まで、あらゆる施設や暮らしへの影響を包括的に考慮した「重要度」を組み合わせて評価することで複数の「更新優先シナリオ」を作成します。平時の漏水リスクを重視するシナリオや、災害時の社会的影響を重視するシナリオなど、地域課題や目的に応じた柔軟な設定が可能です。環境の変動を考慮したシナリオを通じて、各管路の更新優先順位を合理的かつ透明性をもって決定することで、有用性の高い計画策定を支援します。
技術力の高さと導入ハードルの低さが評価され、厚生労働省、国土交通省、総務省などの各省庁が実施する「第7回インフラメンテナンス大賞」では厚生労働大臣賞を受賞。
2023年4月のサービス提供開始から、累計契約自治体数*が40を突破しました(2025年8月現在)。
*契約更新含む
◾️天地人の会社概要
会社名:株式会社 天地人
所在地:東京都中央区日本橋1丁目4−1日本橋一丁目三井ビルディング5階
代表者:代表取締役 櫻庭 康人
事業内容:衛星データを使った土地評価コンサル
天地人コンパス 宇宙水道局 特設サイト:https://suido.tenchijin.co.jp/
公式サイトURL:https://tenchijin.co.jp/
Linkedin:https://www.linkedin.com/company/tenchijin/
「天地人コンパス 宇宙水道局」マガジン(公式note記事)
https://note.com/tenchijincompass/m/mcf0244155615/hashtag/580375
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