【福井県坂井市】脱炭素社会へ 情報共有、商談活発に
官民一体 ゼロカーボンさかいコンソーシアムが福井銀行本店で集大成イベント
ゼロカーボンへあの手この手 初のビジネスマッチング
ゼロカーボンシティ推進に向け、地元の民間企業などとコンソーシアムをつくる福井県坂井市は3月11日、本年度活動の末尾を飾る「ビジネスマッチング相談会」を福井市の福井銀行本店で開いた。県内外の脱炭素での優れた知見や技術、システムを持つ21社が出展ブースを構え、自社でのゼロカーボン推進を進める坂井市、福井市をはじめ県内外の企業や官公庁関係者ら29社・団体から参加があり、総勢100人余りの催しとなった。各ブースでは、省エネ、太陽光発電や排熱、蓄電池、バイオマスなど自社で取り組むべきゼロカーボンについて何がベストなのか、などの相談や情報交換、商談が活発に行われた。
主催は、坂井市と北陸経済連合会が事務局を務める「カーボンニュートラルBASE北陸」。福井県も共催した。昨年6月に市が発足させた「ゼロカーボンさかいコンソーシアム」は、本年度にこれまで勉強会やフィールドワークなど研修を計9回開催、この日は年度末の集大成として初めてのビジネスマッチング相談会が企画された。

この催しには、自社でどのようにゼロカーボンに取り組んだらよいか悩む大企業だけでなく、坂井市内外の中小・零細企業などにも幅広く参加を呼びかけ、最新の知見や情報を共有しようとの狙いがある。
21社・団体が出展 総勢100人、手法やアイデア、情報交換

この日、会場に設けられた21ブースの中には「日立製作所」「高砂熱学」「リコー・ジャパン」などの大手企業もあり、参加企業の経営者や脱炭素対策の担当者らは、自社に適した脱炭素アプローチや取り組みができるか、商談に臨んでいた。また出展企業のうち9社が、それぞれに脱炭素ソリューションについてプレゼンテーションし、わが社の強みである技術やシステムを来場者にアピールしていた。
ひとことで脱炭素対策といっても、企業の中には「どこから手を付けていいか分かない」と、初期段階から悩む声は多く、例えば、リコー・ジャパン株式会社は脱炭素経営の手順を、【1】脱炭素経営の社内の意思の統合 →【2】自社のCO₂排出量の見える化 →【3】排出量の把握 →【4】脱炭素ロードマップの策定…などと具体的なステップ表を示し解説しながら、自社のGXソリューションを提案していた。
会場で「補助制度にも関心があったので行政系ブースを中心に回った」という坂井市のテクノポート福井に工場を持つ福井山田化学工業株式会社の佐々木大輔代表取締役社長(60)は「脱炭素はなかなか情報が少ない。工場をもつわが社としてもどのようなやり方、アイデアで進めるのがよいのか、こうした機会を利用して情報を集めたい」などと話し、名刺交換するなどして情報収集に努めていた。
また今回、「カーボンニュートラルBASE北陸」(2024年10月設立)として北陸3県で脱炭素推進のためのプラットフォームを形成し、主催者に名を連ねブースも設けた北陸経済連合会の魚屋敦司常務理事(53)は「石川、富山に続いて、福井県内でもこうしたマッチングイベントができないか模索していたので、主催する形で開催できてよかった。われわれは行政との連携を重視、ゼロカーボンに積極的な坂井市とは今後も情報交換など連携を密にしていきたい」と話していた。
脱炭素社会に向けた坂井市のこれまでの取り組み
政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガス(CO₂)の排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」を宣言。それを受け、すでに全国の自治体の1,200市町村ほどがゼロカーボンシティを宣言している。坂井市も2021年3月に第二次環境基本計画策定に合わせてゼロカーボンシティを宣言し、その後2024年3月の市脱炭素ロードマップをつくる際に「2030年までに温室効果ガス(CO₂)50%削減」と国よりハイレベルな目標を設定し推進している。さらに流れを加速させようと2025年度は2月に市内企業や福井銀行、北陸電力など19社とゼロカーボンシティの実現に向けた包括連携協定を締結。6月には包括協定をベースに脱炭素を推進する共同事業体「ゼロカーボンさかいコンソーシアム」が発足、現在、140社・団体が参加している。
ゼロカーボンさかいコンソーシアム事務局の北川直規・坂井市環境推進課長に聴く
「研修を積み重ね、参加企業の意識、習熟度上がった」
―「ゼロカーボンさかいコンソーシアム」の2025年度の最後のイベントが「ビジネスマッチング」というスタイルでした。当初からこれを考えていたのか?
北川 いえ、1年間、いろいろ模索した結果です。もともとコンソーシアムは、脱炭素をどう進めていいか分からない人と、脱炭素の技術は持っているが、これをどうやって広めていいか手法が分からない人を繋げる“橋渡し”役だと思っています。この日まで9回にわたりセミナー等を続けてきたのですが、専門家や先進事例の話を聴くことができるのは、毎回せいぜい2か3。それならと一堂に集めて、しかも一方的な話を聴くだけでない、しっかり内容を把握できる場としては、こうした「マッチング相談会」がいいと考えたのです。特に21ものブース出展者には大手から中小までゼロカーボンに精通している会社や団体が出てくれ、この日は脱炭素の総合商社となりました。これには福井県の理解と、北陸経済連合会との連携が大変大きかったです。会場も福井市の福井銀行本店という場所でやれたこともよかった。坂井市だけでなく福井市など嶺北からの参加も呼びかけやすかった。

―6月のキックオフからセミナーやワークショップなどを展開し、コンソーシアムの参加企業や担当者に変化はありましたか?
北川 本年度の最後を、一堂に会したマッチング相談会に設定したのは、毎回のセミナーで参加企業の脱炭素への取り組みの姿勢、習熟度が上がってきたな、と感じたからです。いつまでもゼロカーボンについて基礎的なことばかりでは、参加企業や担当者が物足りないだろうと感じていました。ゼロカーボンにどう取り組むか、考え方や手法は、各企業の業種や扱う材料、工場や建物のあり様など個社によって異なるので、「そうか、こんなアイデアがあるのか」とか「うちの社はどこから取り組んでいいのかヒントをつかめた」などの声が聞こえてきたら、成功かなと思う。
―今日は本来、もっと来てほしいと考えていた中小企業、零細企業からの参加者がやや少ない感じはありますが。
北川 まだまだ中小企業の(ゼロカーボンに対する)意識が高くない、というのが本音の部分。それらの会社は足腰が弱いので、どうしても売り上げアップや生産高が優先され、ゼロカーボン対策に回す資金に余裕がないこともある。例えば、自社の実態を知るための診断費用を坂井市が支援するやり方もある。行政の立場からすると、こうした催しであまりビジネス色を前面に出したくはないと思っていますが、情報交換には役立つので、今回、終了後の参加者アンケートなども参考にしながら、毎年、最終回は関係機関が一堂に集まれるマッチングイベントが理想だと考えています。
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