KPMGコンサルティング、「The future of supply chain―これからのサプライチェーンに関する調査2023」(日本語版)を発表

KPMGコンサルティング株式会社

KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 兼 CEO:宮原 正弘、以下、KPMGコンサルティング)は、企業のサプライチェーンのリーダーが自組織や規制当局、ステークホルダーからの期待に応え、重要な役割を果たすために優先的に取り組むべき事項を解説したレポート「The future of supply chain―これからのサプライチェーンに関する調査2023」(日本語版)を発表しました。

本レポートは、KPMGが小売、製造、テクノロジー、エネルギーなど、世界のさまざまなセクターの企業のサプライチェーンのリーダー300名を対象に行った調査を基に、サプライチェーン業務に関する今後のトレンドや企業が短期的と長期的に取り組むべき主要課題などについて考察しています。

本レポートでは、サプライチェーンのリーダーが直面する複雑な情勢のなかで、当面の重要課題として「存続とレジリエンス」「マクロな要求事項への対応」「未来への対応」について解説するとともに、短期的な取組みとして今後1~2年間に焦点を当てる必要のある3つの中核テーマ「サステナブルサプライチェーン」「先進ロボティクスおよび自動化」「未来の労働力」と、今後3~5年間の長期的な視点で新たにトレンドになると考えられる「分散型台帳技術とデジタルマネー」「各セクターにおける変革」「メタバース」について考察しています。

サプライチェーンの現状
今回の調査では、「自社のサプライチェーンは安定し未来への備えが十分にできている」と答えた回答者はわずかに半数を超える55%にとどまり、回答者の47%が「自社のサプライチェーンは混乱に対して脆弱である」と回答しています。また、最も喫緊の課題として、原材料価格の上昇(71%)、サプライチェーン川上の混乱(70%)、スピードに対する顧客の期待に応えること(67%)、労働力不足(62%)、運送費の上昇(62%)などを挙げています。

サプライチェーンのリーダーには前述した(1)存続とレジリエンスに加えて、物流を見直し、地政学的な緊張を乗り越え、ESGに関する懸念事項に対処して日々変化する顧客ニーズに応える(2)マクロな要求事項への対応、デジタル基盤を加速し、技術的トレンドを理解したうえでそれに基づいて行動し、サプライチェーンを自動化する(3)未来への対応が求められています。

短期的視点:今後1~2年間に焦点を当てる必要のある3つの中核テーマ
サステナブルサプライチェーン
ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する懸念の多くはサプライチェーンに関係しています。ESG課題がサプライチェーン網の設計に影響を及ぼすことが避けられないなか、3分の1の回答者が「将来のサプライチェーン戦略の一環として持続可能な調達への注力を予定している」と回答しています。企業は正式なサプライチェーン計画のプロセスにサステナビリティ目標とイニシアチブを盛り込み、「責任ある調達」「デューデリジェンス」「脱炭素化」「サーキュラーエコノミー(循環経済)」「製造・生産工程における人権」「技術を活用したESG報告」の6領域を組み込む必要があります。

先進ロボティクスおよび自動化
37%の回答者が「倉庫での手作業を先進ロボティクスまたは自動化に置き換えている」と回答するなど、多くの企業が輸送および輸送ルート計画、貿易税の調整、サプライチェーンアナリティクスなどの主要なミドルおよびバックオフィスのプロセスの自動化に取り組んでいます。また、回答者の63%が「人が行う反復的な作業の多くは機械に置き換えられる」としたほか、59%の回答者が「怪我のリスクが高い作業は自動化される」と予想しています。

コネクティビティと自動化は、先進的なサプライチェーンのリーダーが探し求めている機敏性と効率性をもたらします。これからのサプライチェーンは、どのような技術的ソリューションが必要かではなく、この未来図を実現するために必要なスキルや能力は何か、そして技術/自動化と人がそれぞれできることは何かに焦点を当てることになると考えられます。

未来の労働力
36%の回答者が、「労働力不足がサプライチェーンに影響を及ぼしている」と回答しています。また、36%がこれを「短期的な問題」と回答したのに対し、37%は「長期的な問題」と回答しています。

企業は、先進ロボティクスや自動化の導入に伴い、デジタルと人が共存できるようそれぞれの役割を見直す必要があります。そのためには、先進ロボティクスや自動化が労働力に及ぼす影響に対処し、技術が将来の従業員価値提案にどのようなインプットをもたらすかを考慮することが必要になります。サプライチェーンの変革に向けた取組みには、ソフトスキルの強化、イノベーションの支援、役割の見直し、変革を推進する企業文化の創造が必要不可欠といえます。

長期的視点:今後3~5年間で新たにトレンドになると考えられる項目
分散型台帳技術とデジタルマネー
トレーサビリティの強化を通じたサプライチェーンの可視化について今回の調査では、Tier2サプライヤーまで明確に可視化できている企業は28%にすぎず、43%の企業はTier1サプライヤーに関してさえ可視化されていない、または「非常に不透明」と回答しています。

二国間および地域内の貿易協定の締結は依然として主流であり、多くの基準や原産地規則、関税、非関税措置が存在し、国際貿易には市場ごとに異なる大量の資料作成が求められます。この複雑さに対処するため、分散型台帳技術とデジタルマネーへの投資が今後増加し、バリューチェーン全体でデータを標準化することにより、信頼性の高い貿易が促進されると予想されます。これらの技術は、(1)トレーサビリティを強化し、サプライチェーン内の貨物に関するリアルタイムの情報、可視性および信憑性を提供する、(2)データを標準化し、サプライチェーンのレジリエンスを高める所有権の共通レジストリを用いて企業間連携を最適化する、(3)貿易金融を通じた資金へのより良いアクセスを提供し、決済と国際貿易の効率性を高める、といった点でサプライチェーンのエコシステムを強化することができます。

各セクターにおける変革
さまざまなセクターが直面している変化は、それぞれのサプライチェーンに直接影響を及ぼすと考えられます。たとえば、ヘルスケアおよびライフサイエンスセクターでは、精密医療の提供はより複雑かつ緻密化しています。また、小売・物流セクターでは、小売業者はさまざまな販売チャネルを統合するユニファイドコマースアプローチを中心に据え、シームレスな体験を創造することが求められています。航空宇宙・防衛セクターでは、地政学的な問題を背景に、サプライチェーンに対するより厳しい監視の目に晒されるようになり、ほぼリアルタイムの意思決定支援やハイパーコネクティビティなど先進技術の必要性が高まっています。

メタバース
今回の調査では、94%の回答者が「デジタルツインによって付加価値がもたらされる」とメタバースを肯定的に捉えています。また、サプライチェーンのリーダーの約3分の1はすでにメタバースを試験的に導入していることもわかりました。メタバースは、サプライチェーンの運営を最適化する支援技術として、学習体験の拡大、国際的コミュニケーション、サプライチェーンジャーニーのシミュレーション、リアルタイムでのリスク削減およびサプライチェーンの信頼性向上の機会をもたらす可能性があります。

サプライチェーンのリーダーは、(1)現実世界でのエンゲージメントと学習体験、(2)サプライチェーンにおけるデジタルツイン、(3)物理的サプライチェーンのバーチャル化、の3段階に分けてメタバースの技術を取り入れていくと考えられます。第1段階では、顧客や外部組織との交流を深め、連携を強化し、リアルタイムの協働を円滑化します。第2段階では、メタバースを活用して企業はバーチャルのデジタルツインを作成し、シナリオや戦略的選択肢のモデリングを行い、その結果を評価することが可能になります。そして第3段階では、企業はメタバースツールを利用して自社のサプライチェーンを完全にデジタル化し、物理的な境界をなくすことができるかもしれません。

本レポートの全文はこちらからダウンロードできます:「The future of supply chain」(日本語版)

グローバル版(英文)の全文はこちらからダウンロードできます:「The future of supply chain


KPMGコンサルティングについて
KPMGコンサルティングは、KPMGインターナショナルのメンバーファームとして、ビジネストランスフォーメーション(事業変革)、テクノロジートランスフォーメーション、リスク&コンプライアンスの3分野から企業を支援するコンサルティングファームです。戦略策定、組織・人事マネジメント、デジタルトランスフォーメーション、ガバナンス、リスクマネジメントなどの専門知識と豊富な経験を持つコンサルタントが在籍し、金融、保険、製造、自動車、製薬・ヘルスケア、エネルギー、情報通信・メディア、サービス、パブリックセクターなどのインダストリーに対し、幅広いコンサルティングサービスを提供しています。

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業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区大手町1-9-7 大手町フィナンシャルシティサウスタワー
電話番号
-
代表者名
宮原 正弘
上場
未上場
資本金
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設立
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