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【国立科学博物館】岡山県から昭和天皇に献上された昆虫標本を国立科学博物館で発見 ー90年前の昆虫相がよみがえるー

文化庁

 昭和5年(1930年)に昭和天皇が岡山を訪問された際に献上された昆虫標本688点(現存するまとまった岡山県産昆虫標本としては最古)が、国立科学博物館(館長:林 良博)の昭和記念筑波研究資料館(茨城県つくば市)で発見され、倉敷市立自然史博物館(館長:髙嶋幸慶)と国立科学博物館を中心とする調査チームによる調査報告が倉敷市立自然史博物館研究報告36号(3月15日発行)に掲載されました。

 

  • 発見の経緯

 古い標本を調べることで過去の時代の自然環境を推定することができ、レッドデータ種の評価や今後の保全活動等に役立てることができます。岡山県内に現存する県内産昆虫標本では、倉敷市立自然史博物館に保管されている1930年代後半のものが最も古いコレクションとして知られています。
 

写真1 昭和5年,岡山で天覧に供された昆虫・植物標本『昭和五年十一月 陸軍特別大演習並地方行幸岡山縣記錄』(岡山縣編,1932)より写真1 昭和5年,岡山で天覧に供された昆虫・植物標本『昭和五年十一月 陸軍特別大演習並地方行幸岡山縣記錄』(岡山縣編,1932)より

 岡山県の記録等によれば、昭和5年(1930年)、昭和天皇が岡山に行幸の際、歓迎行事の一環で多数の昆虫及び植物標本が収集され、天覧に供されました(写真1)。

 その後、昆虫標本の大部分(800点余り)は岡山県郷土館(後に県立図書館の一部)に収蔵されましたが、昭和20年(1945年)6月の岡山大空襲で建物・標本とも焼失しました。

 一方、記録には昭和天皇に献上された標本があることが記されており、奥島雄一主幹・学芸員(倉敷市立自然史博物館)が国立科学博物館の神保宇嗣研究主幹に心当たりを問い合わせたところ、同館の昭和天皇ゆかりの標本資料を保管する昭和記念筑波研究資料館にて、当該資料と思われる標本コレクションを発見するに至りました(2019年3月)。
 

  • 調査結果と意義

・ チョウ・ガ類を中心に3目44科591種661点の同定標本及び27点の未同定標本(すべてガ類)の合計688点を確認しました(写真2,3)。昭和記念筑波研究資料館には他府県産の昆虫標本も保管されていますが、献上昆虫標本としては岡山県産が群を抜いて多いと推定されました。

・ それらの大部分は、児童生徒及びその指導者らによって昭和天皇歓迎行事として昭和5年(1930年)に美作地方(岡山県北東部)を中心に採集された標本で、まとまった岡山県産の昆虫標本としては現存する最古のものです。

・ これまでに岡山県内から記録されたことのないガ類6種(マダラシロツマオレガ、アミメテングハマキ、クロスジキシマメイガ、オオワタノメイガ(写真4)、フタコブスジアツバ、ウスサビイロヤガ)が含まれていました。当時の標本収集に対する熱意が感じられます。

・ 岡山県内ではすでに絶滅したチョウ、ヒョウモンモドキ(国内希少野生動植物種)のこれまでに知られていなかった産地(久米郡加美村=現美咲町域)の標本を確認しました(写真5)。

・ ごく一部に標本針のさびによる破損が見られるものの虫害やカビは見られず、全体として非常に良好な状態であり、博物館施設の資料の長期保存及び後世への継承に果たす役割の重要性が見て取れました。

 

写真2 昭和天皇コレクションの岡山県産昆虫標本全容写真2 昭和天皇コレクションの岡山県産昆虫標本全容

写真3 標本箱のひとつ写真3 標本箱のひとつ

写真4 オオワタノメイガ(岡山県初記録種)写真4 オオワタノメイガ(岡山県初記録種)

写真5 ヒョウモンモドキ(岡山県絶滅種)写真5 ヒョウモンモドキ(岡山県絶滅種)

・ 昆虫標本に限らず昭和初期の国内の自然史標本は、戦災あるいは虫害等のため、現存しているものはごく僅かです。これらの資料を調査することで、一世紀近く前からの自然環境の変化を知ることが可能となり、今後の環境保全に役立てられることが期待されます。

 
  • 学術報告
・3月15日発行の倉敷市立自然史博物館研究報告第36号において記事報告、「昭和天皇に献上された岡山県産昆虫標本」(三宅誠治・神保宇嗣・奥島雄一・岡本泰典・並河 洋・中村剛之共著)が掲載されました。

・3月20日開催の「むしむし探検隊研究発表会」(会場:倉敷市立美術館)にて、特別報告として奥島・岡本・三宅が口頭発表の予定です(公開、事前申込みが必要です)。
 
  • 展示公開
・倉敷市立自然史博物館でのポスター展示
会 場:倉敷市立自然史博物館 第3展示室「昆虫の世界」,「話題の虫」コーナー
会 期:令和3年3月16日(火)~6月20日(日)
観覧料:通常料金(一般150円、大学生50円、高校生以下・65歳以上無料)

・国立科学博物館の企画展での標本(一部)及びパネル展示
 ご生誕120年記念企画展「昭和天皇の生物学ご研究」
会 場:国立科学博物館(東京・上野公園)日本館1階企画展示室
会 期:令和3年4月20日(火)~6月20日(日)
入館料:常設展示入館料(一般・大学630円、高校生以下・65歳以上無料)
    ※入館には事前予約が必要です。

 
  • 調査体制
 奥島が申請者となり、「2020年度全国科学博物館活動等助成事業」(全国科学博物館振興財団)の助成を受けました(事業名「昭和初期に収集された自然史標本の調査及び活用に向けた標本情報の整理と公開」)。主な調査参加者と担当内容は次の通りです(五十音順)。
・岡本泰典(公務員、倉敷市立自然史博物館友の会会員):当該標本の由来に関わる歴史資料の調査と情報整理等。
・奥島雄一(倉敷市立自然史博物館 主幹・学芸員):調査標本の写真撮影、調査報告の取りまとめ等。
・神保宇嗣(国立科学博物館動物研究部 研究主幹):ガ類の同定作業等。
・中村剛之(弘前大学白神自然環境研究センター 准教授):シリアゲムシ目の同定作業。
・並河 洋(国立科学博物館昭和記念筑波研究資料館 研究主幹):昭和天皇コレクション管理担当者。現地調査立ち会い、宮内庁連絡等。
・三宅誠治(日本鱗翅学会評議員・倉敷市立自然史博物館友の会会員):チョウ・ガ類の同定作業等。

  写真及び文献による調査の後、2020年10月12日から16日まで、並河・神保・三宅・奥島が新型コロナウイルス感染症対策を講じたうえで国立科学博物館にて標本調査を実施しました。

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1968年06月
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