【慶應義塾】筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新規治療ターゲット、核膜・核膜孔障害を発見
-ゲノム編集マウス・iPS細胞・病理検体から病態解明の糸口を見出す-
このモデルマウスは、加齢とともに歩行などの運動機能障害を示し、脊髄運動ニューロンの減少に加え核膜および核膜孔の障害、DNA障害を認めました。さらに、我々が確立した同一の変異(FUS-H517D)を持つALS患者由来のiPS細胞から分化誘導した運動ニューロンでも核膜および核膜孔の障害を明らかにし、RNA-seq解析ではFUS-H517D変異を持つ運動ニューロンにおいて、核膜および核膜孔関連する遺伝子の多くが有意に発現低下していることが示されました。さらに、ALS患者の死後組織でも脊髄運動ニューロン神経の核膜および核膜孔の障害が示されました。
神経細胞において本質的である核膜の障害は、細胞の生存維持に決定的な要因となります。この核膜障害の改善なくしては、ALSの治癒は望めません。この研究成果は、ALSで見られる遺伝子異常を再現したゲノム編集マウスが、加齢に伴い運動機能障害を示し、脊髄運動ニューロンにおける核膜および核膜孔の障害がALSの決定的な病態メカニズムであり、新規治療ターゲットであることが示されました。ゲノム編集マウス・iPS細胞と患者病理検体といった研究材料を組み合わせることで、ALSの病態理解を深め、治療薬開発が飛躍的に推進されます。
本研究成果は 2024年9⽉24⽇午前5時(太平洋標準時)に、Oxford University Pressが発行する国際学術誌『Brain』に掲載されました。
▼全文は本学のプレスリリースをご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2024/9/24/240924-2.pdf
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