ウクライナ危機3年~戦時下の障がい者世帯を支援:AAR Japan
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって3年、東部地域の戦闘や全土への無人機(ドローン)攻撃が続き、今も1,000万人を超える難民・国内避難民が困難な状況に置かれています。AAR Japan[難民を助ける会]は2022年2月の危機発生直後に難民・避難民支援を開始し、現在はウクライナ南部ミコライウ州で戦禍に苦しむ障がい者世帯を支援しています。
AARのウクライナ人道支援活動へのご理解・ご協力をお願い申し上げます。
南部ミコライウ州で支援継続
AARは現地協力団体と連携し、ロシア軍の攻撃で負傷した人々や障がい者への個別支援として、健康診断の費用、医薬品・衛生用品、歩行補助具、呼吸補助器などを届けます。また、南部ミコライウ州の2つの医療機関にリハビリテーション機材を提供します。
現地からの声
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自宅にミサイル 歩行が不自由に ユーリイさん(59歳)
ミコライウ州内で妻と2人の娘、孫たちと暮らしていました。戦争が始まって2カ月経ったある日のこと。2人の娘たちは出勤し、私と妻は家に6歳と5歳の孫を残して、近所の用事を済ませに外出したとたん、すぐ近くで大きな爆発音が聞こえました。驚いて家に駆け戻った瞬間、別のミサイルが着弾して爆風で地面に叩きつけられ、右脚が破片で切り裂かれて足の指も1本なくなっていました。妻も頭に大けがをしました。
這うようにして家に入ると、孫たちは奇跡的に傷ひとつ負っていませんでした。壁に掛けられた分厚いタペストリーが爆風の衝撃を吸収していたのです。激痛に耐えて懸命に意識を保ちながら妻に応急手当てを施した後、私たちは病院に搬送されました。
娘と孫たちは南部の中心都市オデーサに避難し、私たち夫婦はAARの現地協力団体から提供されたテントに仮住まいしています。私は右耳の聴力をほとんど失って補聴器が欠かせなくなり、歩行補助具の杖なしでは歩けません。右脚の痛みが絶えず痛み止めの薬を常用する必要があるほか、支給された杖も使い続けて不具合が生じています。あの日から家族の生活は一変しました。まずは家を建て直したいが、こんな身体では働けないし、政府の年金で細々と生活するのがやっとです。
ウクライナ国内では今、ロシアに占領された領土の一部を棚上げしてでも戦争を終結させるか、あくまで戦い続けるかで世論が分かれていますが、一体何が正解なのか言うのは難しいですね。ロシアに領土の一部を与える以外に選択肢はないようにも思えますが、私たちウクライナ人はそれを受け入れることができるでしょうか…。とにかく、今は孫たちに未来があることを願うばかりです。大事なのはそれだけですよ。
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寝たきりの息子の命が危機に オクサナさん(43歳)
長男のボグダン(13歳)はベッド以外の生活を知りません。「ラーセン症候群」と神経感染症の合併症のため、生まれつき起き上がることも話すこともできず、呼吸や栄養摂取などすべてを医療機器に頼っています。私たちはクリミア半島の付け根に位置するヘルソン州南部の町に住んでいましたが、軍事侵攻が始まってすぐに避難し、さらに避難先も攻撃を受けてミコライウ州に再度逃れて来ました。
息子は在宅用の呼吸補助器が常に必要ですが、発電施設への攻撃でウクライナ国内では停電が常態化し、その度に救急車を呼んで病院に搬送しなければなりませんでした。地元NGOからバッテリー駆動の小型発電機をもらったものの、停電が丸2日続くこともあり、そんな時は一睡もせず昼も夜もベッドの傍らで見守るしかありません。
こんな状況ですが、ウクライナを離れたいとは思いません。ここは私たちの故郷なのですから。ウクライナの領土のため、子どもたちの未来のために戦わなければならないのです。いつか戦争が終わって、他所に逃れた多くの人々が平和なウクライナを再建するために戻って来る日を夢見ています。
AARはこの3年間、隣国モルドバの首都キシナウに現地事務所を置いて、ウクライナ難民・国内避難民、困窮する地域住民や障がい者への支援活動に取り組んできました。米国のトランプ政権はロシアとの交渉を通じて早期に戦争終結を図ると表明していますが、和平実現はそれほど容易ではなく、仮に事態が収まってもウクライナの復興には膨大な費用と労力、そして長い時間を要します。
未曽有の人道危機発生から3年、現地の人々の苦境は続いています。AARのウクライナ支援へのご協力を重ねてお願い申し上げます。
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