【実証実験レポート】ヘラルボニー、トヨタ・モビリティ基金が実施する、Mobility for ALLで"移動する”センサリールームの実証実験を実施
〜発達障害や感覚過敏がある方の外出に新たな選択肢〜
■発達障害や感覚過敏のある方の外出の現状
発達障害や感覚過敏がある方にとって、外部からの多様な刺激が伴う外出にはさまざまなハードルがあります。大きな音や、強い光、人混みなどが原因で不安症状やパニック症状などを引き起こしてしまい、満足に外出ができなかったという声は少なくありません。
事前に発達障害や感覚過敏のある方のご家族に対して実施した外出にまつわるアンケートでは、「過去に外出した際、障害のあるご本人の不安やパニック症状などにより目的を果たせずに帰ったことがあるか」という問いに対し、程度は異なるものの全体の75.6%が「ある」と回答。外出をする際に困難を抱えている人が実に7割以上に及ぶことが明らかになりました。
[外出に関する事前アンケート]
■“移動する”センサリールームとは?
センサリールームとは落ち着いた空間で自己表現や自己認識を深めるための環境を提供し、一時的な休憩場所となる空間のことです。欧米ではすでにNBAやNFLなどのスタジアムやアリーナなど、多くの施設で導入が進められています。日本でも、国立競技場などのスタジアムでも試験的に設けられるケースが増え、発達障害や感覚過敏がある方でも家族でサッカー観戦を楽しむといったケースが増えています。
一方で、屋外で行われるイベントなどでは、設備が足りずに「空間」を作ることすら難しい場合もあります。これまでは、そのような場で不安やパニック症状などが発生した場合、帰るという選択肢を選ぶしかありませんでした。そこでヘラルボニーが実証実験を行ったのが、“移動する”センサリールームです。これまで「空間」を作ることが困難だった場所においても、センサリールームを移動可能な仕様にすることで、全国各地のあらゆる場所に設置することが可能となり、不安やパニック症状などが発生した際の新たな選択肢を提示することができます。
[センサリールーム内の様子]
■アートが障害と社会を結ぶ
発達障害や感覚過敏のある方のご家族に対して行った外出にまつわる事前アンケートで、センサリールームの認知度を調査した結果、65.6%の方がセンサリールームを「知らなかった」と回答しました。実証実験当日に一般の来場者にもセンサリールームの認知度を調査したところ、89.1%の方が知らないと回答。当事者もそうでない人も多くはセンサリールームの存在すら知らない現状があります。
ヘラルボニーは当事者以外の方も、当事者の方々を取り巻く外出のハードルや、センサリールームの存在を認知することが外出のハードルを下げることに繋がると考え、センサリールームをヘラルボニーが契約を結ぶ作家の印象的なアートで装飾しました。
アートで彩られた”移動する”センサリールームを通して、ハードとソフトの両面から外出のハードルにアプローチをすることで、発達障害や感覚過敏がある方に、より多くの社会参加の機会を創出し、誰もが安心して外出を楽しめる社会を目指します。
■事後レポート〜体験者からの声〜
実証実験では、2日間で7組の発達障害や感覚過敏のある方とそのご家族にご参加いただきました。センサリールームを体験したご家族からの声を一部抜粋して紹介いたします。
「娘の体調が悪くなってもエスケープできる心理的安全性を確保できた」
「これまでは、(障害のある)子どもが楽しめるとわかっている場所にしかいけなかったが、センサリールームがあれば、初めて行く場所や親自身が行きたい場所への選択肢も増えるかもしれない」
「他のレースでもセンサリールームを設置してほしい。レースが好きな(発達障害のある)友達家族にも薦めたい」
また実証実験当日には、20代〜60代までの幅広い年齢層の来場者にもセンサリールームを体験いただき、センサリールームを知っていただく機会を創出しました。センサリールームの外観をアートで彩ることで、どのような印象を感じるかなども合わせて調査した結果、76.1%の方がアートで彩られたセンサリールームの方がシンプルな外観なものに比べポジティブな印象があると回答しました。
この度の実証実験の結果をもとに、誰もが安心して外出を楽しめる社会の実現に向け、開発を進めていきます。
■イベント概要
イベント:Mobility for ALL 2023
日程:2023年9月2日(土)、3日(日)
場所:モビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町桧山120)
レース情報:ENEOS スーパー耐久シリーズ2023
■作家・作品紹介
作品名:「夜のディズニーランド」
作家:高田 祐
在籍:自然生クラブ(茨城県)
豊かな感受性と想像力の持ち主で、太鼓、絵画、ダンスと幅広い表現者としての顔を持つ。絵画の主なモチーフはディズニーランドと迷路。生粋のディズニーファンで、パレードや魔法の絨毯からインスピレーションを受けた作品を描く。線と線とをゆっくりとつないでいくことで広がっていく多重構造の迷路は見る人を迷宮に誘い込む。マイペースな性格で彼の周りだけゆったりとした時間が流れており、お気に入りの本を部屋に並べて楽しむのが好き。
作品名:「集いの習慣」
作家:笠原 鉄平
在籍:PICFA(佐賀県)
彼が真っ白いキャンバスに表現するのは、0.03から0.7mmまでのペンで描く唯一無二の個性豊かなキャラクター達。それぞれ表情や格好が違い、画面の中で踊っているように表現される。
■ヘラルボニースタッフ、協力企業、協力団体
ヘラルボニースタッフ
Business Produce:泉雄太(ヘラルボニー)、相田拓道(ヘラルボニー)、吹田奈穂子(ヘラルボニー)、新井博文(ヘラルボニー)
Creative Planner:阿部麗実(ヘラルボニー)、大門倫子(ヘラルボニー)
企画デザイン協力
株式会社乃村工藝社
協力企業
YADOKARI株式会社、株式会社川島織物セルコン、セントラル画材株式会社
物品協賛企業
株式会社サクラクレパス、株式会社JVCケンウッド、マルマン株式会社
監修
一般社団法人スローコミュニケーション
事前アンケート協力
NPO法人アクセプションズ、全国手をつなぐ育成会連合会、特定非営利活動法人東京都自閉症協会
【株式会社ヘラルボニー概要】
ヘラルボニーは「異彩を、 放て。」をミッションに掲げる、福祉実験カンパニーです。
国内外の主に知的障害のある作家と契約を結び、2,000点を超える高解像度アートデータの著作権管理を軸とするライセンスビジネスをはじめ、作品をファッションやインテリアなどのプロダクトに落とし込む、アートライフスタイルブランド「HERALBONY」の運営や、建設現場の仮囲いに作品を転用する「全日本仮囲いアートミュージアム」など、福祉領域の拡張を見据えた多様な事業を展開しています。これらの社会実装を通じて「障害」のイメージ変容と、福祉を起点とした新たな文化の創造を目指します。社名である「ヘラルボニー」は、知的障害のある両代表の兄・松⽥翔太が7歳の頃⾃由帳に記した謎の⾔葉です。「⼀⾒意味がないと思われるものを世の中に新しい価値として創出したい」という意味を込めています。
会社名:株式会社ヘラルボニー / HERALBONY Co.,Ltd.
所在地:岩手県盛岡市開運橋通2-38
代表者:代表取締役社長 松田 崇弥、代表取締役副社長 松田 文登
コーポレートサイト:https://www.heralbony.jp
ブランドサイト:https://store.heralbony.jp/
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