三菱総合研究所、令和7年度「二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(JCM実現可能性調査)」に採択
インドネシア・タングーCCUSを対象に複数排出源を想定したJCM向けCCUS方法論を構築
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、経済産業省が公募する令和7年度「二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業(JCM実現可能性調査)」において、bpジャパン株式会社(国際エネルギー企業bpの日本法人、以下bp)と共同で「インドネシアにおけるCCUS事業に関するJCM実現可能性調査」に採択されました。JCM方法論の構築と実施案の策定により、JCM制度下でのCCUS実現を目指します。
1.事業の背景
地球温暖化対策を支えるため、日本と相手国が協働して温室効果ガス排出削減をクレジット化する「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)」は、国際的な排出削減努力を促進する仕組みです。日本とインドネシアは2013年にJCMパートナーシップ協定を締結し、複数のプロジェクトを展開してきました。さらに、2024年12月に開催された第10回合同委員会(ジャカルタ)では、CCS/CCUS※1を対象とするガイドライン等が新たに採択され、CCUSをJCMクレジット創出の対象とする制度設計に向けた議論が進展しています。
本調査では、インドネシア・パプア州のタングーガス田でbpが推進する「Tangguh CCUS」プロジェクトの拡張フェーズを対象に、CCUSをJCMクレジット創出の対象とするための制度的・技術的枠組みをMRIとbpが検討します。
2. 事業概要
事業名:「インドネシアにおけるCCUS事業に関するJCM実現可能性調査」
実施期間:令和7年度(2025年)
実施地域:インドネシア共和国
委託元:経済産業省(令和7年度 二国間クレジット取得等のためのインフラ整備調査事業)
実施体制:
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MRI:JCM制度におけるCCUSに適用可能な方法論案の構築を担当し、国際的に整合性のあるカーボンアカウンティング※2およびモニタリング・報告(MRV)手法の検討を実施。
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bpグループ:JCM方法論構築に資するTangguh CCUSプロジェクトに関する技術的知見を提供し、JCM実施計画の検討を実施。
主な実施内容:
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JCM制度下におけるCCUSに適用可能な方法論案の構築
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CO2の回収・輸送・貯留に係る政策・制度および市場動向の調査
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GHG排出削減量の推定およびモニタリング・報告(MRV)手法の考案
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ステークホルダーとの協議
3. 今後の予定
本調査では、インドネシアにおける複数のCO2排出源を対象とした、CCUS方法論案の策定および削減効果の定量的推定を行い、将来的なJCMプロジェクト実施案の策定を目指します。これにより、CCUSを活用した排出削減をJCMクレジットとして認証可能とするための基盤を構築します。本調査を通じて、CO2回収・輸送・貯留を複数産業で展開する際の制度的・技術的要件を整理し、CCUSの社会実装に向けた実務的な道筋を示すことが期待されます。
また、本成果はインドネシアが掲げる2060年ネットゼロ目標および日本のカーボンニュートラル実現に向けた国際貢献の双方に資するものであり、日・インドネシア両国の協働を通じてアジア地域全体の大規模脱炭素化を推進する基礎となります。
MRIとbpは今後も、両国政府および関係機関と連携し、CCUSを活用した脱炭素化ソリューションの確立と国際的制度設計に取り組みます。
※1 CCS(Carbon Dioxide Capture and Storage)は二酸化炭素を分離回収し地下等へ貯留する技術を、CCUS(Carbon Dioxide Capture,Utilization and Storage)は二酸化炭素の分離回収、化学製品等の原料としての利用、および地下等への貯留する技術を指します
※2 カーボンアカウンティングとは、特定の活動から発生する温室効果ガス(GHG)の排出量を算定し可視化する一連のプロセスを指します
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