ワールド・モード・ホールディングス代表取締役の加福真介がSustainable Brands OPEN SEMINARに登壇
FRaUの関氏、WWDJAPANの向氏とともに“ファッションのサステナビリティ”を紹介
【Sustainable Brands OPEN SEMINARについて】
2月21日(水)・22日(木)の2日間に渡り、サステナビリティのリーダーが集うアジア最大級のコミュニティイベント「サステナブル・ブランド国際会議 2024 東京・丸の内」が開催。その同時開催プログラムのひとつとして、多くの方に様々なテーマにてサステナビリティに関する学びと発見を無料で提供する「OPEN SEMINAR」が行われました。https://www.sb-os-ex2024.com/
【「サステナブルファッション」、本格稼働へ】
ファッション業界のサステナビリティを考える“「サステナブルファッション」、本格稼働へ“は、本誌やムック本で継続的にSDGsを取り上げているFRaUの編集長 関龍彦氏の進行のもと、WWDJAPANのサステナビリティ・ディレクターとして活躍されている向千鶴氏、そして業界で多様なサービスを提供し、その発展と継続を支える活動を行っているワールド・モード・ホールディングスの代表 加福真介が、各々の立場から課題や取り組みを紹介し、意見を交わしました。
Theme1:いま着ている服は、どこから来ている?
- WWDJAPAN編集統括兼サスナビリティ・ディレクター 向 千鶴
「コレクション取材が長く、大量生産・大量廃棄を生み出すようなトレンドを発信してきたが、ファッションビジネスを盛り上げていくためにはサステナビリティへシフトしていくことが必要だと思った。次の世代に、今までとは違うファッションの魅力を伝えていきたい」と、グローバルな視点でファッション業界のサステナビリティを伝え続けている向氏。これまでのWWDJAPAN特集を通して、ファッション業界のサステナビリティについて紹介しました。
「現在、一番大事だと考えているのはトレーサビリティ。サプライチェーンは非常に長いが、自分たちが販売している商品を誰が生産し、回収ボックスの先はどうなるのかなど、諦めずに知ろうとすることが重要」。また、ファッションの資源の大半が天然素材であることに着目し「ファッションの原点は農業」と定義するとともに、生物多様性の損失カーブをグラフで紹介。「現在の生産や消費を続けていくと生物多様性は損失されていく。生産者も消費者も考え方を変えてやっと持続可能な生産・消費の可能性が見えてくる」。続いてファッション・化粧品とSDGsの関係性を分析した図をもとに「SDGsは自然環境の話となりがちだが、半分は社会の問題」であることを提示。
最後に、販売員アンケートから見えてきた、サステナビリティに関心があっても購入の決め手は価格やデザインという傾向を受け、「サステナビリティが選択される“価値”になれるかは、販売員のコミュニケーションにかかっている」と販売員が果たす役割の重要性について提言しました。
Theme2:ファッション業界を変える担い手(ひと)は誰?
- ワールド・モード・ホールディングス株式会社 代表取締役 加福 真介
ファッション業界で様々な企業と連携しサステナビリティを推進するワールド・モード・ホールディングス。代表の加福は、業界のサステナビリティを進める上で、店頭や販売員が重要な役割を果たすことを提言し、その課題や取り組みを紹介しました。
様々な人気ブランドがサステナビリティに取り組む百貨店の新ゾーンを例に挙げつつ店頭の重要性を伝え、「価格やデザインだけでなく、そのブランドに共感できるかどうかが最も重要になる。特に人・社会・環境への配慮がさらに重視されていく。その価値を伝え、他との差を生み出すのは店頭であり販売員」。
その一方で、労働環境や販売職への根強いマイナスイメージ、人材不足など多くの課題がある現状を説明。「接客をする販売員が幸せでなければ、お客様に店頭で満足いただくのは難しい」。日本プロフェッショナル販売員協会(JASPA)の活動を通して、70社におよぶ参加企業が連携して販売員の地位向上を目指す業界の取り組みや、販売員の待遇、働く環境が改善している事例を紹介しました。
また、サステナビリティに取り組む国内ブランドとして、“環境”“コミュニティ”“お客さま”に加えて“チームメンバー”をフォーカスエリアとするロンハーマンに着目。「働くメンバーの幸せ無くして、お客様の幸せはあり得ない。買い手と作り手をつなぐのが売り手。店頭と本社の連携がますます必要になり、働く人々の幸せに着目する企業が増えていくと考えている」。
そして、パートナー企業と協力して進める環境負荷削減への取り組みに続き、サステナビリティを学び考える機会創出を目的に開催する“学生シンポジウム”と“販売員向けサステナビリティウェビナー”を紹介。「若い世代が業界の未来に希望を抱き、新たな担い手となるよう導くことはとても大切。彼らが考える課題を業界の各社とともに考えながら、若い世代と業界を繋いでいきたい。また販売員向けウェビナーでは、学ぶ機会を提供するとともに販売員がファッション業界の主役となっていくことを伝えている」。ファッション業界には世の中の価値観や習慣を変える力があること、サステナビリティにおけるファッション業界の重要性について思いを伝えました。
参加者との質疑応答
セミナーに続いた質疑応答では、サステナビリティに関心を寄せる参加者より異なる観点の質問が投げかけられました。
若者がサステナブルな服を選ぶには教育と選択肢が必要。どう進めていくのか?
(大学生)
加福:まだ実装段階ではないが、サステナブルの表示や情報の提供については、業界の課題として議論やアイデア提案がされている。
向氏:サステナブルと選択できる情報の提示は、CO2の排出量などこれまで控えていた情報を出すため業界の大胆な変化が必要。消費者の要求が業界を変えるので、これからの若い力に期待している。
関氏:買い手と売り手に対し、選択肢と教育の両方が必要なので、一斉に取り組むことが必要。
日本は欧州のような規制がある訳ではないが、どうすれば企業や異業種の間でコラボレーションが進むか?
(会社員/フリマアプリ企業)
加福:サステナビリティは共通目標として目指せるコラボレーションしやすい課題。企業、商業施設、行政、地域社会のすべての協力が必要であり、ネットワークを駆使して継続的に声をかけていくことが大切。
向氏:日本はサステナビリティへの意識がまだ高くはないが、規制せずに循環を実現する国・マーケットを目指せればと思う。願望を持つ人の情熱からしか活動は生まれない。隣人に声をかけ続ける活動が今、できることだと思っている。
関氏:ヨーロッパのファッションの新製品廃棄規制のようなことがもっと起こっても良いと思った。声を上げないと動かないので、メディアも協力してサステナビリティに取り組もうと話し合っている。
サステナビリティ活動の紹介基準や、完璧ではなくても良い活動だと気付きを促す方法は?
(サステナブルメディア)
向氏:基本は対話。頭から否定せずにトピックに対して質問を繰り返す。その中で、気付いてもらえることもある。対話の中で、ウォッシュをウォッシュとさせないようにしてゆくことがメディアには必要。
関氏:新商品プロモーションを取り上げるのとは違う。報じるかどうかではなく、メディアは取り組みを支えアイデアを出す、一緒に取り組んでいくという感覚を持っている。
登壇者紹介 / メッセージ
ファシリテーター
関 龍彦 / 講談社 『FRaU』編集⻑ 兼 プロデューサー
「ファッションは楽しいものだが問題が根深くある。楽しさを忘れずにシビアに向き合ってゆくことが大事なのだと、改めて思った」
1987年 株式会社 講談社入社。『ViVi』『FRaU』の編集者を経て、1997年日本初のビューティ専門誌『VOCE』創刊メンバーに。2004年より6年間同誌編集⻑。ʼ09年にはVOCEのTV版『BeauTV〜VOCE』
(テレビ朝日)をスタート。2010年より4年間『FRaU』編集⻑。現在『FRaU』編集長 兼 プロデューサー。2018年12月に発売した『FRaU SDGs 世界を変える、はじめかた。』が、女性誌としては世界で初
めて一冊丸ごとSDGsを特集したことで話題に。その後も継続的にFRaU SDGs特集号を20冊以上刊行している。消費者庁・サステナブルファッションサポーター、日本アロマ環境協会・環境委員、サステナブルコスメアワード審査員なども務める.
登壇者
向 千鶴 / WWDJAPAN編集統括 兼サスナビリティ・ディレクター
「自分の行動が他人や地球を傷つけるかもしれないからファッションに手が出せないというZ世代の言葉にショックを受けた。罪悪感なくファッションを楽しめるように頑張りたい」
東京女子大学卒業後、エドウインに入社。営業部で4年半、営業職を務める。日本繊維新聞社記者を経て2000年にINFASパブリケーションズ入社。記者として主にデザイナーズブランドの取材を担当。「WWDジャパン」編集長などを経て21年4月から現職。経済産業省「繊維製品における資源循環システム検討会」委員(23年~)、同省「これからのファッションを考える研究会」委員(21年)、消費者庁サステナブルファッション・サポーター(21年〜)、金沢大学エグゼクティブ・コーディネーター(22年〜)、Next Fashion Designer of Tokyo審査員(23年)、毎日ファッション大賞選考委員(15年〜21年)、インターナショナル・ウールマーク・プライズ2020 アドバイザリー・カウンシル。
加福 真介 / ワールド・モード・ホールディングス株式会社 代表取締役
「ファッション産業が変われば、より広く世の中の習慣や価値観を変えていける。そのために皆様と力を合わせていきたい」
同志社大学卒業後、大手ITソリューション会社で営業担当として従事。2003年に父が創業した株式会社iDAへ入社、営業本部長などを経て2008年に代表取締役に就任。当時の人材派遣事業の枠に留まらないビジネスを築き、2012年にファッション・ビューティー業界に特化したトータルソリューショングループであるワールド・モード・ホールディングス株式会社を設立。現在は国内26拠点、海外5か国に展開している。
【ワールド・モード・ホールディングス株式会社について】https://worldmode.com/jp/
ファッション・ビューティー業界を専門に人材やデジタルマーケティング、店舗代行など様々なソリューションを提供するグループ。iDA、BRUSH、AIAD、AIAD LAB、フォーアンビション、VISUAL MERCHANDISING STUDIO、双葉通信社 の 7 社の国内事業会社および マレーシア、シンガポール、オーストラリア、台湾、ベトナムの5カ国に海外拠点を持ち、専門性の高い各社のシナジーによって、お客様の課題に応じた実効性の高いソリューションを提供しています。
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