震災10年ドキュメンタリー写真集『津波を乗り越えた町々 東日本大震災、十年の足跡』

写真家・谷口雅彦氏が10年間一人で撮り続けた写真の総枚数15万4937枚――厳選カットで紡がれた執念のルポ写真集

10年前の地震は、揺れ自体も史上最大級のものだったが、震災の被害をより大きなものとしたのは、地震に伴う津波だった。高さ10メートルを超える大波が東北地方の町々に押し寄せ、すべてをさらっていった。その津波に流された町々は、その後どのような道を歩み、10年後の現在はどんな姿になっているのか。それをつぶさに伝える写真集が発売された。それが、震災10年ドキュメンタリー写真『津波を乗り越えた町々』(写真・文=谷口雅彦/双葉社)だ。

同書の撮影者・著者である写真家の谷口雅彦氏は震災直後からの10年間、東日本大震災の被災地を訪れ続け、その変わりゆく姿をカメラに収めてきた。その撮影枚数は10年間で15万4937枚。一人でこれだけの期間、継続して被災地を訪れ、これほどの枚数の写真を撮り続けた写真家は、おそらく他にいないだろう。

写真集の序文によれば、石巻をはじめとした三陸海岸沿いの町は谷口氏にとって思い入れのある地だったとのこと。震災のちょうど2年前に旅をして歩き、その風景を収めた写真の個展を開いていたのだ。その時カメラに収めた原風景のすべてが津波に飲み込まれ、そこに生活する人たちが大きな被害に遭っている様子をテレビの報道で見て、居ても立ってもいられなくなったのだという。そして、自分しか撮らない写真、自分にしか撮れない写真を撮りに行くことを決意。震災の1ヶ月後から現地に赴いた。

被災地の人と同じ目線、同じ距離感で見た震災の現実

写真家としての自分が取るべき写真、つまり谷口氏の被災地取材のテーマは、被災地の人たちが見たそのままの写真を撮ることだった。新聞やテレビで取り上げられたような空撮写真でもなければ、アートに寄った写真でもない。被災地の人と同じ目線、同じ距離感で見た震災の現実。そしてその人たちが津波をどう乗り越えていくのかを10年間、隅々まで追い続けている。

15万枚超の写真のうち、同書に掲載されているのは岩手、宮城、福島の3県を撮影した約400枚の写真だが、この一冊を通して、被災地の10年間の歩みが手に取るようにわかる作りになっている。3県の被災したあらゆる町の写真がまんべんなく使われながらも、10年間を一人で追い続けたからこそ撮れた同じ地点の写真が何年かおきに使用されている。そのため、報道ではフィーチャーされることのなかったごく普通の町々がどれほどの被害に遭い、どんなプロセスを経て、どう生まれ変わったのか、また、その復興や成長のプロセスが町によって別の特徴がある点などが、隅々までピントの合った被写界深度の深い写真でつぶさにわかるような作りになっている。その点は他に類を見ない同書の特長といえるだろう。作品性と資料性の両方を兼ね備えた一冊だ。

コロナ禍という大きな災禍の真っ只中にある今、津波という史上最大の災禍を乗り越えた東北の町々の復興・再生の軌跡を振り返ることで、これからの時代を生きるヒントが見つかるかもしれない。そんなことを想起させる写真集である。

 ●書誌情報
書 名:津波を乗り越えた町々 東日本大震災、十年の足跡
著 者:谷口雅彦
発売日:2021年3月2日
判 型:B5判並製
頁 数:224頁
定 価:本体価格3600円+税
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