【ウクライナ支援4年目】希望の拠点を、地域へ。総合福祉センターが完成。

想定外の改修、深刻な円安、徴兵による人手不足——幾多の困難を越え、日本の支援で「小さな日常」を守る拠点が本格始動。

認定NPO法人テラ・ルネッサンス

日本の支援とウクライナの協力により完成した総合福祉センター前で、引き渡し式典の記念の写真撮影(2026年3月30日) ©テラ・ルネッサンス

アジア・アフリカ・ウクライナで紛争被害者の自立支援を行う認定NPO法人テラ・ルネッサンス(理事長:吉田真衣、所在地:京都府京都市、以下テラ・ルネッサンス)は、ウクライナ西部ザカルパッチャ州ベレホヴェ市で、2022年より建設を進めてきた「総合福祉センター」が完成し、2026年3月30日、現地協力団体であるキリスト教系支援団体への引き渡し式典を執り行ったことをお伝えします。使われなくなった肺結核診療所を再生したこの施設は、日本国外務省「日本NGO連携無償資金協力(N連)」事業を軸に、本願寺・真如苑ほか多くの市民・宗教団体からのご支援によって実現したものです。すでに一部は稼働を開始しています。


 

式典にて。今後施設の運営を担う、現地のキリスト教系支援団体の司教、支部長も出席。©テラ・ルネッサンス
地元メディアの取材に応える団体創設者の鬼丸昌也と、駐在員のコーシャ ©テラ・ルネッサンス
司教より手渡された感謝状©テラ・ルネッサンス
施設には日本への感謝をこめ、国旗とテラ・ルネッサンスの団体ロゴマークが掲示された ©テラ・ルネッサンス

「建物ができたことで、みんなが喜ぶわけではないんです。」

 ウクライナ西部で活動を続ける、テラ・ルネッサンスのコーシャ・バーリン・黎は、そう語ります。

 2026年3月30日、テラ・ルネッサンスが建設を進めてきた総合福祉センターが完成し、現地で引き渡し式典が行われました。しかし、このプロジェクトの本質は、「建物の完成」ではありません。

認定NPO法人テラ・ルネッサンス ハンガリー事務所長
コーシャ・バーリン・黎 

戦争の中で続く“終わらない日常”

 テラ・ルネッサンスのウクライナ支援は、2022年3月末、理事長の吉田真衣、事務局長の佐々木純徹、そして現ハンガリー事務所長のコーシャ・バーリン・黎の3名がハンガリー国境からウクライナに入ったことから始まりました。

 コーシャは、現地の状況をこう振り返ります。 

 「想像を絶する状況でした。一度きりの支援ではなく、継続して関わる必要があると、その場で決めました 。」 

 それから約4年。炊き出しや物資支援を続ける中で見えてきたのは、終わらない困難でした。高齢者やひとり親家庭、働き手を失った家庭、そして年金だけでは生活できない人々。 

 「必要なのは、明日食べるご飯や、日々の支えなんです 。」

支援対象者に炊き出しを配る。この日はイースターのパンを焼き、あたたかいスープや料理と共に手渡しして回った。 ©テラ・ルネッサンス
墓地の花は最近人が亡くなったことを、国旗はそれが戦死者であることを意味する。国旗の数は急増していると現地スタッフのコーシャは語る。(2026年3月撮影) ©テラ・ルネッサンス


■ 困難を極めた「再生」の道のり

 プロジェクトの道程は、古い建物を現代の福祉拠点へと再生させるための、地道で困難な闘いでもありました。

 いざ着工すると、屋根は虫食いで全撤去が必要となり、床下には基礎さえもありませんでした。さらに、記録的な円安と戦時下の物価高騰が予算を圧迫し、現場の男性作業員が次々と徴兵されるといった想定外の課題に次々と直面しました 。

 周辺国から人手や物資を補給すれば、もっと早く完成したかもしれません。

 しかし、テラ・ルネッサンスは外部に頼るのではなく、地元の職人を雇用し続けることにこだわりました。

 「20人の地元の人を雇うことは、その家族を含めた100人の暮らしを支えることにつながります 。現地で仕事をつくり、共につくりあげる。それ自体が、私たちの目指す支援の形でした 。」(コーシャ談)

■ 「ハコ」から「拠点」へ:地域とつながり続ける仕組み

 完成したセンターは、単なる建物ではなく、地域に根ざした「多機能な支え」の場となります。


炊き出し(スープキッチン): 敷地内に設置された厨房から、月約80ユーロ(約1.4万円)のわずかな年金で暮らす高齢者や困窮家庭へ、温かい食事を届けます。

・物資の備蓄と配分: 地域の人々が必要な支援を迅速に受けられるよう、物流倉庫としての機能を担います 。

・心のケアと連帯: センター内には礼拝堂や多目的室が設けられ、家族を戦地に送り出した人々が静かに祈り、互いに寄り添い合える空間を提供します 。

すでに稼働している炊き出しキッチンポイントにて。支援対象者の自宅を1軒1軒、手渡しで回る。(2026年3月撮影) ©テラ・ルネッサンス
礼拝堂。宗教を問わないために、あえてシンプルな造りとなっている。祈りを捧げたり、人々が寄り添い合う場となる。(2026年3月撮影) ©テラ・ルネッサンス


■この場所はゴールではなく、共に歩み続けるための「出発点」

 式典当日、中庭には日本を象徴する「桜」と、浄土真宗本願寺派からの支援を記念した「藤」が植樹されました 。

植樹式にて。やがて美しい桜と藤の花が人々の目を楽しませ、日本との交流を思い起こさせるだろう。©テラ・ルネッサンス

 コーシャは語ります。

 「建物が完成したからといって、私たちの活動が終わるわけではありません。人々の抱える困難に対し、これからも一つひとつのアクションを積み重ねていく。この場所はゴールではなく、ウクライナの方々と私たちがより深くつながり合い、共に未来へと歩み続けるための『出発点』なのです。」

 テラ・ルネッサンスは、25年にわたり世界各地で紛争被害者の自立支援を続けてきた日本のNGOです。
 過酷な状況にある人々を支えるのは、必ずしも国家の枠組みだけではありません。一人ひとりの市民の想いや、国境を越えた温かい連帯こそが、明日を生きる希望をつくると私たちは信じています。これからも「一人も見捨てない」支援を、ウクライナの地で、そして世界中で続けてまいります。

この件に関するお問い合わせ(取材)について

認定NPO法人テラ・ルネッサンス 広報室

電話 : 075-741-8786
メール : contact@terra-r.jp


認定NPO法人テラ・ルネッサンス

認定NPO法人テラ・ルネッサンス

「すべての生命が安心して生活できる社会の実現」を目的に、2001年に鬼丸昌也によって設立。現在では、カンボジア、ラオスでの地雷や不発弾処理支援、地雷埋設地域の生活再建支援、ウガンダ、コンゴ、ブルンジでの元子ども兵の社会復帰支援を実施。また、日本国内では、平和教育(学校や企業向けの研修)や、岩手県大槌町で大槌刺し子を運営。2022年にはハンガリー、ウクライナにおける避難民への支援を開始。主な受賞歴:地球市民賞(独立行政法人国際交流基金)、社会貢献者表彰(公益財団法人社会貢献支援財団)、日経ソーシャルイニシアチブ国際 部門賞ファイナリスト(日本経済新聞社)、 第4回ジャパンSDGsアワード 副本部長(外務大臣)賞(外務省)、第52回毎日社会福祉顕彰(毎日新聞東京・大阪・西部社会事業団)、第1回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞「平和の部」(公益財団法人岩佐教育文化財団)、第18回西日本国際財団アジア未来大賞(公益財団法人西日本国際財団)、第10回エクセレントNPO課題解決力賞(エクセレントNPOを目指そう市民会議)、ほか多数。国連経済社会理事会特殊協議資格NGO。

名称:特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス
所在地:京都府京都市下京区五条高倉角堺町21番地jimukinoueda bldg. 403号室
URL:https://www.terra-r.jp
理事長:吉田 真衣
設立:2001年10月31日(2014年5月30日より認定NPO法人)
事業内容:『地雷』『小型武器』『子ども兵』の課題に対するアジア・アフリカでの支援活動、および国内での『平和教育』を中心とした啓発活動 など

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会社概要

URL
https://www.terra-r.jp
業種
サービス業
本社所在地
京都府京都市下京区五条高倉角堺町21番地 jimukinoueda bldg. 403
電話番号
075-741-8786
代表者名
吉田真衣
上場
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資本金
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設立
2001年10月