日本の産業用ヒートポンプ技術でマレーシアの省エネ化を加速

サーマルインバータ制御技術による省エネ実現への共創

株式会社三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下 NEDO)の「植物油脂製造プロセスへの冷温ヒートポンプ組み込みによるCO2排出削減JCM方法論開発に向けた調査」(以下 本調査事業)に採択されました。本調査事業を通じ、マレーシアをはじめとするASEAN諸国に日本の産業用ヒートポンプ(HP)を普及させることで、当該地域の気候変動目標の達成に貢献します。

1. 背景

日本の温室効果ガス(GHG ※1)排出量の抑制には、国内のみならず海外での取り組みも重要です。日本が2025年2月に国連に提出した「国が決定する貢献(NDC ※2)」では、GHG排出量を2040年度に73%削減(対2013年度比)という目標を掲げています。NDCの中で二国間クレジット制度(JCM ※3)については、「官民連携で2030年度までの累積で、1億t-CO2程度、2040年度までの累積で、2億t-CO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標とし、我が国として獲得したクレジットを我が国のNDC達成のために適切にカウントする」とあります。

これらの目標達成に向け、日本は現在31か国とJCMを合意していますが、多くの日本企業が進出しているマレーシアをはじめパートナー国のさらなる構築拡大が不可欠であり、そのためには日本の優れた省エネ技術への関心を高めることが重要です。JCMを通じて大規模なGHG排出削減を実現し、日本のNDC達成に寄与するには、日本の優れた低炭素技術・システムを適用する新たなJCM方法論の構築が期待されています。

 

※1 GHG:Greenhouse Gas

※2 NDC:Nationally Determined Contribution

※3 JCM:Joint Crediting Mechanism

 

2. 概要

MRIは炭素クレジット方法論(※4)に知見のある研究員を数多く有し、海外展開を図る日本企業に対しJCMの事業化支援を積極的に行っています。MRIは本調査事業に取り組むことで、省エネ技術の海外展開を目途とする日本企業の「ASEAN展開 × エネルギー」事業推進を通じて日本国政府の気候変動対策に貢献します。

MRIは、クラフトワーク株式会社(以下 クラフトワーク)および日清オイリオグループ株式会社(以下 日清オイリオ)との3 社協力により、NEDOの本調査事業に採択されました。産業分野を中心に廃熱回収による数百件の省エネ事例をもつクラフトワークは、独自開発したサーマルインバータ制御(※5)の活用によるASEAN地域での産業用HP普及ビジネスの拡大を図ります。日清オイリオはHP技術を用いたマレーシア子会社 Intercontinental Specialty Fats Sdn Bhd.(以下 ISF)のプロセス変革の実現を図り、さらなる脱炭素化を目指します。

本調査事業後には、日本企業の強みを活かした「共創」により、これまで実現困難とされた産業分野の廃熱を有効活用したHP技術の導入という新たな領域での省エネをASEAN諸国に広げます。

 

※4 炭素クレジット方法論:排出削減や吸収の成果を正確に計測し、信頼できる形で市場に提供するための基準を定めたもの

※5 サーマルインバータ制御:冷温供給システムの安定運転の実現には、蓄熱・制御・予測の3つの技術によるトータル制御が必要であり、それを実現する制御方式

 

3. 今後の予定

MRIは炭素クレジット発行に向けた方法論の確立を目指し、クラフトワークと日清オイリオは、マレーシア子会社 ISFでの技術実証を早期に実施します。

また、3社はマレーシアおよび日本の関係機関に対し、JCMの啓発活動を進めます。さらに、マレーシア工科大学や持続可能エネルギー開発庁と協業し、産業用HP普及セミナー開催などを通して、産業分野における日本の省エネ技術への理解促進に取り組みます。

 


会社概要

株式会社三菱総合研究所

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URL
https://www.mri.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区永田町2-10-3
電話番号
03-5157-2111
代表者名
籔田 健二
上場
東証プライム
資本金
63億3624万円
設立
1970年05月